【NTT東日本社に聞いた】 コロナワクチン接種の事務業務を 劇的に変革したAI-OCRの功績

各大手企業が注力をしているAI-OCR。しかし、AI-OCRによって実際に業務がどう変わるのかはあまり知られていません。一方で、今世間を賑わせているコロナワクチン接種業務にも、AI-OCRが使われており、煩雑かつ大量の事務業務の効率化に役立っています。

NOCでは実務に即したAI-OCRの活用事例紹介として、今回NTT東日本社のコロナワクチン接種業務に関するAI-OCRの取組を聞いてきました。自治体のコロナワクチン接種に関する業務がAI-OCRによってどのように改善できたのか詳しくご紹介します。

 

コロナワクチンの接種予約における自治体の負担とは

コロナワクチンの接種業務において、自治体にはそもそもどのような課題があったのでしょうか?当初の業務概要は以下の通りです。

①まず申請者が手書きで記載した予診表を医院へ提出。
②医師が予診表に問診内容を手書きで記載しました。投与したワクチンのロットナンバーシールの添付、そして医院の捺印または手書きのサインをします。
③自治体の職員が予診表の記載内容のチェック、及び自治体の健康カルテシステムへ情報を全て入力。住民の接種状況を確認します。
④未接種者への接種通知などをおこないます。

NTT東日本社はこのプロセスを見て、「単純業務が膨大にある。これでは作業者の業務効率の低下、疲労によるミス、モチベーション維持が心配でアウトプットにも大きく影響するリスクがある」と指摘しました。

まず、予診表の入力内容をチェック、正しければシステムに記載内容を入力する、という業務は非常に単純な作業です。人が単純作業を長時間行うと、疲労からミスをしたり、緊張感の薄れからモチベーション低下も想定されます。さらにどれだけ早く作業をしても人間のスピードには限界があります。量が多いため、過重労働となり、残業時間の管理も必要となります。膨大な単純作業は、システムに委託することが最も効率的なのです。

これらのことからNTT東日本社はAI-OCRで大きく生産性を向上させられると確信し、運用プロセスを刷新する提案をしました。

 

AI-OCRを活用し運用フロー全体の生産性を飛躍的に向上

NTT東日本社は、AI-OCRとRPAを組合せ予診表のチェックからシステムの入力までの一連のプロセスをワンストップで完結する仕組みを構築しました。

1、帳票フォーマットのコンサルから実施

医師がワクチン投与を行う際、「問診記録」「医療機関名」「投与したワクチンのロットナンバー」を予診表に記載します。記載をしたのち、保健所に提出します。

当初、ワクチンのロットナンバーを管理する項目はシールを貼るだけでした。例えば、斜めに貼られるとAI-OCRでは読み込みができません。また、医療機関名を記載する箇所はありましたが、ゴム印を使う場合、想定以外の場所に押されたり斜めに押されてしまうことも有り得ます。そうなるとシール同様、AI-OCRで読み取りが困難になります。

NTT東日本社は、AI-OCRを構築するだけではなく帳票フォーマットのコンサルも実施しています。今回は現状から改善(案)の通り様式の変更を提案しました。この変更により、色々な情報が記載されている予診表をAI-OCRで読み取ることができるようになりました。

読み取りができることで、自治体の職員がひとつひとつ目視で内容に不足がないか、医療機関名がどこに書かれているのか、シール内容の確認などをする必要がなくなりました。この作業を人が全て行う場合、相当な労力と時間を必要とし、見落としなどのミスが発生したでしょう。AI-OCRでスキャンすることが可能になり、不毛なチェック工数が無くなりました。

2、AI-OCRで予診票をスキャンでデータ化まで完結

自治体の職員は、予診票を受理したのち、自治体の管理用に情報をシステムに入力する必要があります。人力で行うにはデータの入力処理だけで大変な作業になります。
そこでNTT東日本社は予診表をAI-OCRでスキャンできるように帳票を整えたことだけではなく、そのままシステムに移行できるようデータ化まで整備しました。さらにAI-OCRで文字データを出力する際に様式の加工をしたことで、専用システムへの入力する負担も軽減されたのです。

これで、予診票のチェック・データ化・システムへの入力というステップにおいて人が介在せず、AI-OCRで完結できるようになりました。人が入らないことで業務量がどれだけ増えてもミスが発生せず、データ入力もスピーディに実行できます。

3、AI-OCRでスキャンしたデータをRPAで専用システムに入力

自治体は政府へワクチンの接種状況を毎日報告する義務があります。報告方法は政府の専用システムへの入力で、自治体の健康カルテシステムとは別のものとなります。
当初の運用では、自治体の健康管理システムに約2ヶ月の時間と相応の費用をかけて仕様変更を行う予定でした。

ここで、NTT東日本社は自治体の接種管理システムにAI-OCRとRPAを組み合わせる方法を提案しました。予診表をスキャンして整備されたデータ化まで行い、さらに自治体のシステムから政府のシステム入力までをワンストップで行える体制づくりができあがったのです。
当初の仕様変更を行うよりも、格段に短納期・低コストでした。

一つを変えただけで最新の技術が活用でき、大きな業務削減へとつながりました。このように従来のものを当たり前に活用するのではなく、「非効率」の代表的な紙文化をAI-OCRで変革できました。

 

まとめ

NTT東日本社からまだあまり世に出ていないAI-OCRの詳細な活用事例を聞くことができました。AIーOCRの活用で業務の生産性が大きく向上することが理解できました。

特に紙が多く介在する業務であれば必ず業務を効率化できる仕組みであることは間違いありません。「自社のやり方や業務は特殊だから難しい」という場合も、今回のように運用フローの見直しから行うことで効率化できる可能性があります。

NOCではAI-OCRが未来のバックオフィス業務を支える一助となると考えています。

 

 

ライタープロフィール

津久井 基喜

津久井 基喜

営業推進部副部長。NOCのマーケティング責任者および問合せ全件を管理する。アウトソーシングだけではなく、企業の事業を推進するうえで基盤となる管理部門の方々の価値を高めるための情報発信、提案を行いたいと日々考えている。