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2015.09.15 掲載 2022.07.05 更新

稟議書は不満があるのに廃止できない制度なのか?稟議をポジティブに変換した事例

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス

承認

稟議書とは

稟議書は日本特有の社内書類ということをご存知でしょうか。稟議書とは、モノの購入、システムの導入などをしたい際に会社に許可を求めるための書類です。

例えば、「OSのバージョンが古くなったため従業員分のPCを購入したい」「顧客管理システムを導入したい」と企画した際に、その起案者が目的や効果、費用、導入期間、購入先など、決裁に必要な情報を稟議書に記載し、会社に申請します。

この稟議書、「1回も書いたことがない」という人や「毎日書いています」という人もいるくらい、携わる仕事によって経験の“ありなし”がはっきりします。(社内で採用や広告関連に従事している人はわりと多いのではないでしょうか)

ちなみに「稟議」とは会社に承認を得ることで、「稟議書」は稟議をするための文書です。間違えやすいのが、「稟議」と「決裁」の違いです。ほぼ同じ意味で使われることもあるのですが、厳密にいえば、「決裁」とは最終的に会社が承認し、その企画にGOサインを出すことで、「稟議」が承認されても「決裁」されないこともありえるということです。 

何故、日本では稟議書があるのか?

海外の企業にも稟議に似たような承認フローはありますが、稟議書を作成して複数の関係者の承認を得るということはほとんどありません。基本は起案者の所属する部門長が承認すれば決裁されるのがほとんどです。(プロジェクトの大きさによっては、社内プレゼンを行い、そこで決裁されます)

一方、稟議書を採用している企業の場合は、例えば以下のような承認フローになります。

起案者>所属部課長>所属部部長>総務部門受理>総務課長>総務部部長>関係部門回覧(調達部門、IT部門、経営企画部門など)>経営者
※組織によっては、主任、係長、各役職の「副」「補佐」「代理」などの役職があるかもしれません。

案件規模によっては部長承認もありますが、企業トップの決裁を必ず採るという企業も少なからずあり、当然、承認まで時間がかかります。

稟議書のメリットは、会議を開くため、関係者全員のスケジュール調整をせずとも、稟議書を回覧することで企画内容を関係者に理解、そして承認してもらうことができる点です。

しかし、そもそもこれだけの人が承認する必要があるのかというと、「絶対必要!」という人はいないでしょう。

では、何故、日本では稟議書が今でも必要とされているのでしょうか。

ひとつは先述したように会議開催の手間削減。
さらに企業として具体的に何を購入(または導入)することを承認したかの証拠として。
(費用の計上の証憑になるため)

そして恐らく次の理由が「必要」とする一番の理由です。

実は、稟議書を作成する前に、関係者に「提案書」を見せ合意を得ている、または「お伺い」を立てていることが多いのです。

つまり、「根回し」というもので、稟議書とは事前にとった合意や調整についての再確認書の役割をしているのです。

これは日本特有の文化が理由です。日本は古くから合議制による意思決定が重んじられてきています。全員が話し合い答えを出す。(総意といえば、聞こえはいいですね)

逆に単独で勝手に決めることは、組織の中で軋轢を生み、「出る杭は打たれてしまう」のです。

合議制についての賛否はともかく、稟議書を作成し関係者の合意を得ることは、日本の企業においては、むしろスムーズに計画を進めるために必須な手続きだといえます。

グローバル化が進み、稟議を簡易にする企業も増えてきているようですが、縦割り組織が多い日本企業においては、稟議書は組織間を横断する重要なコミュニケーションツールでもあります。 

稟議書は今後も必要なのか

コミュニケーション
しかし、稟議書を回覧し、関係者全員の承認を得ていると、ビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。

よく「日本企業は判断が遅い」といわれますが、この稟議(合議)はその原因のひとつにもなっています。

また、関係者総意になるため、トラブルや事故の際、責任の所在が不明確になりがちになるといわれています。そのためリカバリーへの初動に遅れ、業績への影響、社会的な信用失墜を招く可能性もあります。

稟議書がなくなれば、これらは解決できるのかといえば、残念ながら答えは「Yes」ではありません。

仮に稟議制度を廃止して、今から各部門長に権限を与えても、機能しないかもしれません。何故なら、即断できる組織構造になっていない、承認者が元々、そのような教育・研修を受けてきていないケースが多いからです。

リスクを負って自分の考えで承認することは想像以上に難しいでのす。ましてや責任の所在がはっきりすることで、万が一失敗すれば、評価や昇進に響く可能性もあり、結局「何もしない(承認しない・保留)」を選択するケースも多くなるはずです。

こういった面でも日本企業においては稟議を活用することが、これからも円滑に事業を推進していくには必要だということです。 

稟議制度をポジティブに変換した大手企業の事例

最後に稟議について他社様の面白い事例をご紹介します。

1.時限型承認稟議

Infinity Ventures Summit(IVS)というIT業界の大手経営者などが一堂に会したイベントでのディスカッション内でヤフー株式会社 川邊様がソフトバンク様の稟議について触れています。
ログミー(http://logmi.jp/18478
『ヤフー川邊氏「いかに居心地を悪くするかに腐心した」 イノベーションを起こす人材・組織づくりとは?』

小見出し「24時間経った稟議は、自動承認!」以下にありますが、意図的に時間制限を設けて稟議処理を早めているそうです。24時間はさすがに難しいですが、処理時間を制限することは有効かもしれません。

2.別軸承認稟議

日経ビジネスオンラインにて紹介されている三井物産株式会社様のケースです。不確実性要素の強い案件を承認するために稟議制度の改革し、別軸で審議する仕組みを構築しています。
日経ビジネスオンライン
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201307/mitsuibussan/vol3/02.html
『何をやっているの?「総合商社」未来編~三井物産の挑戦と創造』
三井物産のイノベーションスピリット

文中では、「従来通りの基準で評価しているかぎり、次世代につながる新たな価値創造にはつながりにくい。次代に向けて舵を切るためには、今後の5~10年は収益性を問わず、リスクを許容しながら案件に挑戦できる仕組みが必要と考え、その不確実性にきちんと向き合える新たな制度が必要でした」と述べられています。

この場合、稟議は手続きということ以上に、「挑戦」を会社が認め応援する証明書になります。

どちらの事例にもいえるのは、稟議制度をポジティブなものに変換しています。そもそもの考えとして、「稟議とは会社を良くするため、業績を伸ばすための「チャレンジ」の意味がある」ということです。

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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ライタープロフィール

くもと編集

マーケター兼編集者
NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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