オンライン面接とは?メリット・デメリットを理解して上手に取り入れよう

 

オンライン面接とは、インターネットの音声電話やテレビ電話機能を利用して行う面接形式のことです。通常、企業などの採用面接では応募者は採用企業に直接出向く必要がありますが、オンライン面接の場合は自宅のパソコンなどからリモートで企業の採用担当者と面接をすることができます。

 

■オンライン面接が普及した背景

オンライン面接は、日本では2010年ごろから導入する企業が増えてきたと言われています。では、なぜオンライン面接を導入する企業が増えているのでしょうか?
オンライン面接が普及した背景を理解するには、インターネットでの会議がSkypeやFacetimeによって定着したというインフラ環境の変化や、グローバルかつ業界の垣根を超えて人材獲得競争が激化する中で、従来以上に優秀な人材の確保が求められているという採用企業の課題の変化に着目することが重要です。こうした採用企業の課題は、大きく分けると以下の3つになります。

・優秀な人材を発掘するために地方や海外の人材にもアプローチしたい(「間口」の課題)
・応募者・採用企業双方にとってミスマッチのない人材を見極めたい(「精度」の課題)
・上記の2点を現場の負担(コスト)をできるだけ抑えて実現したい(「効率」の課題)

オンライン面接は、実はこの3つの課題を解決する上で有効な手段になる可能性があります。それでは、オンライン面接のメリットをより具体的に見てみましょう。

 

■オンライン面接のメリット

ここからはオンライン面接のメリットについて、先に述べた採用企業の3つの課題(「間口」・「精度」・「効率」)に対応させて見ていきます。

優秀な人材を発掘するために海外や地方の人材にアプローチできる(「間口」)
優秀な人材を確保する上でまず検討すべきは、そもそもどれだけ多くの候補者に網をかけられているかです。もちろん、人口が集中する東京・名古屋・大阪等の都市部を優先して採用活動を行うのは合理的ですが、同じように考える多くの企業と競争になることは避けられません。

一方で、地方や海外は競合企業が比較的手を付けられていない可能性があります。もし他社に先駆けて候補者に網をかけることができれば、優秀な人材を発掘できる期待が高まります。こうした観点から、遠隔地の応募者とも簡単にコミュニケーションができるオンライン面接は有効な手段となります。

ちなみに、地方に本社を置く企業が、遠隔地採用によって首都圏に住む応募者を雇用し、その応募者がIターン・Uターン就職になる場合は、助成金の交付対象になるというメリットもあります。

応募者・採用企業双方にとってミスマッチのない人材を見極められる(「精度」)
候補者の間口を広げるとかえって悩みが深まるのが、応募者を見極める精度です。インターネットから玉石混交の応募がある中で、どうやって適切な応募者を見極めればよいのでしょうか。採用企業として求めるスペックの人材をどうやって見極めるかという難しさに加えて、入社後のミスマッチを防ぐためにどうやって応募者に理解を深めてもらうかという難しさもあり、なかなか根深い悩みです。

オンライン面接はこうした見極め精度を改善するのに有効な手段となります。
まず、オンライン面接は、応募者にとって大きな負担となる移動の時間や費用がかからず、面接者もすきま時間を活用しやすいため、対面での面接に比べて多くの面接を実施することが可能です。採用企業としては、対面での面接に進めるべきかをより正確に判断することができますし、面接回数が増えれば、応募者・採用企業が互いに理解を深めるチャンスにもつながります。

また、電話やテレビ電話でのコミュニケーションは、どちらかが質問をしてもう一方が答えるという「一問一答的なコミュニケーション」になりやすく、対面でのコミュニケーションと比べて応募者の見極めにつながる「やり取り」に集中できる傾向があります。その点で、オンライン面接は、履歴書だけでは分からない応募者の性格や対応力を知るのに適したコミュニケーション方法と言えるでしょう。

さらに、オンライン面接の場合は「面接のプロセスを動画に保存できる」という副次的なメリットがあります。これにより、合否の判定に悩むボーダーラインの応募者がいた場合に動画を見直して複数の担当者で合否を判断したり、採用担当者同士で面接の方法を共有したりすることで面接の質を底上げすることが可能です。

