くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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企業の働き方改革が求められている昨今、多くの企業がRPAによって労働生産性の向上を目指しています。。これからRPAの導入を検討している企業のご担当者向けに、概要の紹介、導入のメリットやデメリットを、実際の導入事例を交えてご紹介していきます。
この記事の目次
RPA(Robotics Process Automation)とは、簡単に言えばパソコン内の単純作業を自動化する取り組みです。具体的にはコンピューター上にソフトウェアロボットを駐在させ、一連の作業を記録・再現させることで業務の自動化を図ります。
主に企業のバックオフィス業務の自動化にRPAが活用されていますが、AI(人工知能)技術やOCR、チャットボットなどと組み合わせることで、単なるパソコン上の定形作業だけにとどまらず業務の幅を広げています。
たとえば、RPAはパソコン内にあるデータしか取り扱えないため、紙の情報を読み取ることはできません。その場合、紙からデータ化をする際に人が介在する必要がでてきます。しかし、OCRと組み合わせることで紙をデジタル化することができ、RPAの業務プロセスに取り入れることが可能になります。
厳密にルール化されている作業しかできないRPAですが、学習し判断するAIと組み合わせることでイレギュラーの案件への対応が可能になります。このように、RPAだけでは不足している部分を他の技術と組み合わせることで非生産的な業務を代替していき、貴重な労働力を担保できるようになるのです。
日本RPA協会が以下のようにRPAを定義しています。
「ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)、通称RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みです」
単に取り組みだけではなく自動化を実現するソフトウェアロボットを指して、RPAあるいはRPAツールと使われていることが多くなっています。
アメリカでは2015年にRPAに協会が発足し、その波がやってきた2016年日本では「RPAに元年」と言われました。この頃から企業の残業問題、総務省も働き方改革の一施策としてRPAに関する調査を報告するなど注目度が高まっていました。
参照:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
それでは、RPAはなんでもできる魔法の杖なのでしょうか?そんなことはありません。RPAでできることと、できないことを確認していきましょう。あくまでも2020年1月時点での分類であり、さらに高度なAIやその他技術により、これまで不可能とされていた業務の自動化も実現できる可能性はあることを含みおきください。
RPAはパソコン内で行われる次のような業務の自動化が可能です。
RPAの導入が最も多いのは、マニュアル化できるほどに作業手順が決まっている業務です。Officeでしか使えないEXCELマクロと異なり、パソコン内の複数のアプリケーションを横断して作業ができます。
そのため、それぞれの作業で利用するシステムが別々であったとしても、問題なく作業が進行できます。ウェブサイトを巡回して電話番号や商品価格などを収集し、リスト化する情報収集作業の自動化も行われています。
一方、RPAの利用が難しいものとして次のような業務が挙げられます。
・ルール化できない
・人間の判断が必要となる
・不測の事態が起こりやすい
RPAは作業手順が明確に決まっていないものや、所々に人間の判断が必要な業務の自動化が困難です。事前に設定した手順やルールから外れた事態にもうまく対応できません。
ただし近年は、高度なAIを組み込むことで自ら学習して柔軟な処理ができるRPAも登場しており、徐々に複雑な業務もこなせるようになってきました。
たとえば、RPAが登場した当時は画像や文字を認識する作業の自動化が困難でしたが、AIやOCR(光学文字認識)技術と組み合わせることで、現在は自動処理ができるようになっています。
では、企業がRPAを導入する具体的なメリットを詳しく考えてみましょう。
・業務効率化が図れる
・コスト削減が見込める
・ミスを防ぐことができる
・生産性を向上できる
・品質を向上できる
それぞれ詳しく解説していきます。
