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2017.01.17 掲載 2023.10.31 更新

「福利厚生」をアウトソーシング。メリットとデメリットは?

導入前の書類整備から導入後の継続教育までをトータルサポートする

企業型確定拠出年金(DC)サービス

活き活きしながら仕事
社員が会社に対し魅力を感じ、継続的にやる気や意欲をもって仕事に励んでもらうことは、会社を経営し、事業の発展と拡大を図るうえで重要なテーマのひとつです。
一方、福利厚生に関わる経費が経営を圧迫しているのも事実です。廃止やアウトソーシングなど同制度の見直しは、経営資源の選択と集中あるいは経費管理という観点から経営戦略上、無視できないものとなっています。
今回は福利厚生制度の概要、アウトソーシングのメリットやデメリット、導入の際の留意点について概説します。
 

■福利厚生の現状とコスト

福利厚生とは、事業主である会社が労働を提供する社員やその家族の健康や生活の福祉を向上させる為に導入された諸施策を指します。
通常、法定福利制度と法定外福利制度に大別されます。
法定福利制度
法定福利制度というのは、法律で会社に義務付けられている社会保険料の事業主負担を指します。
具体的には、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、労働保険料(雇用保険および労働者災害補償保険のための保険料)、児童手当拠出金、障害者雇用納付金、労働基準法に基づく災害補償の費用負担です。
法定外福利厚生
法定外福利厚生制度というのは、法的な義務はなく、会社が独自に行うものです。
具体的には、住宅手当、家賃補助、社宅・独身寮、がん検診等の法定健康診断への上積み、法定の育児・介護休業への上積み、慶弔・災害見舞金、運動施設や保養所などの余暇施設、文化・体育・レクリエーション活動の支援、資格取得や自己啓発の支援、財形貯蓄制度、社内預金、社員食堂などの様々な制度があります。
退職一時金や企業年金も含める場合もあります。
 

■福利厚生に関わるコスト

2016年11月、経団連は「2015年度福利厚生費調査」を公表しています。これによれば、平均的な月額給与と福利厚生費は、次のような構成になっています。
福利厚生比較表
(出典:一般社団法人 日本経済団体連合会Webサイト 第60回 福利厚生費調査結果報告
退職金も含めた福利厚生費は合計で月額167,141円となり、社員に対し支払われる月額の現金給与総額570,739円の約30%相当となっています(上記表を参照下さい)。
なお、退職金の積立てを除いた狭義の福利厚生費ですが、過去、月額給与と福利厚生費の割合は同じ水準にあり、会社の経営を考える際、福利厚生費のコストをいかに管理していくか重大な課題となっています。
 

■福利厚生費の特徴

同調査によれば、福利厚生は次のような特徴があります。
 

  • ・福利厚生の充実度や多様性は企業規模に正比例:対月額給与に占める福利厚生費の割合は、大企業の方が中小企業よりも高い。また、法定外福利厚生制度のメニューも大企業の方が多い。
  • ・法定福利厚生費:増加傾向。1970年度と比較し、約2.5倍以上の増加。
  • ・法定外福利厚生費:抑制傾向。1970年度と比較し、約2割減。「住宅関連」が約5割、次いで「ライフサポート」、「医療・健康」の順。保養所や施設の運営といったハコ型福利厚生は減少、他方、財産形成やレク活動あるいは自己啓発の補助といったヒト型福利厚生が増加。一律定額的な支給ではなく、個人のニーズに合わせる福利厚生制度に移行中。
  • ・カフェテリアプラン(選択的福利厚生制度):スケールメリットの観点から、社員が1,000人以上の会社での導入が主流で、全体の8割。
  • ・アウトソーシングに関わる「福利厚生代行サービス」:福利厚生代行サービスを導入している会社は約3割強。社員一人当たり月額250~500円。

 

■「福利厚生」をアウトソーシングする

欧米的な会社経営からすれば、福利厚生に関わる分野はコアな業務ではなく、アウトソーシングの対象となる傾向にあります。日本においても例外ではなく、経団連の福利厚生調査によれば、2015年度3割強の会社が福利厚生代行サービスを利用しています。
 

■アウトソーシングするメリット

福利厚生をアウトソーシングすることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
会社側のメリット
企業を取り巻く環境はいまだ厳しいものがあり、経営資源の選択と集中を進め、コストを管理し、経営の効率化を図ることは企業規模に関係なくとても重要です。
福利厚生も例外ではなく、廃止やアウトソーシング導入など同制度の見直しは必要です。
法定福利厚生の場合、社会保険に関わる法令の変更を常にアップデートする必要があります。企業規模により程度の差はありますが、育成やトレーニングを考慮すれば自前でなく、外部にアウトソースするメリットがあります。
また、年金の積立てには数理統計といった専門知識が必要であり、外部にアウトソースするメリットがあります。
法定外福利厚生は、大企業の場合、ハコ型からヒト型の福利厚生制度への移行や、社員の個人ニーズに合わせたカフェテリアプランの導入が進んでおり、中小企業と比べ多種多様なメニューになっていると言われています。
昔は社員やその家族の福祉に貢献したものでも、現状では利用も減り、その意味合いが少なくなっている制度が現存している可能性もあります。廃止やアウトソーシング導入によりコスト削減が見込めます。
中小企業の場合、コスト削減という意味合いよりは、福利厚生制度の充実という観点から、アウトソーシングを視野にいれた見直しは人材の確保や維持という観点からメリットがあります。
社員側のメリット
福利厚生制度は社員やその家族の福祉向上を目的として導入された制度であり、会社からプレゼントされたものではありません。
社員やその家族は福利厚生制度を享受できる権利を有しています。会社が同制度の見直しを行う場合、社員にとって個人のニーズに合った制度の導入提案を行える機会となり、メリットがあります。
また、現状では、福利厚生の一環として“レク活動”の幹事を押しつけられ、しかも労働時間外に行うことを要求されることがあるかもしれません。アウトソーシングにより、こうした活動から解放されるメリットがあります。更には、カフェテリアプランなどWebサイトを通じて、わざわざ上司や同僚あるいは厚生部の目を気にせず、福利厚生制度を活用できるようになるというメリットもあります。
 

