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2015.06.29 掲載 2022.06.30 更新

ハローワークの現状とこれから

hfj税理士事務所での経験を活かし、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて、多数の中小企業のバックオフィス業務をサポートし、現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中である本山シーエン(ペンネーム)氏のコラムです。


ハローワークと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

「なかなか仕事が見つからなくて頻繁に通った場所」とか逆に「あまり縁がなく過ごしてきた」とか「人手が足りなくて求人を頼んだことがある」とか人それぞれだと思います。

昨今、雇用に関するいろいろな問題点が浮かび上がってきています。

たとえば正規雇用と非正規雇用の格差や雇用のミスマッチ、あるいは俗にいう“ブラック企業”の問題などです。
日本国憲法では、労働について、第27条第一項で「勤労の権利」(すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。)を、そして第22条第一項で「職業選択の自由」(何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。)を規定しています。

ハローワークはそういった労働に関する権利や義務を無料で保障する行政機関であると言えます。

ハローワークのサービスは大きくわけて2つ

ハローワークにはさまざまなサービスがありますが、大きく分けると「個人向けのサービス」と「企業・事業者向けのサービス」に分けることができます。

・個人向けサービス

「個人向けのサービス」には、求職手続き(求職申込み、職業相談、職業紹介)
雇用保険手続き(失業等給付、就職促進給付、育児休業、介護休業など)その他就職に必要な資格・経験・職業訓練コース等の情報提供などが挙げられます。

・企業・事業者向けのサービス

「企業・事業者向けのサービス」には、人材の紹介(求人申込受付、応募者紹介)、雇用保険の適用、助成金・給付金の支給、その他募集・採用・配置などに関する相談などがあります。

ハローワークの職業紹介事業はどれくらい機能しているのか?

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ここではハローワークの「無料の職業紹介事業」という点に絞って考えてみましょう。

ハローワークの大きな特徴は仕事を探す側(求職者)も働き手を求める側(求人)も無料であるということです。無料であるということは求職者も求人も敷居が低いため、その質はともかく、相当な数が集まってきそうです。

さて、ハローワークにはどのくらいの求人数や求職者数が集まっているのでしょうか?平成27年4月のデータを見てみましょう。(厚生労働省職業安定局の報道発表資料)

月間有効求職者数は、2,184,420人で月間有効求人数は、2,359,790人(有効求人倍率は1.08)

200万を超える求人と求職の中で、どの程度それらがマッチング(就職)できているかといえば、191,606件となります。

仕事を探している人が就職できた割合、就職率(就職件数/求職者数)が8.1%、そして働き手を探している企業が働き手を確保できた割合、充足率(就職件数/求人数)が8.7%です。

この求職者の中には失業保険の給付を受けていて、実質的には働く意思のない者が含まれ、一方の求人には、ハローワークの求人開拓員からのお願いで求人票を提出しているだけのカラ求人も含まれています。

この「無料であるがゆえの問題点」を孕んでいるため評価は難しいところですが、単純に計算してみると10%以下という数値では、ハローワークの一つの特徴の「無料の職業紹介事業」が充分に機能しているとは言えない状況のようです。

ハローワークの必要性は低下している

すべての求職者や求人がハローワークを経由するわけではなく、当然、民間の職業紹介事業も存在します。求人広告が中心のフリーペーパーや有料職業あっせんなどを経由して就職する方も多いことでしょう。

厚生労働省の平成24年のデータを見てみると、実際に就職した人のうち約25%がハローワーク経由、約35%が民間の求人広告や職業紹介を経由しています。そして、民間の数値が高いという傾向はここ数年変わらない状況です。

それでも企業の採用活動に関するアンケート調査等によれば、民間の就職サイトや転職サイト、人材紹介と並んでハローワークによる募集を中途採用の募集方法として回答する企業が50%というデータもあります。(複数回答)

求人側も求職者側もハローワークという選択肢をまったく無視しているということではないようですがその必要性が低下しつつあると言えるでしょう。

今後のハローワークの役割とは?

ハローワークは今後どのような役割を担うべきなのでしょうか?

ハローワークが「無料の職業紹介事業」を継続するならば、経済状況が大幅に変わらない限り、ハローワークへの求職者や求人の数が大きく変動することはないでしょう。しかし、無料とはいえ、行政機関として求人情報や求職者の情報を扱う以上、最低限の公正さをハローワーク自身が追及する必要があります。

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ブラック企業による偽りの労働条件の排除や、求職者の勤労意欲の見極めなど、ミスマッチの遠因となる要素への対応または対応可能な組織の再編成や一部事業の民営化も検討の余地がありそうです。

また、ミスマッチという問題を考えたとき、日本の社会そのものが急速に少子化高齢化へ進むということや高齢者の年金受給額が提言していく傾向にあるということも視野に入れるべきでしょう。実際、一定の年齢を超えると急激に「働く場所がないため働くことができない」という話はよく耳にします。筆者は地元のハローワークで50歳後半の男性から「介護ヘルパーの資格を取ったけど年齢だけで面接もしてもらえない」という話を聞きました。「50超えるとダメだね・・・」とも。

無料であるというハローワークの“強み”を生かしていくのであれば、既存の財源をシフトすることにより無料を維持しつつ、職業紹介事業の中心をこういった働く意思のある中高年層にしていくということも社会構造の変化に伴うセーフティネットとしての役割を果たすことも必要なのではないでしょうか。

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ライタープロフィール

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント
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