これからの「オフィス」のあり方は?テレワーク時代のオフィスの意味

オフィスは、従業員全員が出社し仕事をする場所でした。そのため従業員の働きやすさを考え、出勤しやすい場所にオフィスを構えたり、内装やレイアウトに凝り、従業員満足度を高めたりと、企業にとっては投資すべき対象でした。
(本記事はオフィスで事務仕事をすることにフォーカスしています。ご了承ください。)

しかしながらコロナ禍をきっかけに、テレワークが本格的に導入され、オフィスの意味、あり方が変わってきているのではないでしょうか。

 

コロナ禍のオフィスについて

コロナ禍、特に緊急事態宣言直後はテレワークが積極的に推進されました。

その結果、一部の企業ではオフィスの閉鎖やサイズを縮小し始めました。
(弊社のお取引先の90名規模のIT系企業も、オフィスを閉鎖しシェアオフィスに引っ越しました。)

ちなみに業績不振でのオフィス解約か、オフィスのあり方の見直しなのか詳細は不明ですが、以下のような賃貸オフィスの情報があります。

2021年7月時点で、複数のオフィス仲介企業が発表しているレポートを見ますと、東京都内のここ数年のオフィス空室率は2%程度だったものの、緊急事態宣言以降2020年7月ごろから上昇し始め、現在は6%まで上昇しています。数値の大小の評価はともかくオフィスが空き始めている傾向があるということです。主にIT系の中小企業を中心に解約等が増えているようです。

引用:三鬼商事株式会社 オフィスマーケットデータ 東京ビジネス地区/2021年07月時点より
https://www.e-miki.com/market/sapporo/index.html

 

テレワークが進むと出てくる新たな課題

テレワークが推進されると別の課題が生まれてきます。

 

・オフィスに届く郵送物の処理
従業員全員がテレワークしているためオフィスに届く郵送物の処理が遅れる。処理をするために結局誰かが出社している。

・新卒社員や中途社員への教育や精神的なサポート
新卒や中途社員は出社して仕事を覚えないといけないが、教える社員がテレワークで教育がなかなか施されない。結果すぐに辞めてしまう。

・オフィスのメンテナンス
掃除や美観管理を誰もしないため不衛生になる。掃除のために誰かが出社する必要がある。

※そのほか、オフィスのあり方とは直接関係ないですが、セキュリティ、定期代全額支給、各従業員の仕事の再定義などの課題があります。

テレワークは従業員視点でいえば、「通勤ラッシュに巻き込まれないからうれしい」「始業ぎりぎりまでゆっくりできる」などのメリットがありますが、オフィス(ここでいえば組織)視点ですと解決すべき課題が新たに生まれてきます。

 

NOCの総務の問合せにも変化

ここで話題を少し変えます。弊社NOCの総務サービスへの問合せについてお話します。

弊社の総務サービスは、東京都内を中心にお客様オフィスへの2名以上の常駐を基本とし、庶務業務のほか、受付、メール室等の業務を代行するサービスです。
つまりお客様にオフィスがあって、初めて提供できるサービスになり、月に十数件、多い時では数十件近くのお問合せがあります。

コロナ禍前は、派遣社員から切り替えや属人化防止といった検討理由が多く、主には外資系企業からのお問合せが多い傾向がありました。
(外資系企業は「管理部門はできる限りアウトソーシングするもの」といった考えが一般的のようです)

2020年4月以降は、緊急事態宣言の影響で、お問合せが数件程度になったことはあったものの、2021年に入ってからお問合せ件数が月十数件程度に復調してきています。

しかしコロナ禍前とは違い、検討理由が変わってきている印象です。
「オフィス移転に伴いアウトソーシングを導入したい」「メール室をアウトソーシングしたい」というご要望が多くなっています。
また外資企業のほか日本企業からのお問合せが増えてきています。

オフィス移転に伴う検討は、「テレワークしながらオフィスをどう維持するか」、「移転を機に効率化を推進したい」というご要望があるようで、一方、メール室アウトソーシングの検討は、「従業員が出社しないで郵便物を処理したい」というご要望があるようです。

どちらも「従業員のテレワークを推進しつつオフィスをどう運営するか」という観点でアウトソーシングを検討していることが見受けられます。

 

