財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第十七回】アウトソーシングとの“協働”。財務の立ち位置。

 

先々を見据えたアウトソーシングを再考する。

経理、人事、総務といったいわゆる、バックオフィスとして位置づけられる機能をアウトソーシングに移行する動きは、もはやスタンダードになりつつあります。こうした背景には、業種や規模により様々違いがありますが、コスト削減や生産性アップといったメリットを求めることが多かれ少なかれ、存在していたでしょう。しかしながら、今般のコロナ禍といった未曽有の事態が続く中では、ビジネスシーンも様変わりし、単にこれまでのメリットを追求するばかりでは、成り立たないケースも少なくないはずです。

今回は、先々を見据えたアウトソーシングの在り方を再考し、財務スタッフがどのようなスタンスで職務に当たるのが相応しいのか、記述していきます。既にアウトソーシングを導入している、これから検討されているなど、様々な立ち位置の財務スタッフのお役に立てるような内容をお送りしたいと思います。

 

”協働“を念頭に置いた関係を構築する。

今年の早春からじわじわと広がり、これからも終息の兆しが見えないコロナ禍。こうした事態下において、“アウトソーシング”との関係をどのような方向性で再考するか?その問いに対し、誰しもが正確には答えられないでしょうが、企業の多くが減収減益に陥る中、アウトソーシング業者と“協働”を念頭に置くことを視野に入れている方もおられるのではないでしょうか。自社とアウトソーシング業者の互いがビジネスパートナーです。単なる契約上の関係といったドライなものではなく、双方の経営活動を持続させるといった観点で進めていく手法は、晴れてコロナ禍が過ぎ去った後も尚、強固に息づくのではないでしょうか。

では、協働を念頭に置いた関係性を構築するため、財務パーソンは、どう取り組むのが相応しいのでしょう。筆者から提案したいポイント3点を以下に挙げました。

自社にフィットしたところのみでも、ピックアップして実践してみてください。

POINT1:自社の現状を俯瞰する。

既にアウトソーシングを導入している、或いは、これから導入を検討している企業のどちらも、まずは、自社の現状を俯瞰することからスタートを切ってみてはいかがでしょう。こうした提案に対し、首を傾げる方も多いかもしれませんが、そもそも、どのような理由により、アウトソーシングを導入したのか?(する予定なのか?)そして、貢献度はいかがなものなのか?もし、これらの問いに即答出来ないのであれば、本末転倒です。当初のシナリオを鑑みて、実際の程を俯瞰する必要があるでしょう。

又、本稿をお読みの財務パーソンの中で、自社のアウトソーシングの導入に関する情報が不足している、或いは、進捗状況などが解らない・・・といった方がいれば、早急に然るべき上司や担当部署から、情報を取り寄せましょう。理由は言うまでもなく、財務パーソンであれば、職務の中で自社の企業価値を高めることを優先するのが使命の一つです。  よって、アウトソーシングが自社の中のどのような場面で機能を発揮し、企業価値向上の面でどのくらい貢献しているのか把握出来ていなければ、検証作業がままならず、効果の程も判断出来にくくなるためです。

中には、このようなコアなところまで任されていないスタッフクラスの方もおられるかもしれませんが、財務データのチェックや集計といった定型業務の中にアウトソーシング導入の影響度が、必ずや表れているはずです。部内会議や何かしらの機会の中で、声を発してあなたの職務遂行を全うするような環境整備に臨みましょう。

アウトソーシング導入による自社へのインパクトに対して、鈍感にならないこと。まずは、あなた自身が俯瞰して、適切に軌道修正を諮る必要があるかもしれません。

◆POINT2:コミュニケーションは良好に取られているか?