そもそも業務効率化とは、時間・費用の物理的な無駄をなくして既存の業務を効率的に行うことです。つまり、人が行っていては時間・費用(人件費)・効率面全てにおいて無駄である業務を見極め、RPAに充てることで任せた業務の効率化が可能になります。
パソコン内の作業を横断できるため、既存のアプリケーションや複数のシステムはそのままでも問題有りません。現状の仕組みを変えずにそのまま適応できるため現場の社員の方にも受け入れやすい仕組みと言えるでしょう。
まず目につくコストとしては作業にあたっていた稼働時間分の人件費が削減できます。もちろん、導入や運用に関わるコストを鑑みたとしてもトータルでプラスになることを試算した上での判断をしていることでしょう。
具体的な事例として、大手ガラスメーカーのAGCは年間4200時間、ダイキン社はRPAを導入して約2年間で年間1万時間の削減に成功しさらなる高みを目指しています。
このような見えやすい残業時間を含む人件費の削減だけではなく、後述するミス防止や品質向上などの「ムダ」や「ムラ」もなくなり均質化されることも会社にとっての資産=利益につながります。
またRPAは社員が働いていない時間帯も作業し続けられるため、数値的に計測できるコストの削減以外にも、人手不足の解消もカバーができます。
参照:
・https://www.agc.com/news/detail/1200203_2148.html
・https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01061/112200006/
人間が同じ作業を繰り返すと、集中力が切れたり疲労が溜まったりしてミスが発生してしまいます。人が行う限りミスはつきものです。ミスを確認するためのダブルチェック体制で人手を更にかけてしまったり、再発防止のための新しい仕組み作りなどミスに付随する工数もかかります。
RPAはロボットのため決められたルールに忠実でミスをしません。決められたルールに沿わない作業が発生した場合は、稼働が止まりますのでミスが発生することは有りません。ただし、当初の設定自体を間違えた場合はそのまま進んでしまいますので正確に設定を行うことが重要です。
単純な繰り返し作業や判断を必要としない反復作業をRPAに任せましょう。その業務にあたっていた人は「頭を使う」本質的な業務を担うことができます。このように、どの業務をどう任せるかによって社員一人あたりの生産性が大きく変わります。社員の生産性を最大限高めるために、単純な反復作業はシステムで代替することのメリットが大きいでしょう。
事前に正しくプログラムできていれば、 24時間365日一連の作業を正確に処理してくれます。
安定したアウトプットが期待できるため、人が行うよりも業務計画を立てやすく進捗も把握しやすいのも魅力です。来期の販売計画を立案するために大量のデータ収集とグラフ化が必要な場合も、RPAなら人より確実で精度が高いデータが集計できます。データは企業の命であり、データにミスがあれば売上の損失に繋がりかねます。またスピードも格段に早いため、迅速に経営判断が可能になります。
また、チャットボットと組み合わせて顧客の問い合わせに即座に対応する仕組み作りや、顧客の声を集計して改善につなげることもスピーディに実現できるためサービス自体の品質向上へもつながります。
RPAのメリットを挙げていきましたが、同様にデメリットもあります。しっかりと理解した上で自社に合う仕組みかどうか考えていきましょう。
・業務がブラックボックス化してしまう
・システムの誤作動・誤処理
RPAによって一連の業務を完全自動化できることで業務が人の手を離れてしまいブラックボックス化するリスクがあります。
ソフトウェアロボットを作成または関与していた担当者が異動や退職をしてしまうとRそれまで自動化されていた業務内容を把握している人がおらず、問題解決に時間がかかってしまいます。
また、何かしらのトラブルで操作が停止した場合、代わりに業務遂行ができる人がいないという事態も生じます。このようなことがないよう、業務のマニュアルを残しておくこと、どのシステムにどのように関与しているかというシステムの全体像もあると万が一に備えて安心です。誤作動・誤処理の可能性
RPAに限ったことでは有りませんが、誤作動や誤処理の可能性はあります。ロボット自体の障害や、サイバー攻撃や災害時のダウンなどは他のシステムと同様にリカバリー策を考えておくことが重要です。
