くもと編集
マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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前回の「新入社員研修の内容はどうすればいい?新人が伸びる人材育成・教育制度とは」は「新人研修」にフォーカスして、OJTとOff-JTのメリット・デメリットについて解説しました。今回は、そのOJTの中でも日本企業で多く採用されている「ジョブローテーション制度」を詳しく見ていきます。そもそもどのような制度なのか、何を目的としているか、メリット・デメリットを説明します。
ジョブローテーションとは、社員の能力開発を目的として、人材育成計画に基づいて「定期的に職場の異動や職務の変更を行うこと」です。
日本ではよくある人材研修の一つで、職場異動は短くて半年、長くて数年など、期間は企業によって様々です。
会社には実に多様な業務があり、業務ごとに部署が作られ、そこに属する組織人が日々活動することで企業活動を行っています。当然のことながら、沢山の人が日々活動しており、その部署がどういう活動を行っているかを瞬時に理解し把握することは物理的に不可能です。
こうしたことから、新入社員などが、どういう会社なのか、どんな活動をしているのかなどを把握し、人材交流の意味も含めてジョブローテーションを行います。
基本的には実際にその部署の中で業務を学ぶOJTで進められます。「新入社員の研修として、数ヶ月かけて会社内の状況把握や適性を判断する目的で実施する」、また、「幹部候補社員を短期間で会社内の人材、内容把握として実施し、将来会社を背負って立つ人材へと育てる」ことを意図して活用することもあります。
上述したように、ジョブローテーションはその名のとおり、ある一定期間で部署間異動を行います。そしてその期間は、実施する目的によって期間は異なります。
たとえば、新入社員や入社して間もない社員に対しては、社員の適性を判断するためや会社全体の把握をしてもらうために、比較的短い期間で複数の部署を巡ります。
言うなれば、トライアルで色々な部署を巡り、人事担当者が適材適所に人材を配置できるようにするための判断材料となるのです。ここでは、じっくりとその仕事を熟知してもらうためではなく、さらっと会社の流れや現状を知ってもらう、その人がどんなことが出来て、どのようなことに長けているか等を見極めているのです。(もちろん、しっかりと仕事をこなすことは前提です)
反対に、今後、会社を背負っていく立場=幹部候補社員(ジェネラリスト)を目されている社員に対しては、もう少し時間をかけて部署を巡ります。
会社の様々な部署や支社に異動し、どちらかと言えば、実務をマスターするという目的ではなく、内情を把握することが目的となります。その土地柄やビジネス環境、どんな人材がいるか、また会社においてその支社がどのような立ち位置なのかなど、「会社を運営していく立場」としての視点や考え方を身につけ、「人を動かす」という力をつけていきます。異動をとおして、人脈を構築していくことや、社会の現状や未来を見通す能力を培ってゆくことがメインテーマです。
このように、ジョブローテーションには大きくわけて2つの活用方法があり、目的によってその期間が異なります。
いままでの内容をまとめると、制度のメリットは以下のことが挙げられるでしょう。
・社員の適材適所の判断材料となり、効率良く人材を活かすことができる
・社員からすれば、複数の業務を体験するので、会社活動を包括的な視野でみる力が養い、業務の視野が広がる
・多くの部署と交流が生まれるので、将来の仕事の進め方がスムーズになる
・部署の関係性が見え、そこから新たなアイデアが生まれることもある
一方でデメリットには、メリットと表裏一体ですが以下のことがあります。
・一定期間で仕事(業務)内容が変わってしまうため、スペシャリスト育成に欠ける一面がある
・職種によって給与体系が異なる場合は導入が難しい
たとえば、「長期間〇〇部門に配属される」とあらかじめわかっていれば、その部署で専門性を高める覚悟ができる一方で、ジョブローテーション制度では「〇年で異動になるのだから目の前の仕事だけやっていればよい」と、つい考えがちです。
また、職種別で給与体系が異なる場合は移動によって賃金が変化することもあるため、社員には受け入れづらい一面もあります。
このように、ジョブローテーションは、ある分野に特化した人材は育ちにくい一方で、複数の部署を経験したことによる「視野の高さと広さ」「部署間の関係理解」「多様な業務の経験」はジェネラリストには強い武器になります。
海外に目を向けると、このジョブローテーションの実施はあまり見ることはありません。
大きな理由として、考え方の違いがあるからです。日本では、新しいことを始めるにあたって、根気よく丁寧に一つひとつ教えています。これは、「新卒一括採用」や「終身雇用」の影響を大きく受けているといえます。
海外では「自分自身が積極的にトライしていく」という姿勢が強く、誰かに教えてもらうというよりもどんどんチャレンジしてキャリアアップにつなげる、という姿勢が現状としてあります。
また、新しいことをしたいという気持ちは、会社内のジョブオファーに自ら申し出たり、数年で転職して新たなキャリアを積んでいく方向へと動いていきます。会社が主体となって社員の未来やキャリアをガイドする(導く)のではなく、自らのキャリアは自分が築き上げていくのです。
このように聞くと、海外の慣習の方が個人の自由を尊重しており、魅力的だと感じるかもしれません。ただ、「自分が本当にやりことはなにか」を理解することは想像以上に難しいことです。そうであれば、「やっていて楽しい、もっと知りたい」と感じる業務と出会う可能性があるジョブローテーションも、価値があるのではないでしょうか。
ジョブローテーションには良い面もありますが、個人のキャリアパスとして適切ではない一面もあります。研修方法も内容も、日々動き続ける社会に順応することで変わっていくことが必要になってきます。ジョブローテーションがうまく機能する企業の特徴は以下のようにまとめられます。
1. 社員の長期的な育成を視野に入れている
2. キャリアパスは、若手時代は多様な業務を経験させて、30歳あたりからジェネラリストかスペシャリストか選択できるようになっている
3. 複合的なサービスを提供しており、それぞれのサービスでシナジー効果が見込める
そのことを忘れることなく、研修に力を入れていっていただければと思います。
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