次にアウトソーシング業者とのコミュニケーションが良好に執られているのか、検証してみましょう。“コミュニケーション”とは、単に先方の担当者から頻繁に様子伺いがてら、メールや電話が寄せられてくる、といったレベルではなく、双方間で先の未来を見ながら、より良い業務を遂行していくような関係性が構築されているか否かといった点です。今般生じたコロナ禍の終息時期が見えない中では、いくら堅実な経営スタイルを築いている企業であっても、何かしらの影響を受けているはずで、ひいてはアウトソーシング関連のリソースにも及ぶケースがあったと思います。

こうした中でも、双方間でコミュニケーションを執りながら、情報共有を図り、フレキシブルに自社側の現況に適応したサービスの提供がなされていたか、振り返ってみてください。勿論、自社側が一方的に要求するのではなく、アウトソーシング業者の意見・意向も聞きながら、双方が対等な位置関係で業務が遂行されてきているか、確認する必要があるでしょう。特に財務スタッフクラスであれば、他部署に属する実務従事者と連携を執りながら、実務に当たるケースがあるかもしれません。その中でアウトソーシングを直接導入している部署のスタッフからの話を傾聴しながら、ある程度の状況が把握できるでしょう。

たとえば、自社における販売量や稼働状況の変動に対応していないようなサービス提供が見受けられるのであれば、双方のコミュケーション不全が疑われるかもしれません。直属の上司や先輩に現況を報告し、善処を促すようなアクションを起こす必要があるでしょう。

財務スタッフがアウトソーシングの機能に注視することで、自社との双方間において、良好なコミュニケーションを図りながらのサービス授受が可能になるでしょう。

◆POINT3:謙虚にアウトソーシング業者側の声を聴く。

最後のPOINTでは、アウトソーシング業者側の意見・助言を傾聴する点です。アウトソーシング導入の目的の中に内製ではなかなか実現出来ないような付加価値の高いサービス提供を受け、効率性等の向上を盛りこんでいる企業の数はかなり多いでしょう。導入効果の程を検証するばかりではなく、アウトソーシング業者から見た自社が、どのように映るのか、謙虚な姿勢でヒアリングすることで、これまで気づかなかった課題・問題点が浮かび上がることもあるのではないでしょうか。たとえば、組織間における情報共有の方法や社内ルール、承認プロセスなど、これまで何ら疑問を持つことなく、慣習的に行ってきたことが、案外、時代遅れで、非効率であることが潜在しているかもしれません。

財務スタッフクラスであれば、日常の手続きや事務処理といったルーティンワークの中に、善処する箇所があるか否か、シビアに客観視できるようにしたいものです。間接的にでもアウトソーシング業者からの意見を聞く手段を得て、自身の担当業務の中に盛り込むところがないか、あなた自身の目で再考し、より良い職務を講ずるようにしましょう。もし、そこまで難しいのであれば、アウトソーシングされたサービス内容を精査することで、何かしらの改善箇所のヒントが見つかることもあるでしょう。

勿論、意見・助言の内容によっては、付加サービスとして新たな契約が必要なケースもあるでしょうが、自社の持続・発展には欠かせないことかもしれません。

様々な規模、業種の企業と付き合いのあるアウトソーシング業者の声は貴重なはずです。

もし、こうした関係性が築かれていなければ、あなたから起案したり、実践したり、出来るところからスタートしてはいかがでしょうか。

 

自社と協働し、企業価値を高める方策を探求する。

コロナ禍以前のビジネスモードに戻る時期はいつなのか?誰しも解らないでしょうが、いつ訪れるか解らない正常化を待ち、辛抱を続けるのみでは、リスクが大きすぎることなど言うまでもないでしょう。つまり、2020年以降は新しい時代を迎えると捉え、それ以前の当たり前から脱却し、一つ一つの在り方、方法を改める必要があるはずです。その中で、今回のテーマである、アウトソーシングもしかりです。特に財務パーソンであれば、今般のコロナ禍による、財務データの推移について、肌で感じ、シビアに向き合っているのではないでしょうか。ビジネスパートナーの位置である、アウトソーシングとの関係性についても、いかに変革していけば、自社のみならず、先方の企業価値が持続・発展していくのか、互いに考えて、遠慮なく意見発信し、実践していかなければならないでしょう。

さて、本項を読まれた皆さんの中で、もし、腰を上げない方がいるのであれば、今般の未曽有の事態に何ら影響を受けなかっただけのことなのでしょう。しかしながら、近い将来は、同様の出来事が訪れるかもしれないのです。

当事者意識、危機感を持って、財務パーソンとして、どのような策を講ずるべきか、立場はどうあれ、あなた自身で考え、今、踏み出す必要があるのではないでしょうか。

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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