また、複数のアプリケーションを横断して活用ができるため関連するシステムにも注意が必要です。各システムのバージョンアップや更新プログラムなどは定期的に確認、対応をしておきましょう。
業務フローが変わった場合の設定変更も忘れずに行うことです。先述したブラックボックス化によりプロセスが変更されているにも関わらず、RPAの変更をしないことで永久的に間違った処理が繰り返されることになります。
このような事態を避けるためにRPAを統括する管理者が重要なのです。
次に、RPAの導入時に企業が注意すべきポイントについて解説します。RPAを安定的に運用するにはさまざまな点に留意しなければなりませんが、少なくとも次の2点については必ず行うようにしましょう。
・事前に業務整理をして運用ルールを定めておく
・管理者を決めること
事前に業務整理をして運用ルールを定めておく
そもそもどの業務をRPAに任せるか検討をする際に行うことですが、関連するすべてのプロセスを含んだ全体像と個々の業務整理をしておくことが重要です。
業務フローの「見える化」をしないまま導入してしまうと、どの作業手順を自動化すべきかがわからず、現場が混乱します。事前に業務の棚卸しやリスト化などを行い、作業手順を明らかにしておくことが重要です。
また、先述したようにブラックボックス化やトラブルを起こさせないためにも運用ルールも定めましょう。業務プロセスに変更はないか、関連するシステムのアップデート確認をいつするかなど運用ルールの策定をおすすめします。もちろん最初から完璧なものを作り上げるのではなく、順次行っていけば大丈夫です。
複数のアプリケーションを横断できるため、関連する業務の担当者が多く、部門をまたがっている場合もあるでしょう。各部署が思うままにソフトウェアロボットを利用してそれぞれの判断で設定を変更したり、変更が生じても「他部署の人がやってくれているだろう」と他人任せになっていてお見合いする可能性も生じます。こうなると正しく稼働できず、エラーが生じたり不適切な処理が続いてしまいます。
このような事態を回避するためにも、部門を超えてRPAの運用を統括する管理者の存在が必要です。
導入前の段階で全社的にガイドラインを設定しトラブル発生時の対応策及び統括責任者も全社で共有しておくことで混乱を回避できるでしょう。
続いて、日本でRPAを提供している代表的なツールを紹介していきます。自社でRPAの導入を検討している人は、ぜひチェックしておきましょう。
ソフトウェアロボットの導入・運用を支援するDigital Laborプラットフォーム「BizRobo!」を提供しているRPAテクノロジーズです。
代表の大角 暢之さんは日本RPA協会の発起人として代表理事を努めています。導入社数は1500社を超えていると公式サイトに掲載が有り、代表的な日本のRPAベンダーです。
参照:https://rpa-technologies.com/company/
日本電信電話株式会社の子会社でデータ通信やシステム構築事業を行っている日本最大のシステムインテグレーターです。NTTデータはRPAツール「WinActor」の提供を行っています。
NTTグループで長年研究・利用されてきたもので、2020年には導入社数5000社を公式サイトでリリースしており国内シェアNo.1と言われています。。、導入にあたっては、NTTデータと全国にあるパートナー企業がサポートしてくれるので、初めてRPAを利用する企業も安心です。
サービスサイト:NTTデータ
参照:https://news.mynavi.jp/article/20180801-672628/
Blue Prism はイギリスを拠点としたソフトウェアベンダーで、RPA分野で世界的に名高く、15年以上提供しています。
社名と同じRPAツール「Blue Prism」を提供しており汎用性の高さと高いセキュリティが特徴で金融機関に豊富な実績があります。主に大企業向けに最適なRPAツールといえます。さらに2020年11月からはAI技術など業務のオートメーション化に必要な機能をクラウドサービスとして提供する「Blue Prism Cloud」の展開も日本で始まっています。
サービスサイト:Blue Prism
RPA世界3大ツールの1つ、UiPathもRPA業界におけるリーディングカンパニーです。同社はRPAとAI技術、機械学習に関するさまざまなツールを組み合わせることにより、幅広い範囲の業務自動化を実現するハイパーオートメーションに対応したRPAプラットフォームを提供しています。