テレワークと(オフィスへの)出社のハイブリッド型

オリンピック/パラリンピックが終わり、ワクチン接種が進む中で、テレワークについて継続か廃止の二元論ではなく、総務サービスのご相談から鑑みても今後はテレワークと出社のハイブリッド型の推進が浸透していくと考えられます。

株式会社日本商業不動産保証社が2021年3月に都内企業の会社員・経営者300名に対して実施した新型コロナ禍におけるオフィス移転に関する調査の中で、「社員が出社できるオフィスは残した方が良いと思いますか」との質問に対して、「あてはまる」33%、「ややあてはまる」42%、合計75%の回答がありオフィスを残していく結果が出ています。

出典:PR TIMES 2021年4月5日 株式会社日本商業不動産保証リリースより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000016254.html

このデータから見てもテレワークと出社のハイブリッド型が浸透していくと考えられます。

やはり完全テレワーク化は非常に困難だといえます。紙処理やオフィスのメンテナンスなどの物理的な理由のほか、従業員の会社への帰属意識の維持、生産性向上に向けた仕事の再定義という点でも、すぐにベストな解決策を見出すことは難しいためです。

「オフィスは、従業員全員が出社し仕事をする場所」のままですと、誰も使わない施設を維持することにもなります。それぞれの企業の考え方はあるでしょうが、オフィスのあり方を見直すタイミングであることは間違いありません。

見直す切り口としては、「業績を効率的に上げるためにはどうしたら良いのか」が優先度の高い課題点として挙げられます。

これはこれで解決が難しいですが、決して利益優先にならず従業員のパフォーマンスが最大化する制度や環境を整えることが重要です。

何故テレワークすべきなのか、テレワークを推進しないと駄目な点は何なのか、逆に何故オフィスに出社するべきなのか、オフィスに出社しないと駄目な点は何なのか、をしっかり見極めるべきです。

インターネットの普及やモバイル機器の進化でどこでも仕事ができるようになっています。もはや「従業員は全員オフィスに出社して仕事をすべき」という理屈がそのままとおる時代ではなく、かといって完全テレワーク化も様々な制限で実現することは困難です。
であれば、両方の良いところをとるべき、がシンプルな選択といえます。

 

まとめ

世の中の流れとして、個々の考えはともかく確実にオフィスのあり方は変わってきています。

幸か不幸か、テレワークにより、今までやってきた業務の中で非効率なもの、不必要なものがたくさん見えてきました。重複した作業、複雑な手順、紙の申請などなど、遠隔でやり取りするがゆえに効率的に情報をやり取りしようとする過程で見えてくる無駄です。

これらを整理しつつテレワークを推進していくのですが、一方でオフィスに出社して仕事をするほうが、効果が出るものもあります。従業員同士の関係強化、チームビルディングなどです。(人間は群れを作る生物なので実際のコミュニケーションは重要です)

少々古いですが、SPACEMARKET編集部が2020年5月に公開した「働き方・オフィスのあり方に関するアンケート調査」の中の「これからのオフィスは「作業場所」から「交流」「組織力を高める」役割に変化」という結果では、オフィスの役割としては「交流する場所」「チーム・組織力を高める場所」が上位に来ています。

出典:SPACEMARKETEVENTより
https://event.spacemarket.com/magazine/news/workstyle-survey-202006/

オフィスは毎日出社して仕事をする場から、ある意味目的を持って出社する場に変わっていくかもしれません。従業員が集まって会社や自分を成長させる場になっていくのではないでしょうか。

そういった点を踏まえると、全従業員が出社する想定のスペースと環境は必要なくなります。これからもオフィス自体をなくす、という企業も一定数出てくると思いますが、企業規模がある程度大きくなると従業員の帰属意識の醸成という点からみても、会社を維持していくことに限界があるように思えます。ゆえにオフィスをなくすのではなく、目的に合わせたかたちに変えていく、あり方を変えていくということが最適な選択になります。テレワーク時代だからこそオフィスは会社と従業員をつなぐ「かすがい」になっていくのです。

 

 

ライタープロフィール

津久井 基喜

津久井 基喜

営業推進部副部長。NOCのマーケティング責任者および問合せ全件を管理する。アウトソーシングだけではなく、企業の事業を推進するうえで基盤となる管理部門の方々の価値を高めるための情報発信、提案を行いたいと日々考えている。

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