【福利厚生】確定拠出年金と他の制度を比較してみた

従業員の定着率を高め、自社にとって戦力となる人材をできるだけ多く採用するためには、他社との差別化や働く環境の整備が大切な要素です。こうした観点から、企業はさまざまな福利厚生制度を導入しています。

福利厚生制度について、具体的にどの制度を導入するか迷っている企業も多いかもしれません。そこで今回は、さまざまな福利厚生制度をピックアップして比較を行いました。

 

さまざまなサービスが安価で利用できる福利厚生プラン

仕事へのモチベーションの向上や成果・能率の向上のために活用されているのが、福利厚生制度です。福利厚生制度は、企業が従業員や従業員の家族に対して金銭以外のサービスや報酬などを提供するための制度ですが、企業によって採用している福利厚生制度はさまざまです。

参照:福利厚生とは?どんな種類がある?

福利厚生において最近増えているのが、福利厚生制度の運営を外部に委託する制度です。制度には大きく分けて「パッケージ型の福利厚生プラン」と「カフェテリア型の福利厚生プラン」があります。

・パッケージ型の福利厚生プラン

パッケージ型では、制度の運用会社が提携している複数の宿泊施設やレストラン、レジャー施設などを自由に利用することができます。例えば福利厚生を扱うある会社のパッケージ型プランでは、41,000施設以上の宿泊施設から選択できるほか、フィットネスや保育所、自己啓発なども利用することができます。

・カフェテリア型の福利厚生プラン

一方カフェテリア型は、企業に合わせてカスタマイズされた福利厚生メニューから、従業員が好きなものを選ぶことができます。一般的に、企業から従業員に一定数のポイントが付与される形になっており、自分でポイントを消化しながら好きなメニューを選ぶことができます。
また、上記のパッケージ型と併設をしている企業も多く見られます。

制度の課題

既存の施設やサービスを安価で利用できるこれらの福利厚生制度ですが、従業員全員が利用するわけではないという点が課題です。特にパッケージ型の場合、利用率は2~3割程度といわれています。
さらに最近では、クレジット会社やECサイトなどでさまざまなポイントを使って安くサービスなどを利用できる環境が整っており、中には福利厚生プランよりも外部のポイントサービスを使った方が安いことも。
その上、これらのプランは外部に委託するため、企業には一定のコストが発生します。より多くの社員に還元できる制度を導入したいと考える企業にとっては、他の選択肢の方がメリットが高いと思われます。

 

財形貯蓄制度

従来から、福利厚生制度としてよく活用されてきたのが財形貯蓄です。財形貯蓄とは、一定額を給与や賞与から天引きして貯蓄に回す制度のことで、主に3種類の財形貯蓄制度が設けられています。

勤労者財産形成貯蓄(一般財形貯蓄)
勤労者が、金融機関などと契約を結んで3年以上の期間にわたって、定期的に—–つまり毎月又は夏季・年末のボーナス時期などに—–賃金からの控除(天引)により、事業主を通じて積み立てていく目的を問わない使途自由な貯蓄のことです。契約時の年齢制限はありませんし、複数の契約もできます。

勤労者財産形成年金貯蓄(財形年金貯蓄)
55歳未満の勤労者が金融機関などと契約(1人1契約)を結んで5年以上の期間にわたって、定期的に賃金からの控除(天引)により、事業主を通じて積み立て、60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受けることを目的とした貯蓄のことです。利子等に対する非課税措置(※)があります。

勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)
55歳未満の勤労者が金融機関などと契約(1人1契約)を結んで5年以上の期間にわたって定期的に賃金からの控除(天引)により、事業主を通じて積み立てていく持家取得を目的とした貯蓄のことです。利子等に対する非課税措置(※)があります。

※財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄に係る利子等に対する非課税措置
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされます。

引用:厚生労働省「財形貯蓄制度

一般財形貯蓄のメリットは、原則3年以上積み立てればいつでも引き出しができるという流動性にあります。ただし、非課税措置はありませんので、利子等には課税されます。
財形住宅と財形年金のメリットは、利子等非課税の優遇措置にあります。財形住宅と財形年金を合わせて元利(元本と利子等)合計550万円が非課税になるのです(保険等の商品の非課税限度額は、財形年金貯蓄のみなら385万円、財形住宅貯蓄と併せて550万円、財形住宅貯蓄のみなら550万円)。
ただし、「目的外の払い出し」や「非課税の限度額(最高550万円)を超えた後に生じた利子等」、さらには「従業員が退職して一定期間が経過した場合」は課税対象となる点には注意が必要です。

