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2024.12.05 掲載 2025.06.02 更新

【事例】BPaaSとは?BPOとの違いや市場規模3つの導入メリットを解説

人事・総務・経理をはじめとした管理部門・間接部門向けのアウトソーシング

FOCのハイブリッドアウトソーシングサービス

本記事では、BPaaS(ビーパース・Business Process as a Service)について詳しく解説します。BPaaSと近しい言葉にBPO(ビーピーオー)やSaaS(サース)があります。それぞれの違いを説明していきます。

BPaaSとは

BPO × SaaS → BPaaS

BPaaSは「Business Process as a Service」の略称で、簡単にいうと、アウトソーシングとクラウドサービスを組み合わせたモデルのことを言います。

従来のアウトソーシングおよびBPO(Business Process Outsourcing)では、データのやりとりや処理は、紙やエクセルを活用しているなどアナログな部分もありました。
一方でBPaaSでは、クラウドサービスを介してデータのやり取りや処理が行われ、今まで以上に効率的なサービスを受けることが可能になります。

BPaaSとBPOの違い

従来のBPOでもクラウド技術を活用することはありますが、クライアントごとに業務のカスタマイズ対応が多くなると、BPO会社の業務効率化があまり進まず、コスト還元ではBPaaSに劣る傾向があります。逆をいうとBPaaSは顧客ごとのカスタマイズがしづらいということになります。

BPaaSとSaaSの違い

BPaaSとSaaS(Software as a Service)は、どちらもクラウドサービスの一種ですが、提供する内容に違いがあります。

  • BPaaS:ビジネスプロセス全体をクラウド上で提供するサービス

 業務運用を行うだけではなくクラウドサービスの運用も行う

  • SaaS:ソフトウェアをクラウド上で提供するサービス

 クラウドサービスを提供するだけで、初期設定や運用は利用者が行う

BPaaSは、SaaSを含む複数のクラウドサービスを組み合わせ、人的リソースも加えて、ビジネスプロセス全体をサービスとして提供します。例えば、人事管理のBPaaSでは、SaaSとしての人事管理システムに加えて、データ入力や給与計算などの実務も含めたトータルサービスを提供します。

BPaaSの市場規模とは

出典:ビジネスプロセスサービス(BPaaS&BPO)市場の現状と展望 2024年版
   デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社
   https://mic-r.co.jp/mr/03080/

BPaaS(Business Process as a Service)の市場規模は拡大しています。デロイトトーマツ ミック経済研究所の調査によると、「2027年度までのBPaaS CAGRは13.3%増とビジネスプロセスサービス(BPS)市場全体のCAGR(7.9%増)と比べても成長する領域で、現状では、「人事・給与」「経理/管理・財務会計」業務など特定領域で利用が拡大。2027年度でBPS市場の2割を突破する見通しである。」とのことで、今後も成長が続くと予測されています。

BPaaSの市場規模拡大が進む3つの要因

BPaaS市場の拡大には、以下の3つの主要な要因が挙げられます。

1.デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
企業のDX推進に伴い、業務プロセスのデジタル化・自動化ニーズが高まっています。BPaaSは、クラウドベースのサービスとして、迅速かつ柔軟にこれらのニーズに対応できるため、需要が増加しています。

2.人手不足への対応
委託側の人材不足の対応策として、より市場拡大が進むことは間違いありません。一方でBPO会社側も同時に人材不足の課題があります。BPaaSによりクラウド化が進むことでBPO会社内の業務効率化が進み、かつ顧客ごとのカスタマイズが必要なくなることで、今までよりも少ない人員で運用でき、研修時間も短縮できるメリットがあります。

3.コスト削減と効率化への要求
クラウドサービスを活用することで顧客とBPO会社双方の業務工数の削減、処理手順の標準化が進む結果、コスト削減や効率化が今まで以上に可能になります。