■アウトソーシングするデメリット

アウトソーシングがメリットだけというわけではありません。デメリットも存在します。
会社側のデメリット
海外の異文化研究によれば日本の社会の特徴のひとつに「横並びや前例を重視し、プロセスの変更を容易に受け入れない傾向」があります。
福利厚生制度、特に法定外福利厚生制度の一部につき、対費用効果を検討した結果、廃止やアウトソーシングが相応しいと評価できたとしましょう。
他社が行っていないとか、関係各部署の意向により、アウトソーシング契約は締結されたものの、対象となった福利厚生制度の一部をそのまま維持し続けるケースがあります。あるいは、アウトソーサーに実績が欠けていても、特定の役員や部長との関係で「福利厚生サービス契約」が締結されるケースがあるかもしれません。
アウトソーシングの際の分析や評価が不十分で、現状の制度とアウトソーシング契約のサービスの内容が異なり、福利厚生制度として機能しないこともあり得ます。また、管理を重視する社風であれば、アウトソーサーのサービスを管理できないわけで、デメリットとなります。
社員側のデメリット
経営の失敗から、これまで享受してきた福利厚生が廃止されたり、存続したりしても、アウトソーサーとのやりとりが煩雑化し、サービスの質が著しく低下するケースもあります。
終身保険の場合、会社の指定したアウトソーサーが不透明な運用を行い、倒産した場合、老後用の資金が不足する事態に陥るケースがあるかもしれません。
 

■福利厚生アウトソーシング導入にあたるポイント

アウトソーシングの導入を検討する際には次のステップが必要となります。その目的と留意点について、以下概説します。
1.現状と導入後のギャップ分析、導入目的の確認
現状の福利厚生制度の実態について、目的や主旨、対象者、サービスやメニューあるいは手続きの内容、コスト、自前か委託サービスか、委託サービスの場合の解約条件等、詳細に分析する必要があります。
その際、コアか否か、ノンコアだとしてアウトソーシングの可能性、その場合の影響、現状と導入後のギャップ分析が必要です。また、導入目的の確認作業も必要不可欠です。
2.準備期間
アウトソーシングの範囲につき、社内で合意を取りつける作業が必要です。この合意は一般に骨の折れる作業となっています。次に、その合意に基づき、複数のアウトソーサーに対し提案書を依頼します。
3.アウトソーサーの絞込み
提案書をベースにアウトソーサーの絞込みを行います。コスト面だけでなく、信頼性、実績やサービスの内容、連絡方法、対応時間等、福利厚生の趣旨に合致するアウトソーサーの絞込みを行います。
4.アウトソーシング契約の締結
アウトソーサーと新規の制度の導入日程につき、その詳細を合意したうえで契約書を取り交わすことになります。導入時におけるマイルストーンごとの支払いや新規制度に対する利用方法あるいは支払い方法、違約の際の規定等が定められます。
5.導入プロジェクトの計画、進捗管理、チェンジマネジメント
導入のための詳細な計画、その進捗管理や解決すべき問題、フォローアップを行う必要があります。いわゆるプロジェクトマネジメントです。
現行から新規制度に変更した際の影響につき、社員の理解を高めるためのチェンジマネジメントも必要となります。
6.フォローアップと定期的な見直し
導入された制度が、当初の予想と違うこともあります。フォローアップや適正化の作業が必要となります。定期的な見直し作業が必要です。
 

■まとめ

福利厚生制度は経営戦略、特に人事戦略から見てもとても重要です。一方でコスト的に無視できない数字となっており、経営を圧迫しているのもまた事実です。
福利厚生制度は、アウトソーシングの対象となる性質のものが多く、廃止やアウトソーシングを視野に置いた同制度の見直しはメリットがあり、解決手段のひとつでもあります。とは言え、アウトソーシングの際には、現状の分析と導入後ギャップ分析、メリットとデメリットの比較衡量が必要となります。
また、社員やその家族の福祉向上や導入の目的を実現するため、プロジェクトマネジメントとしての手順を踏む必要があることを忘れないようにしましょう。
 
参照サイト:
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/113.html
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/113_honbun.pdf
http://www.jil.go.jp/rodoqa/10_hoken/10-Q01.html
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/07/3c.html
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/dk/Documents/finance/SSC-Handbook-%20Hit-the-Road.pdf
 

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ライタープロフィール

くもと編集

マーケター兼編集者
NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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