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2021.11.05 掲載 2022.07.08 更新

財務パーソンが活きる!ヒト・モノ・カネが躍動する企業とは?【第二十七回】経理部任せでは済まされない!電子帳簿保存法改正。

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電子帳簿保存法改正に向けて、財務パーソンの『振る舞い方』は?

2022年1月より、電子帳簿保存法が改正されます。財務パーソンは、日次・月次業務についても経理部と十分に連携を取り合いながら、邁進しておられるでしょうが、本改正は、経理部、財務部のみならず、全部門・全社員らの業務に係る経費に掛かる処理についても、大きく関わるところなので、早急な準備と対応が必要です。
しかしながら、財務部の立ち位置として、具体的にどうすることが相応しいか、迷っている方は少なくないではないでしょうか。
今回は、まもなく訪れる電子帳簿保存法改正に向け、財務部の『振る舞い方』を考えていきます。自社に応じたあなたならではの策を実践してみてください。
 

電子帳簿保存法改正の概要とは?

まずは、そもそも電子帳簿保存法は、何がどのように変わるのかポイントを押さえていきましょう。
既に電子帳簿を導入している企業は多いでしょうが、必ずや自社内でも新対応が必要な箇所があるはずです。
概要を4点にまとめて以下に示します。

1、 承認制度の廃止

電子帳簿保存法に則って、証憑等の書類をデータ化する場合は、適用したい時期の3ケ月前までに、所轄の税務署へ申請しなければなりませんでしたが、廃止になります。よって、改正法に添った会計システムやスキャナ等が準備出来れば、電子保存が可能になります。

2、 タイムスタンプ要件の緩和

電子保存されたデータを改ざんされていない原本書類であることを証明するため、信頼できる第三者機関より付与される「タイムスタンプ」は不可欠でしたが、不要になります。

3、 検索要件の緩和

検索システムについて、細かな条件指定をしての機能が必要でしたが、「取引年月日・取引金額・取引先」のみになります。従って、国税庁等の要求によって電子データのダウンロードに応じることとする場合は、範囲指定や項目を組み合わせて設定する機能の確保が不要になります。

4、 電子取引の電子データ保存義務化

電子取引データについては書面で保存することが容認されていましたが、令和4年1月1日以降行う電子取引データ(注1)から書面に出力し、保存されることが廃止されると同時に電子保存が義務化されます。
※注1:電子取引データとは?
Ex1:)EC(電子商取引)サイトで備品を購入し、領収書をPDFデータでダウンロードした。
Ex2:)FAXで送付してきた請求書を複合機でデータ保存した。
Ex3:)テレワーク中でオフィスに請求書を郵送されても受け取り不能のため、PDFデータにした請求書をメール添付して送信してもらった。

以上を踏まえ、財務パーソンとしての『振る舞い方』について、ポイントを3点にまとめて述べていきます。参考にして、出来るところから取り入れてはいかがでしょうか。

◆POINT 1:マニュアル改訂は、財務視点も加える。

本改正により、経費精算等のフローについて見直したり、マニュアルが存在するのであれば、改訂したりと経理部を中心に慎重な対応が求められますが、財務部も経理部任せに構えるわけにはいかないでしょう。

ここで、筆者がお勧めしたいのが、電子取引データのみを注視したフロー改訂ではなく、財務視点での改訂策があるか否か検討してみることなのです。
なぜなら、一口に経費精算と言っても厳密に言えば、収益のみならず、人財の厚生面、或いは機器備品に係るものなど、ヒト・モノといった経営資源の保全に対応する費用も精算する場があったはずです。
よって、財務部のカテゴリーにも大いに関わることも含まれているので、財務部のチェック機能がこれまで存在したか否かも視野に入れながらの、マニュアル改訂を進めてはいかがでしょうか。

たとえば、経費精算フォームも見直して、費用発生の目的・意義について詳細を入力できるような欄を設け、経理のみならず財務もチェックするような精算フロー体制にすれば、社員らも、財務視点も盛り込みながらのコスト有効活用を意識して、職務に邁進するかもしれません。

貸借対照表上の資産価値にすぐに直結する費用でなくても、これまで、財務部のチェック機能が薄いようであれば、検討の余地があるはずです。法に抵触しないことや効率性のみならず、マニュアル改訂の中に改善箇所を洗い出し、本改正を契機に刷新してはいかがでしょうか。