財形貯蓄は金融機関などと契約を結ぶことになりますが、金融機関にとってのメリットがあまりないことから、積極的に財形貯蓄を勧める金融機関が少なく、ときには断られることがあるのも懸念材料といえます。
財形貯蓄の利用件数は年々減少しており、厚生労働省が平成28年に出した「財形制度をめぐる状況について」によれば、昭和63年には2千万件ほどあった利用件数も、平成27年には半数以下の8,231件に減少しています。おそらく現時点では、さらに利用件数が減少しているものと推定されます。

 

持ち株会

資産形成にかかわる福利厚生制度としてもう一つ挙げられるのが、持ち株会です。持ち株会は主に上場企業が採用する福利厚生で、株式市場の単元未満でも自社の株を購入することができるほか、多くの企業では従業員が自社株を購入するときに、取得額の数%の奨励金が付与されるなどのメリットがあります。
また、決められた日に決められた額を購入していくため、積み立て投資の要領で自社株を購入し株数を増やしていくことができます。持ち株数に応じて配当金も割り当てられますが、配当金は原則として再投資に回されます。
さらに、上場前から持ち株会に入っている従業員は株式上場によって大きなキャピタルゲインを得ることも期待できます。

その一方で、持ち株会にはデメリットもあります。企業によって決められた時期にしか口座への引き出しができないため、自由に株式の売却をすることができません。また、企業の業績によって株価が変動するため、それに伴い従業員の資産が減少するリスクがありますし、企業が万が一潰れた場合は給与がなくなるだけでなく資産を大きく減らす可能性もあります。
収入と資産を一つの企業に依存するため、リスク分散・リスクヘッジができない点もデメリットといえます。

 

確定拠出年金は、さまざまな福利厚生制度の課題を解決できる

このように、福利厚生にはいろいろな種類がありますが、それぞれに課題が残ります。では、福利厚生制度としても活用することが期待できる確定拠出年金についてはどうでしょうか。
確定拠出年金制度で重要なポイントとなる、運用商品で比較してみます。

1.金融機関が積極的に運用商品を取り揃えており、さまざまな種類が選べる
財形貯蓄は利用件数も年々減少しており、金融機関も導入に積極的ではない点がデメリットでした。一方、確定拠出年金は利用者数も年々増加しており、運用商品にもさまざまな銘柄が登場しています。

2.元本確保型と投資型を選べる
資産運用ヘの考え方は人によってさまざまで、積極的に運用したい人もいれば、減らさないことを第一に考えたいという人もいます。
財形貯蓄は減ることはありませんが、大きく増えることもないため、積極運用をするには適していません。持ち株会では、株価が上がることで資産の増加が期待できるものの、元金を守りながら手堅く運用するのは少し難しさが残ります。
その点、確定拠出年金であれば、資産を減らさずに貯蓄していきたいという人は元本確保型を、積極的に運用したい人は投資型を選ぶことができるため、柔軟に取り組むことができます。

3.一方で、確定拠出年金制度自体にはデメリットも
このように、他の福利厚生制度と比較した場合にメリットも多い確定拠出年金での運用ですが、制度にはもちろんデメリットも存在します。原則として60歳になるまで引き出すことができず、途中解約ができないこと、将来の年金額が確定しないことです。
この点について詳しくは、「確定拠出年金とは?企業型と個人型のメリット・デメリットを紹介」を参照してください。

参照:確定拠出年金とは?企業型と個人型のメリット・デメリットを紹介

 

まとめ

今回は、さまざまな福利厚生制度についてご紹介しました。福利厚生制度の充実は他社との差別化にもつながり、採用シーンでも有利に働く可能性が高まります。また、従業員の定着率を高める効果も期待できますので、ぜひ自社に合った福利厚生制度を検討してみてください。

 

 

 

 

ライタープロフィール

湯瀬 良子

湯瀬 良子

DC運用・ブログ担当

金融機関での経験を活かし、2018年にNOCのDC部門に立上げメンバーとして入社。現在は、DCの制度設計・保全運用・投資教育までの一連の流れを担当するとともに、ブログ記事の執筆にも取り組む。「NOCでは少し異色なサービスですが、DC制度についてわかりやすくお伝えします!」