プログラミングの専門知識がなくてもドラッグ&ドロップでソフトウェアロボットを作成できるのが特徴で、Windowsアプリケーションはもちろん、他のCRM(顧客関係管理)やRPAの強化版であるERA(Enhanced Process Automation)など、各種システム上の作業自動化も可能です。
サービスサイト:UiPath
Automation Anywhere (オートメーション・エニウェア)もRPAに関するソフトウェアの設計と開発を行っている企業で、2003年にアメリカで設立されました。Blue Prismと同様、サーバー中央管理型で比較的大規模向けのツールですが、とくにバックオフィス業務を得意とします。AI技術を利用して自動化領域を拡張できる「IQ Bot」やRPAを解析するためのモバイルアプリなど、さまざまなツールをリリースしています。
サービスサイト:Automation Anywhere
NICEを提供しているナイス・ジャパンはもともと通話録音・音声解析技術を用いてコールセンター業務のサポートを行っている企業ですが、日常業務を自動化するRPAソリューションの提供も行っています。
特にコンタクトセンターやバックオフィス向けに開発された「NICE Employee Virtual Attendant」は世界初のバーチャルアテンダントです。日常的なパソコン業務やチャットの内容からユーザーのやりたいことを理解し、タスクの遂行を的確にサポートしてくれます。
サービスサイト:ナイス・ジャパン
最後に、実際にRPAを導入した企業の事例を2つ紹介します。
不動産売買の代理・仲介やマンション開発事業を手掛ける企業では、膨大な物件情報を基幹システムに登録する業務がありましたが、全て手作業で行っていたため非常に時間と手間が掛かっていました。
そこで、まず独自開発でRPAを開発して作業の自動化を図ったところ、年間で2万時間以上の工数削減に成功し、社員の作業速度が上がっただけでなく仕事へのモチベーションも向上したと言います。
その後は、UiPath社のクラウドサービスを活用しながら、さまざまな業務の自動化を実現しています。
出典:https://www.uipath.com/ja/solutions/customer-success-stories/open-house
企業が扱うIT機器や基幹システムの提案・導入を行っている企業のケースでは、サポートセンターの業務効率化を実現するために、これまで100種以上のRPAロボットを開発し、効果の検証を行っています。
あらゆるロボットの開発が円滑に進んだわけではありませんが、Excelやブラウザの操作に強みをもつWinActorの導入によって、サポートセンターのパソコン画面で行っていたコールトラッキング(電話のアクセス解析)の自動化を実現するに至りました。
これまでに同社が開発したRPAは、人件費換算で年間8,000万円以上の業務を代行できると考えられているようです。
出典:https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/solution-introduction/rpa/tayoreru.html
企業がRPAを採用するメリットやデメリット、さらに導入時に注意すべきポイントと実際の導入事例を紹介しました。
RPAは企業の労働生産性を向上させ、人件費をはじめとしたコストの削減ができますが、導入にあたっては事前に業務整理を行っておき、しっかりとしたルールのもとで業務の自動化を行う必要があります。
誤作動の可能性もゼロではありませんから、万が一、問題が起こった場合の対応も決めておきましょう。正しく運用できれば、自社の働き方改革を実現できる強力なツールとなります。
RPAの導入には、自動化業務の切り分けや設定の難しさなど様々な課題があります。そこで、アウトソーシング30年/1000社の実績と高い専門性を持つFOCが、失敗しないRPA導入方法を詳しく解説。FOCは最適なRPAの業務フローを構築をサポートします。
サービスの特徴
FOCは、30年/1,000社以上のノウハウを活かし、御社のコア業務の生産性向上、バックオフィス部門のコスト削減に貢献します。
ライタープロフィール
くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
「FOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」
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