BPaaSが活用できる業務内容

BPaaSは、以下のような業務領域での活用が進んでいます。

経理業務

経理業務は、BPaaSの活用が最も進んでいる分野の一つです。例えば請求書処理や経費精算のような業務で利用されています。

仕入先から電子で請求書が届き、自動的に販売管理システムにデータがインポートされ、仕訳処理が行われる、のような流れです。紙で届く請求書や内容の確認作業、支払計上、仕訳などの処理は一部BPO会社の運用担当者が間違いないか確認することでBPaaSの精度を向上させています。また、販売管理や会計システムのマスタ情報のメンテナンスもBPO会社が代行することで依頼主の手間は大幅に削減できます。

労務業務

労務管理においても、BPaaSの活用が進んでいます。例えば勤怠管理や入退職処理で利用されています。

BPaaSベンダー会社が提供する労務管理システムに従業員が直接、勤怠や入退職申請を行い、社労士や労基署、保険事務所と連携します。その後の給与計算処理や経理処理とも連携することが可能です。経理業務同様、プロセス内のデータチェックやシステムの設定、マスタメンテナンスはすべてBPaaS会社が運用します。

人事業務

採用やタレントマネジメントなどの人事業務でもBPaaSの活用が広がっています。いわゆるHR Techの進化版です。

採用では、採用管理システムを軸に応募者管理、面接官調整、面接代行、合否管理、入社手続き対応などがBPaaSで対応可能です。

人事領域は特に上場会社を始め人的資本経営が注目されHR Techが進んでいるものの、専門人材が社内に少ない課題があります。BPaaSを活用して人的資本経営実現へのスピードをアップしています。

BPaaSを導入する3つのメリット

BPaaSを導入することで企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、主要な3つのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化の実現や生産性向上が見込める

従来のアウトソーシングやBPO以上に、BPaaS導入により、企業は業務プロセスを大幅に効率化し、生産性を向上させることができます。

クラウドシステムを軸に業務運用するため、データ入力や管理の手間削減、働く場所を問わなくなります。効率化が進んだ結果、担当者は別の業務を行うことができ生産性も向上します。

コストを削減することができる

BPaaSの導入は、企業にとって大きなコスト削減につながります。従来の社内業務処理と比較してもシステム構築費、サーバ設置費、保守運用費、業務担当者人件費などを削減できます。

また、BPaaSのサービス利用料は、通常従量制または定額制で提供されることもあり、企業は必要な分だけコストを負担すればよく、固定費を変動費化することができます。これにより、特に中小企業や成長期のスタートアップにとっては、積極的に活用したいビジネスモデルです。

クラウドシステムのマスタデータ管理をアウトソーシングに任せられる

システム運用で意外に負担なのが組織変更や異動退職に伴う変更作業です。
通常は自社でやらなければいけませんが、クラウドでアウトソーシング会社とデータ共有しているため、組織変更に伴うアカウントの紐づけやワークフロー変更などを代行してもらえます。

BPaaSを導入する3つのデメリット

BPaaSのデメリットも考慮する必要があります。

今までの業務プロセスを見直す必要がある

アウトソーシングやBPOを利用するならば、必ず今までのやり方を変更する必要があります。とはいえ、企業ごとのカスタマイズや利用しているシステムをそのまま使ってもらうなどの融通がある程度きくことがありました。

BPaaSでは多少のカスタマイズ(BPaaS内のBPO範囲)はきくものの、原則クラウドサービスという利用者全員が共通して使うシステム、画面構成、処理手順になるため、今までの自社独自のやり方を見直す必要があります。

セキュリティーリスクが高くなる

BPaaSだけではないですが、アウトソーシングやBPOは外部の企業とデータをやり取りしますので、当然自社ではないためセキュリティーリスクは高くなります。

BPaaSは特に企業の重要なデータや情報が外部のサービス提供者のシステムに保存されることになり、データ漏洩のリスクや不正アクセスの可能性、サイバー攻撃の標的になるリスクが高くなります。

