中小企業の決算業務の流れ「決算残高の確定⇒税金の計算⇒決算書の作成」【シリーズ:経理のはなし11 初心者向け】

決算報告書

経理の仕事でもっとも重要な仕事は何かといえば、決算業務だと言えるでしょう。実際に、経理業務に携わっていない方から見ると、決算時期の経理部門のスタッフたちは殺気立った感じかもしれませんね(笑)。ただ、忙しそうなのはよくわかるけどどんな作業をしているのかはよくわからないのではないでしょうか。今回は決算の流れをご説明したいと思います。

一口に決算業務と言っても、その会社の規模、例えば上場企業なのか非上場企業なのか、あるいは一般の法人なのか公益法人なのかなど、それぞれ異なっています。
今回は、中小企業等のケースでみていきたいと思います。

 

■そもそも決算業務とは?

決算業務とは、決算書の作成が中心となります。その決算書をもとに法人税や消費税などの計算をして申告および納付をし、また、その決算書を監査役などのチェックを経て株主総会に提出します。

一般的に、法人税などの申告は決算日から二ヶ月以内、株主総会の開催は決算日から3ヶ月以内となりますので、決算時期の経理部門の業務スケジュールはとてもタイトなものとなり、会社によっては殺気立ってしまうわけです。

 

■決算業務の具体的なフロー

では作業内容を具体的にみてみましょう。

1.決算残高の確定
2.税金の計算
3.決算書の作成

 

1. 決算残高の確定

経理部門では日々発生する取引を会計仕訳として記録し、それらをもとに総勘定元帳や試算表を作成しています。そのような日常業務や月次業務の集大成が決算業務となるわけですが、決算残高の確定とは決算日現在の各勘定科目の残高が実際の残高と一致しているかを確認する作業となります。

これらの残高確定作業は、原則としてすべての勘定科目について実施します。
現金や預金、売掛金や買掛金、借入金や固定資産などをそれぞれチェックしていきます。そのチェックにあたっては、それぞれの勘定科目の“実際の残高・在高”“あるべき残高”と合計残高試算表の科目残高を照し合せて確認します。

現金や小口現金は手元の金庫を確認すれば残高がわかりますし、預金残高や借入金の残高などについては、金融機関に「決算日現在の残高証明書」の発行を依頼することで各残高の確認をします。買掛金や未払金などは、決算日現在で支払がされていないものを集計し残高を確認していきます。

在庫などの棚卸資産については、実際に在庫商品や材料などを棚卸しして(実地棚卸)実際の在高を算出します。

固定資産については、事業年度内の新規取得や廃棄・売却を確認し、減価償却費を計算し帳簿上の残高を確定させます。

このような決算残高の確定という作業をすすめる中で発生する仕訳、例えば減価償却費の計上や棚卸差額の計上など、これらを「決算整理仕訳」と呼びます。通常業務内の仕訳と決算時の仕訳を明確に区分しておくためです。

残高の確定後、「勘定科目内訳明細」という文書を作成します。それぞれの勘定科目についての内訳明細、具体的には預金残高であれば、
「○○銀行 XX支店 普通預金 1,000,000円」
といったふうに明細を記入し作成していきます。この勘定科目内訳明細は法人税の申告の際の提出書類のひとつでもあります。

日常業務や月次業務でサボったり横着したりすると、ほぼ100%、決算の時に余計な時間がかかってしまい苦労します。業務に慣れているまたは慣れてきた人ほど「決算の時でも良い」などと思いがちですが、その場その場で不明点は解決してしまいましょう。

 

2. 税金の計算

決算残高の確認および確定ができたら次は税金の計算です。
まず、消費税を計算します。消費税は売上等によって預かった消費税(仮受消費税)から仕入や経費の支払などで支払った消費税(仮払消費税)を差し引いて計算します。

計算によって求めた仮受消費税や仮払消費税の金額と帳簿上のそれぞれの消費税の残高には多少の差異が生じます。そういった差異を修正し、確定した消費税額を未払消費税額として決算書に計上します。

仕訳例
借方 仮受消費税:1,000,000円 貸方 仮払消費税:500,000円
未払消費税:500,000円

次に法人税などを計算します。ここで計算するおもな税金は、法人税・法人県民税・法人市民税・事業税などです。事業税をのぞき法人の損金(経費)とはみとめられません。その会社の規模や課税される利益の金額によって税率は異なります。

ちなみに財務省によれば、平成26年の法人実効税率は34.62%、27年度は32.11%と発表されています。
(出典元:財務省サイト 国・地方合わせた法人税率の国際比較

これらの税金の計算と申告書の作成については、専門性が高いことや法令改正等による影響が大きいことなどから、税理士などの外部の専門家に依頼するケースが多いと思われます。
このように計算された納付すべき税額を決算整理仕訳の最後に計上します。

仕訳例
借方 法人税・住民税および事業税:1,000,000円 貸方 未払法人税等:1,000,000円

 

3. 決算書の作成

入力業務
最後に決算書の作成です。確定した残高を決算書(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書など)を法令に定められた書式にもとづいて作成します。ここでは残高以外に、会計処理方法を変更した場合など、その変更内容などを記載します(注記事項の作成)。

こうして作成された決算書は取締役会や監査役、あるいは会計監査をする会計事務所などの確認・チェック作業にまわされ、その後、株主総会で提出・報告することとなります。

冒頭にも述べましたが、決算業務は経理部門の日常業務の集大成とも言えるものですし、経理部門が担当する業務の中でもその重要度は極めて高いものです。
日常業務や月次業務を精度と効率を高めていくことで、決算時の作業内容の量も質も大きく変わります。決算業務を見据えて日々の業務を大切に進めていきたいですね。

 

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ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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