人材派遣でよくあるトラブル 職場見学(就業前)から就業後まで

woman

人材派遣は多くの企業で、業務遂行に必要不可欠な人材として活躍の場が広がっています。しかし、派遣社員の活躍の場が広がるにつれ、受入側である就業先と派遣社員の間で「人材派遣」についての認識ギャップがあった場合、トラブルが生じるケースが増えています。
派遣法、労働市場環境、派遣社員の意識等は、時代とともに変化しています。
今回は、就業前、就業中にどのようなケースでトラブルになりやすいかをご紹介いたします。

 

■よくあるトラブル 職場見学(就業前)

派遣社員側の希望で行うこともある、いわゆる「職場見学」でのトラブルをご紹介します。

労働者派遣法において、事前面接は禁止(紹介予定派遣は除く)されていますが、着任前に職場の人と話をする場を設ける事があります。

本来、職場の雰囲気を見てもらうための機会なのですが、職場担当者が「面接」の機会と考えてしまっていると、「志望動機を教えてください」、「自己PRしてください」といった面接のような質問や、業務遂行に直接関係のない「自宅はどのあたりですか?」、「お子さんは何歳ですか?」などを話題にしてしまいます。また、「あなたに決めました」、「結果は改めてご連絡いたします」というようなあたかも派遣先が採用を決定するような発言をしてしまうことがあります。これらは全て違法です。

労働者派遣法に詳しい人事部の社員が応対するのではなく、実際に業務を行う職場の担当者が応対することが多いため、法定事項を理解していないことが原因です。

人事部の担当者が職場担当者に事前に説明していても、つい“採否を決める”と考えてしまい、面接のような質問をしてしまいがちです。万一、職場見学の際にこうした質問が出そうな場合は、派遣会社の営業担当者が職場見学会をコントロールすることが大切になります。

もし、派遣社員本人が職場見学で受けた質問を面接行為と解釈し、更に就業できないともなれば大きな不満を持つ可能性があります。

就業前の派遣社員との「職場見学」は、誤解から生じるトラブルを避ける上でも「面接行為」と見做されないように、職場担当者の方はその言動に十分配慮する必要があります。

 

■よくあるトラブル 職場(就業中)

woman_2

就業中にありがちなトラブルの原因は、「仕事内容」、「雇用形態の違いに起因するトラブル」、「人間関係」、「評価」に分類することができます。

 

「仕事内容」

契約にない業務を派遣社員に指示することは契約違反となります
実際にはこうしたトラブルが発生する頻度はかなり高い状況です。

例えば、期間制限のない政令28業務(旧 政令26業務)の「財務関係」で契約している派遣社員の場合、以下のような業務を担当させてしまうと、3年の期間制限のある「自由化業務扱い」となります。

1.代表電話の応対
2.財務と直接関係ない資料の取りまとめ
3.職場のお茶出し、ゴミ捨て

また、部署内が忙しくなり、派遣社員に新しい仕事をどんどん追加して依頼してしまうこともありがちです。

「突発的に起こったことだから仕方ない」と考え、派遣社員も「みんなが忙しそうにしているから仕方ないか」と考え、ずるずると契約範囲外のことをさせてしまうことは、契約違反であり、最終的には派遣社員の就業意欲にも悪い影響が出てしまいます

派遣契約内容以外のことは依頼しないが鉄則です。契約内容以外の業務を追加等する必要が生じた場合は、派遣社員へ直接指示するのではなく、先ずは派遣元会社の営業担当へ相談し、本人の合意のもと契約内容の変更手続きを行うよう心がけましょう。

さらに、たとえ自由化業務の契約内の仕事であっても以下のようなケースは要注意です。

「ランチミーティングに部署全員が出席することになり、その間の電話対応のため、派遣社員に、休憩を取りながら席で電話番をお願いした」

休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間とされ、「休憩時間を自由に利用させなければならない」と労働基準法第34条3項に定められています。
このケースは、完全な休憩時間とは言えず、“電話応対を待つ”という手待ち時間になります。手待ち時間分は別途休憩時間を取得させる必要があります。

派遣社員に関する基本的な労働法令内容を派遣先の指揮命令者をはじめ職場の皆さんが事前に承知していることが、トラブル発生を未然に防ぎます。また、そのことによって派遣社員は気持ち良く仕事ができ、また仕事への意欲が益々高まるものと思います。

 

「雇用形態の違いに起因するトラブル」

雇用形態の違いに起因するトラブルも時折発生します。

何気ない行為でも、派遣社員は戸惑いを感じることがあります。シフト制の休憩時間の順番でも、正社員が先に休憩を取り、派遣社員がいつも最後に取っているようなケースです。「差別」と思う人もいます。

その他にも、名前で呼ばず「派遣さん」と呼んだり、「派遣は責任がなくて気楽でいいなぁ」という言葉や態度が派遣社員を傷つけています。派遣社員からすれば、同じ職場で一生懸命に仕事をしているのにどうしてそんなことを言われるのかと感じ、不満を募らせます。

 

「人間関係」

派遣社員だからという理由で、業務以外では声をかけてもらえないような雰囲気や職場のイベントに誘われない状況は派遣社員を孤立させてしまいます。逆に、部署の飲み会に強引に誘う、プライベートな質問をすることなどは、正社員以上にナーバスになることが多く、それが仕事への意欲を低下させる要因にもなります。

これは一般の社員でもいえる、コミュニケーションが重要というごく当たり前のことです。雇用形態の違いを前提とせず、職場の仲間として、お互いに気にかける関係がよいでしょう。

 

「評価」

人は誰しも自分の努力や仕事の成果をキチンと理解してもらいたい、認めてもらいたいと考えています。派遣社員の方々も同様です。派遣社員が良い仕事をした時に、率直に感謝し、慰労することが大事であると思います。
そして、長く働いて欲しい派遣社員に対しては、諸条件が整えば時給アップを検討することも重要なことです。

 

■よくあるトラブル 契約終了・退職

派遣社員がある日突然出社しなくなることがごく稀にあります。

着任後、1週間、1ヶ月、3ヶ月という節目が特に大事です。派遣社員が抱いていた仕事内容や職場環境のイメージと実際とのギャップがあり、それを放置していたことが主な原因であることが多いようです。派遣先企業は、派遣社員への関心度合を高め、普段から必要なコミュニケーションを取ることが大切です。

 

■トラブルを未然に防ぐ、最小限に抑える手段とは

women

人材派遣は、企業にとっては人手不足を素早く充当できる雇用形態として重宝されてきましたが、昨今は派遣社員への応募者が減少してきています。今までと同じような考え方では通用しない時代になってきました。

優秀な派遣社員が長く働きたいと考える職場とするためには、派遣元企業だけでなく派遣先企業も今まで以上に配慮が必要になっています。派遣社員の優秀な人材ほど、直ぐに条件のよいところへ移っていける時代なのです。
トラブルによる退職は派遣元企業、派遣先企業、派遣社員本人共に、大変なロスを生じます。トラブルの原因は人間関係やコミュニケーションの問題である事がほとんどです。逆に言えば、派遣社員活用のメリット、リスクを十分に理解し、法令順守の精神と派遣社員への配慮や意識付け等が職場に浸透していれば、従来以上に安定した、高いパフォーマンスの発揮に繋げる事ができると考えます。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」