業務対応が外部企業に依存する

BPaaSを導入することで、特定の業務プロセスを外部のサービス提供者に委託することになります。これにより、業務の柔軟性の低下、サービス提供者への過度の依存、社内のスキルやノウハウの喪失といったデメリットが従来のアウトソーシングやBPOよりも発生します。

BPaaSサービスの料金体系

BPaaSの料金体系は、サービスの種類や提供企業によって異なりますが、一般的に以下のような形態が存在します。

従量課金制

従量課金制は、利用した分だけ料金を支払う方式です。例えば、請求書処理のBPaaSサービスでは、1枚あたりの処理単価が設定され、月々の処理枚数に応じて料金が算出されます。

定額制

定額制は、一定期間(通常は月単位)で固定の料金を支払う方式です。例えば、人事管理や給与計算などの定型業務を扱うBPaaSサービスでは、従業員数に応じた月額料金を設定していることが多いです。

予算管理がしやすいことや大量に利用する場合はコスト効率が高いのが定額制の特徴です。

従量定額併用制

従量定額併用制は、基本料金と従量料金を組み合わせた料金体系です。一定量までは定額で、それを超えた分は従量課金といった場合が多いようです。
例えば、カスタマーサポート業務のBPaaSでは、基本的な対応件数までは定額で、それを超える問い合わせに対しては1件あたりの従量料金が発生するケースがあります。

BPaaS導入の成功事例

BpaaSの具体的な事例をご紹介します。

社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会

運営するグループホームにおいて、利用者ごとに請求金額が異なる設計になっており、現場担当者は利用者ごとに請求金額を算出する必要があり大きな負担になっていました。

そこでグループホームごとの家賃・光熱水費および一部の日用品費を合算、利用者ひとりあたりの請求額算出をアウトソーシングするとともにクラウド型の請求代行サービス(スマートインボイス)を活用し、請求書発行を自動化しました。

アウトソーシングとクラウドシステムを同時に活用することで請求額に基づき利用者の口座振替を行い、一部の現金徴収が不要になり、現場担当者の負担が削減されました。

参考:https://www.noc-net.co.jp/case/1027/

(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWF)

勤務開始時刻と終業時刻を職員がエクセルで手打ちし、担当者が集計する形で給与計算を行なっていました。チェック担当も含め3名で実施していましたが、担当者がデータを転記する時にセルを間違えて入力したりと、ミスが起こりやすい状況になっていました。
また、毎月プリントアウトしたものを原本として保管していたので、プリントアウトするためのコストや保管スペースも必要でした。

そこで勤怠システムの導入と同時に給与計算および付随する業務を一括アウトソーシングすることで担当者1名で対応ができるようになり、勤怠時間も自己管理できるようなりました。

参考:https://www.noc-net.co.jp/case/694/

おすすめのBPaaS代行サービス3選

BPaaSの導入を検討している企業向けに、信頼性が高く、実績のあるサービスを3つ紹介します。各サービスの特徴や強みを比較し、自社のニーズに合った最適なBPaaSを選択する際の参考にしてください。

アクセンチュア株式会社

グローバルコンサルティング企業であるアクセンチュアが提供するBPaaS(BPO)は、幅広い業務領域をカバーしています。
アクセンチュアは、特に大規模なグローバル企業や複雑な業務プロセスを持つ企業に適しています。業務効率化とコスト削減を同時に実現し、デジタルトランスフォーメーションを加速させるサービスとして評価が高いです。

参考:https://www.accenture.com/jp-ja/services/business-process-outsourcing-index

株式会社日立ソリューションズ・クリエイト

日立グループの会社です。人事総務関連のBPaaSを提供しています。
給与計算や勤怠管理、入社管理などを自社クラウドシステムとの併用でサービス提供しています。

参考:https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/solution/jinji_bpo/

芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社

BPO業界で老舗になる国産アウトソーシング会社です。従来の顧客ごとのカスタマイズ対応に優れつつも経理・請求書処理を、クラウドシステムを介してトータルにサービス提供しています。

