話題の無料RPA「Power Automate Desktop」は使えるのか?有料RPA「WinActor」との違いとは

Microsoftが提供しているRPA「Power Automate Desktop」が話題になっています。Windows10ユーザーはOfficeのアカウントを持っていれば無料版を使用でき、Outlookや他のOffice製品とも親和性が高いと評判ですが、果たして使い勝手はどうなのでしょうか。

当社エンジニアにヒアリングした内容と、筆者が実際動かしてみての感想をまとめましたので、参考にしてください。

 

Power Automate Desktopとは

Microsoftが提供しているクラウドRPA「Power Automate」は、その前身となるMicrosoft Flow(同サービスがサポートしているコネクタ(Microsoft製品を含む様々なアプリケーション)を組み合わせて、ユーザーが自由に自動化処理を構成できるサービス)に、繰り返し作業の自動化を支援するRPA機能「UI Flow(ユーアイ・フロー)」を追加し、新しくリリースしたRPAです。そのシリーズの一つである「Power Automate Desktop」は、Windows 上で行なわれる、キーボード操作やマウス操作などの動作の組み合わせを、コードを書かずに自動化できるツールです。

これまで、Power Automate Desktop は有料版のみでしたが、Windows10ユーザーに限り無料版を利用できるようになりました。

Power Automate Desktop

 

Power Automate Desktopのメリット・デメリット

それではPower Automate Desktopにはどんな特徴があるのか、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

◆メリット
・専門知識が必要なく、直感的に操作できる
・無料なので、気軽に試せる
・有料版を購入する前の仕様確認ができる

フロー*作成画面を見ると、アクションから使いたい指示を選択し、組み合わせることでフローが作成できます。実際の操作を記憶させるレコーダー機能もあり、コードを打ち込まなくても、直感的な操作が可能です。アクションには、34個ほどのカテゴリにそれぞれ10~20個ほど格納されており、web・Excel・Outlook・PDFなど、通常業務で使用する作業のほとんどが用意されています。
*フロー:RPAのシナリオ(設計図)

また、無料のため気軽にダウンロードでき、ちょっとした定型業務に利用することができますし、自動化できるデスクトップ操作に関しては、有料版と同じフル機能が使えることから、有料版を購入する前の仕様確認ができます。

◆デメリット
・フローの共有ができない
・スケジュール機能が使えない
・ブラウザを含んだ操作が不安定
・一部日本語が使えない
・サポートがない

フローがアカウントに紐づいているため、他のユーザーと共有ができません。属人的なロボットが作成され、野良ロボット化する可能性が高くなります。また、スケジュール機能が使えないため、手動で動かす必要があります。
ただしこの2点は、有料版では標準機能として利用できるようです。

残りの2点は実際に使用してみての感想です。フローの中にブラウザでの操作が含まれる場合、起動したことをうまく認識できない等のエラーが発生し、止まってしまう頻度が高いこと、また変数など一部日本語が使用できない部分があり、手順の確認等でそれが何の操作だったか把握するのに時間がかかる、ということがわかりました。

他にも、1行1アクションでグルーピングできないため、一連の処理が長くなるとわかりづらかったり、処理速度が遅いといったデメリットが見られ、「直感的に操作できるかどうか」という点では、少し疑問が残りました。

 

有料RPAの機能

では、有料のRPAはどうなのでしょうか。ここでは同じデスクトップ型で「直感的に操作が可能」とされている、「WinActor」で確認してみます。

WinActorとは

「WinActor」はNTTグループが2010年に開発した国内シェアNo.1クラスのRPAツールで、5,000社以上の企業に導入されています。

複数のアプリに関わる作業を横断的に自動化でき、既存のシステムを改修することなく自動化処理を実行できます。さらにパソコン1台からサーバーまで動作可能なので、さまざまな事業単位で業務効率化を実現できます。

すでに多くの企業が導入しているため、書籍やwebサイトから使い方に関する情報を簡単に集められるのも特徴です。

WinActor

◆メリット
・導入実績が豊富で、サポート体制が整っている
・利用者が多く、技術者も多い(ナレッジも豊富)
・直感的な操作が可能
・公式の研修資料がある
・同じバージョンのツールが入っていれば、シナリオはどの端末でも動かせる

開発から10年以上経過していることもあり、導入実績が豊富なことから、サポート体制が充実しています。また利用者や技術者も多いことから、ナレッジが豊富で、利用ユーザー向けのQAサイトもあります(2021年5月現在 登録者:23,515名)。

有料版を購入する前に、トライアルとして30日間の試用版も用意されており、使い勝手や仕様などを確認することができます。

◆デメリット
・ランニングコストがかかる
・対話型での処理のため、バックグラウンド処理ほどのスピードが出ない
・管理の仕方によっては野良ロボットが発生しやすい

有料版ですので、初期費用の他にライセンス料などランニングコストが発生します。ただしPC1台から導入できますので、サーバー型などに比べて割安です。また人間の処理をロボットが代替しているため、ブラウザが表示されるまでのタイムラグなど、待機時間が発生します。
こちらもデスクトップ型で、部門単位で購入するというスモール導入ができるため、情シス部門が全社管理することが難しく、場合によっては作成した者しか仕様を理解できない野良ロボットとなってしまうことがあります。

 

Power Automate DesktopとWinActorを比較

それでは実際に、Power Automate DesktopとWinActorの違いを大きく比較してみます。

一番の違いは操作性や処理時間の部分です。Power Automate Desktopを使用してみての感想ですが、変数など一部日本語が使用できない部分や、フローチャートのように一連の流れが直感的に確認できないところにストレスを感じました。また一部変数や演算を直接記述しなければならないところもあり、プログラミングの知識がないと、直感的にはわかりづらいと感じる部分がありました。

 

まとめ

以上のように、Power Automate DesktopとWinActor、それぞれのメリット・デメリットと機能の違いを紹介しました。

RPAを初めて使う人で、どんなことがRPAでできるのか知りたい人は、手軽に使えるPower Automate Desktopで、利便性や操作性を確認してみても良いと思います。ただし、全て直感的に操作できるというわけではなく、ある程度のプログラミング知識が必要です。複雑な処理への適用や、会社として本格的に導入を検討している場合は、サポートも受けられるWinActor始め有料のRPAがお勧めです。用途や拡張に応じて検討してみてください。

 

 

ライタープロフィール

黒柴

黒柴

NOCマーケティング担当。 社会人スタートは公務員という異色の経験を持ち、保険・IT・メーカーで広報・マーケティングを担当。 未経験業界に戸惑いながらも、当たって砕けろの精神でどんな難題にも果敢にチャレンジしている。