◆POINT 2:新システム導入は、財務部のチェック機能も重視する。

本改正により、電子取引データ保存に係る新システムを導入する企業もあるでしょう。こうしたケースは、どちらかと言えば経理部門の実務マネージャークラスが主導となって進められることが多く、財務部の出番が殆どないことが危惧されますが、自社の無形固定資産部門であるソフトウェアの値が変動する機会に当たるかもしれないので、財務パーソンが関わるのは不可欠でしょう。

よって、システム導入に関連する業者や機器の見積もり段階といった場面において、財務パーソンが意見発信できるような体制で臨むことがベストです。
もし、不足点があるのであれば、上司・先輩に相談しながら、環境整備を求め、財務パーソンとしての出番を探り、進めてみてください。

たとえば、これまで新システムを導入したことにより、どれだけの工数やミスが削減出来、ひいては生産性が向上されたか、といったエビデンスを経理部や関連する部門と連携しながら、主導者に示すことで、この度の電子データ取引に係るシステム導入についても、慎重な選定に当たることが出来るでしょう。

新システム導入は、資本投下効果がどれくらいなのかといったところに目配りする必要があるため、正に財務の振る舞いが利く場面です。遠慮せずに当たってみてください。

◆POINT 3:関連部署の活動に注視し、企業価値向上策を探る!

電子データを本改正により、新体制で保存することで、閲覧がしやすくなるといったメリットが生ずるのではないでしょうか。
よって、業者との取引内容が解りやすくなるので、関連部署の活動がより鮮明になる期待が出来ます。
このような環境を前向きに捉え、財務パーソンの役割の精度を更に上げていきましょう。

たとえば、電子データを通し、部署ごとの活動を精査しながら、今後の動向をヒアリングすることで、期待出来る収益や利益について、早期の段階で試算が可能になり、ひいては、顧客や投資家といったステークホルダーらにどのような角度で、自社の魅力をアピールできるか模索しながら、具体策を練るような職務が見えてくるかもしれません。

単なる法改正と捉えることなく、あなたならではの財務パーソンとしての取り組みを模索・実践してはいかがでしょうか。たとえ僅かであっても、自社の将来においての企業価値向上に繋がるはずです。

視野を広げて法改正の『なぜ?』を解く。

財務は、投資家や顧客といった外部のステークホルダーの声を聴くことなく成り立つ仕事ではありません。
つまりは、スタッフクラスであっても、マニュアル通りの定型仕事のみで終えることなど、殆どあり得ないはずです。
よって、今回の電子帳簿保存法改正が、なぜ行われるのか?
財務パーソンの個々で想像しながら、自社を客観視し、着実な職務に当たることは、言うまでもなく必然でしょう。

勿論、今回の法改正の理由は様々あるでしょうが、その一つに2023年に導入される『インボイス制度』を見据えたことがあるでしょう。
たとえば、本制度を見据え、取引内容をより透明化しようとする動きであると捉えられるのであれば、ステークホルダーに対して、今回の法改正を契機にマクロ、ミクロ両方の観点から刷新する箇所があぶりだされるかもしれません。
具体的には、経費発生や業者よりの見積もりから発注までのフローといった、これまで当たり前だとされていた方法や慣習を正しく疑うことで、より良い方向へと軌道修正されることもあるでしょう。

今回の法改正を単なるお上からの指示事だと、捉えるか否かで、あなたのスキルそして自社の将来においての企業価値が左右されるかもしれません。
さて、どうするか?答えは、あなたが決めて行動するのみなのです。
※参考サイト
MJS 「電子帳簿保存法の改正徹底解説!!
 

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ライタープロフィール

田村 夕美子

経理環境改善コンサルタント・ビジネス系作家。(HP:https://giftwind.jp/)経理関連のセミナーや「日経ウーマン」「ダイヤモンドオンライン」など各種メディアへの執筆を中心に活動中。「できる経理の仕事のコツ」(日本実業出版社)など著書多数。 最新刊「税理士のためのコミュニケーション術」(第一法規)が好評発売中。インスタグラムにて『前向きビジネスパーソンに贈るYumiko録×夕美子録』配信中。https://www.instagram.com/yumiko.tamura.giftwind/

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