参考:https://www.noc-net.co.jp/
   https://www.noc-net.co.jp/smartinvoice/
   https://www.noc-net.co.jp/noc_invoicetotalsolution/

BPOとSaaSを同時に提供できる会社はまだまだ多くはなく、BPO会社がクラウドシステム会社と連携してサービス提供している形態が多いようです。
業務担当者のリソースを確保しつつ、システム開発を行うとなるとどうしても会社の資本力が必要になってきます。BPO会社、SaaS会社、それぞれの強みを活かせる業務連携はこれからも進んでいきそうです。クラウドならではの連携であるので利用者は歓迎すべきでしょう。

BPaaS事業者を選ぶ4つのポイント

BPaaSを導入する際、適切な事業者を選ぶことが重要です。以下の4つのポイントを押さえて、自社に最適なBPaaS事業者を選びましょう。

対応可能な業務量

BPaaS事業者を選ぶ際、まず考慮すべきは対応可能な業務量です。自社の業務規模に適した事業者を選ぶことが重要です。主に以下の点を検討材料としてください。

  • 処理可能な取引者数
  • 対応可能な従業員数
  • ピーク時の処理能力
  • 拠点数や人員規模

導入事例や導入実績

BPaaS事業者の信頼性を判断するうえで、導入事例や導入実績は重要な指標となります。以下の点に注目して評価しましょう。

  • 同業種での導入実績
  • 類似規模の企業での導入事例
  • 導入後の効果や成果
  • 長期的な取引関係

特に自社と同じ業界や類似の業務形態での導入実績があればよいでしょう。

セキュリティ対策

BPaaSでは機密情報や個人情報を扱うため、セキュリティ対策は最重要課題の一つです。以下の点を確認しましょう。

  • 情報セキュリティ認証
  • データ保護
  • 物理的セキュリティ
  • 従業員教育体制
  • インシデント対応

特にBPaaS場合は、データセンターのセキュリティレベルや、データの地理的な保管場所についても確認が必要です。

料金体系

BPaaS事業者の料金体系は、導入コストや運用コストに直結する重要な要素です。以下の点に注意して比較検討しましょう。

  • 初期導入費用
  • 月額利用料
  • 従量課金の有無と料率
  • 最低利用期間や解約条件
  • オプションサービスの料金

透明性の高い料金体系を提示し、将来的なコスト予測が立てやすい事業者を選ぶことが重要です。また、自社の業務量の変動に応じて柔軟に料金が調整できるかどうかも確認しましょう。


料金体系選択のポイント

BPaaSの料金体系を選択する際は、以下のポイントを考慮することが重要です。

  1. 業務の性質と量:定型的で量が安定している業務か、変動が大きい業務か
  2. 予算:固定費を抑えたいか、変動費を抑えたいか
  3. 利用規模:小規模な利用か、大規模な利用か
  4. 成果の測定可能性:明確な成果指標が設定できるか
  5. リスク許容度:コストと成果のバランスをどう取るか

BPaaSの料金体系は、サービスの進化とともに今後も変化していく可能性があります。最新の動向を把握し、自社のニーズに合った最適な選択をすることが重要です。

まとめ

BPaaSは、ビジネスプロセスのアウトソーシングとクラウドサービスを組み合わせたソリューションです。従来のBPOと異なり、DX推進が必須の時代に合ったサービスといえます。

今回は経理、労務、人事などの業務の紹介をしましたが、マーケティングやカスタマーサクセス、営業代行といった領域でもBPaaSのサービスは広がってきています。

適切なBPaaSサービスを選択することで、限られたリソースのなかで競争力を高め、コア業務に集中し、働き方改革や生産性向上を推進していきましょう。BPaaSは強力なビジネスモデルとなる可能性を秘めています。

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ライタープロフィール

くもと編集

マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「FOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

くもと編集

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