財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第十八回】財務パーソンの育成術の再考。

 

育成術の再考⇒実践する契機。

財務パーソンのみならず、企業内で働く人材が次の担い手へのバトンタッチを見据えながら、職務に当たっているか否かは企業文化や各人の意識により、ばらつきがあるでしょう。中には、高い階層に位置していて、采配を振るような立場にいる人であっても、考えが及ばないケースも少なくないものです。

勿論、昨今はコロナ禍といった未曽有の事態が続く中で、僅かでも良好な着地を迎えるために、日々切磋琢磨しなければならないこともあるでしょうが、財務パーソンであれば、こうした厳しい情勢だからこそ、自社の企業価値の向上化にも目をやり、次の担い手として、能力を発揮できる人材育成術を再考する必要があるのではないでしょうか。

本項をお読みの方は、マネージャークラスやスタッフクラスなど立場は様々でしょうが、立場がどうあれ、まずは、自身がどうするべきかを見出し、実践して頂くことをお勧めしたいのです。
皆さんの中には、人材育成などじっくりと考えている余裕がない方もおられるかもしれませんが、ほんの僅かでも、本項から見つけて頂けるかもしれません。
どうぞ、読み進めてください。

 

“謙虚さ”が未来を見据えた育成術のカギ。

人材育成を進める中で、大切なのは、単に今までの方法を踏襲するばかりではなく、現行のやり方に対して正しく疑い、より良い育成術を取り入れることが肝要なのは、言うまでもないでしょう。よって、どのようなカリキュラム等を使って、育成に当たっていたか、見直すことは基本です。
又、中でも筆者がお勧めしたいのは、謙虚な姿勢で当たる点です。事例の多くは、若手或いは、経験値が低い担い手を育成するパターンなのでしょうが、たとえ新人だとしても、高度な財務専門知識を備えている、或いは、他部署や他社にてマネージャー職であったなど、潜在能力が高いケースがあるかもしれません。
よって、指導する側が一方的に育成するだけでは、未来の担い手の潜在能力が発揮できず、ひいては、財務部全体にも良くない影響が及ぶと捉えるべきでしょう。
それでは、謙虚な姿勢を念頭にした育成術のポイントを以下に三点示します。

◆POINT1:これまでの役割・機能を見直す。

人材育成の実践に入る前に、あなたが身を置く財務部内の役割・機能をについて、軌道修正箇所があるか否か、見直すところからスタートを切りましょう。もし、善処するところを放置した状態で、人材育成に当たった場合、財務の役割・機能の発揮が不全状態の中に人材を投入することになるので、経営資源活用といった財務観点からも、あってはならないはずです。

勿論、あなたが一財務スタッフである場合、財務部全体を仕切ることなど無理でしょうが、実務目線で現況がいかがものなのか、シビアに判断することは、マネージャークラスよりも秀でているのではないでしょうか。

たとえば、他の財務部員らと会し、財務データを各ステークホルダーらに、早期の段階で発信出来ているか、或いは、財務部内のスタッフらの役割や貢献度に透明性があるかなど、ピックアップして、その中での課題や問題点を共有し合うことで、実務部隊の機能がより強化できる策が見つかるかもしれません。

ひいては、上層部に善処するところをプレゼン出来れば、マネージャークラスも腰を上げないわけにはいかないでしょう。
実務担当者ら行動を皮切りに、自社の財務部全体の役割・機能が強化することも大いにあり得るのです。

~こうした動きなしでは、財務視点から見てもN.G!~

◆POINT2:人事部との連携&人材の潜在能力に注視する。

前述したように謙虚な姿勢で、且つ、育成される側の潜在能力発揮を力点に置くのであれば、財務部の枠組みばかりではなく、人事部と連携しての育成が不可欠になってくるはずです。ただし、個人情報にも関係するところに触れるリスクがあるでしょうから、単独での行動は控えて、財務部内の会議などで、人事との連携策を発案したり、他の財務部員らと協働で上司に相談したり、慎重に当たる必要があるでしょう。