上記の2点を現場の負担(コスト)を抑えながら実現できる(「効率」)
以上のように、応募者の間口が広がり、優秀な人材を見極める精度が高まればそれに越したことはないように思えます。しかし、採用の現場でよく聞かれるのは採用担当者の負担増大です。業務時間内に面接の時間を確保したり、場合によっては業務時間外や休日に面接を行ったりすることで、採用に対するモチベーションが低下してしまっては問題です。したがって、現場の負担を抑えながら効率的に面接を行うことも重要です。

その点、オンライン面接は採用担当者の負担が比較的少なくて済みます。オフィスに戻らず移動先での面接や、複数の面接をすきま時間に分けて実施することも可能です。また、会議室を確保したり、応募者を待機・誘導したりといった事務的な手間を省略することも期待できます。

 

■オンライン面接のデメリット

オンライン面接にはデメリットも存在します。しかし、あらかじめデメリットを理解し、対策を行うことで、デメリットを最小限に抑えることは十分可能です。

対面での面接と比べてミスコミュニケーションが起きやすい
オンライン面接においてもっとも注意しなければならないデメリットは、非対面での面接ならではのミスコミュニケーションのリスクです。電話での面接の場合、顔が見えない会話のみでのコミュニケーションのため、相手の意図が伝わりづらくなります。また、テレビ電話での面接であっても会話の間合いが取りづらく、気づくとどちらかが一方的に会話してしまう危険があります。

こうしたリスクを理解していれば、あらかじめ対策をすることは可能です。例えば、面接で伝えたい内容(会社紹介資料など)・聞きたい内容(志望動機書など)はあらかじめメールで交換しておく、前半・後半で質疑応答の役割を交代することを決めておく(最後の10分は応募者からの質問にあてる)などが考えられます。ミスコミュニケーションを確実に防ぐためには、面接の進め方を担当者任せにせず、こうしたルールを決めておくことが大切です。

通信機器のトラブルが起こる可能性がある
次に、オンライン面接につきまとうデメリットとして通信機器のトラブルが挙げられます。通信機器のトラブルはちょっとした操作ミスで起きるだけでなく、通信環境の不具合でどうしても起きてしまう場合があります。こうしたトラブルへの対処を間違えると、予定通りに面接を実施できないだけでなく、応募者の信頼を損なってしまう可能性があります。

まず、人為的なミスを確実に防ぐことが最低限求められます。面接担当者を集めて通信機器の使い方について研修を行う、オンライン面接の直前に一度社内で(人事部などに)つないで通信状態を確認させるなど、簡単なチェックプロセスを導入するとよいでしょう。

その上で、通信環境の不具合でどうしてもうまく面接ができない場合には、応募者に対して明確な説明を行うことが大切です。例えば、オンライン面接の事前案内の際に不具合が起きた場合の対応を記載しておく、採用担当者のために不具合が起きたその場で応募者に連絡するメールのテンプレートを用意しておくなど、応募者から見て安心できる対応が求められます。

 

■オンライン面接を成功させるポイント

こうしたメリット・デメリットを踏まえ、オンライン面接を成功させるためのポイントを改めて考えてみましょう。最も大切なことは、オンライン面接を導入することで、どのような採用の課題を解決したいかを常に意識することです。

例えば、求める人材がなかなか集まらず、応募者の間口を広げることが課題になっている場合はどうでしょうか。オンライン面接を導入すれば地方や海外からの応募者が面接を受けやすい環境にはなりますが、そもそも採用企業が知られていなければ応募者の数は限定的でしょう。そのため、会社説明会のタイミングとセットでオンライン面接を開催したり、オンライン面接の中で応募者が質問できる時間を長めに設定したりするなどの工夫が必要です。

一方で、応募者の数は十分見込まれるものの、その中から優秀な人材を見極める精度が課題になっている場合はどうでしょうか。例えば、対面での面接に呼べる人数が限られるため、書類審査でどうしても可能性のある人材を落とさざるを得ない状況が考えられます。この場合、対面での面接の前に詳しく知りたい一部の応募者に限定して、短時間のオンライン面接でもう一度見直すプロセスを入れることで、書類面接での取りこぼしを防ぐことが期待できます。

 

■まとめ

このように、採用企業が抱える課題の優先順位によって、オンライン面接の設計には大きな差が生まれます。ここでご紹介したオンライン面接のメリット・デメリットを参考に、あなたの会社に適したオンライン面接のあり方を考えてみてはいかがでしょうか。

ライタープロフィール

吉江 宣慶

吉江 宣慶

経営コンサルタント

外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。