又、前職での経験や所有資格といった人事的な情報のみならず、その人材が持ち備えているパーソナリティなどにも鑑みながらの育成術で臨めば、一見、財務部とは無関係なスキルでも、威力を発揮することがあるかもしれません。

たとえば、財務知識が乏しくても、プライベートな場面で、SNS等を活用しながら異業種の人達と多く交流している人材であれば、多面的な視点で自社の企業価値、魅力をどのように広く発信していくか、といった発想で斬新な企画を練ることも可能かもしれません。又、あなたがスタッフクラスの場合、財務部では表出されていない潜在能力があることも十分に考えられます。あなた自身の未来の貢献度を探ることも、忘れてはならないでしょう。

これまでの当たり前を払拭して、新しい育成体制を築くことで、財務部全体の成長に繋がる期待が出来るはずです。
ひいては、新制財務部の構築も実現化出来るのではないでしょうか。

~あなた自身の未来の貢献度を探ることも忘れない!~

◆POINT3:研修カリキュラムの整備

最後は、人材を育成する場の環境が行き届いているか、否かを見直す場面です。前述したように、そもそもの研修カリキュラムや進め方など、メスの入れどころがあるか否かといったところに疑問符を打たないようでは、財務部員の潜在能力を活発化させることなど、難しいはずです。ここでのポイントは、これまでの内容や方法について、冷静に客観視して進める点でしょう。

そうは言っても、入社当初から財務畑しか知らない部員らで、アレコレと論じていても、進展が難しいケースがあるかもしれません。よって、同業他社の方法について情報を得たり、研修・セミナーを運営する業者から、教育プログラムの紹介を受けたり、といった幅広い視野での取り組みが有効でしょう。ただ、注意すべきは単に財務部の上層部のみの判断で採択したり、或いは逆に財務部内でプロジェクトを発足させ、そのチームに任せきりにしたり、といった偏りがないようにする点です。財務部員一人一人が当事者意識を持ち、意見を交わすばかりではなく、時にはPOINT2でも触れたように自社内における人材育成と捉えれば、ここでも、人事部との連携も必要になってくるでしょう。

もし、あなたがスタッフクラスであれば、研修を受ける側の立場になった見直しが可能ではないでしょうか。たとえば、研修カリキュラムや進め方のみならず、そもそも、それらが本当に必要なのか?或いは、もっと他の選択肢があるのではないか?といったように、現行の内容・方法を鑑みての抜本的な改革を図るのは、あなたしかいないのかもしれません。

今後は、より一層のコスト対効果が求められるはずです。あなたが身を置く階層がどこであれ、プロの財務パーソンであれば、研修コストに見合った効果がどのように、企業価値に表れるのかといった視点で臨むのは、財務パーソンの使命の一つでしょう。

 

テレワークの定着化等、風通し良く進める!

昨今は、テレワークの導入などが進んだこともあり、各人が担う職務における成果がいかがなものなのか、より一層注視されるようになりました。従って、多方面でのステークホルダーからの支持を得るための、重要なセクションでもある“財務部”の働き方は、かなり企業内でも重要視されるはずです。

つまりは、冒頭でも述べたように、自身が位置する階層がどうであれ、企業の経営リソースの要である人材活性化を強化するのは、最低限のことでしょう。未曽有の事態が過ぎ去り、元の木阿弥になど絶対にならないよう、これまでの方法を見直し、誰しもが腰を上げて改善・実践する必要があるはずです。

さて、あなたの目の前の現状を見つめてください。同僚・部下・上司らは財務部にて、何かしらの変化を取り入れながら、職務を全うしているでしょうか。人材育成をする基盤に成長性がないのが、一番危ういのは言うまでもないのです。

気づいたあなたから、第一歩を踏み出してください。

 

 

ライタープロフィール

田村 夕美子

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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