ワーク・ライフ・バランスとは?取り組み方法と人事担当者が推進するべき理由

定時退社

時代の変化とともに、働き方は多様化しています。しっかりと働くためには、充実した休息を取り、仕事と生活の調和を取ることが重要となっています。

近年、“ワーク・ライフ・バランス”と呼ばれる言葉をよく耳にするようになりました。
仕事の比重が大きくなり過ぎて、うつ病や過労死に陥るケース。また、子育てや介護といった生活の比重が大きくなり、仕事を休職したり、解雇されたりするケースなど、今まさに“仕事と生活の調和”が見直されています。

 

■ワーク・ライフ・バランスとは。なぜ必要?

ワーク・ライフ・バランスとは、働く人がやりがいを感じながら働き、仕事上の責任を果たしつつ、子育てや自治体での活動といった家庭、地域などに使う時間を持てるように、健康で豊かな生活ができるよう、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の調和(バランス)を実現させよう、という働きです。

仕事は、賃金を得て暮らしを支えるための生活の糧であり、また仕事にやりがいや生きがいを持たせ、充実した人生を送るための重要な手段でもあります。

しかし、実際の社会では、安定した仕事に就けず経済的に自立できなかったり、逆に仕事のために私生活を犠牲にせざるを得なくなったり、仕事上のストレスから健康を害したりといった問題を抱える人が非常に多く存在します。

仕事をしなければ収入を得られませんが、逆に仕事に時間を取られすぎると健康を害したり、家庭不和の原因となったりします。
これらを両立するために、仕事と生活のバランスを取ることが必要と言われています。

 

■どうして始まったの?

ワーク・ライフ・バランスという考え方が知られるようになったのは、1990年代以降です。
1980年代までは高度経済成長期であり、企業に尽くして労働に傾倒する事こそが理想的な生き方だという価値観が一般的でした。

しかし、1990年代に入りバブル崩壊や経済の停滞といった企業を取り巻く状況が変化するにしたがって、共働き家庭が増え、人々の価値観が変わっていき、仕事以外に価値を見出していったと考えられます。

価値観の多様化に伴い、仕事こそが全てといった価値観を持つ男性社員の減少や、女性の積極的な社会進出により、日本企業もワーク・ライフ・バランスの支援を意識するようになっていきました。

 

■企業の取り組み例

経団連が2016年9月20日に発表した「2016ワーク・ライフ・バランスへの取組み状況」では、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる243社の事例を取り上げています。
以下で紹介しているのはその一例です。

株式会社NTTドコモ
・子供の保育園等の送り迎えに柔軟に対応するための個人シフト勤務を組む
・育児休職中も職場とのつながりをサポートするためにモバイル端末の貸与、社内コミュニティ(SNS)の活用を行う
・家族と過ごしたり、自分の生活を充実させることを重視して、定時退社を推進する

パナソニック株式会社
・ e-Work(情報・通信技術を駆使したユビキタスでフレキシブルな働き方)を推進
・ 間接業務従事者を対象に在宅勤務制度を許可
・電話会議、Web会議、テレビ会議システムといった遠隔会議を整備

カルビー株式会社
・育児休業、育児時短勤務、変則シフト、配偶者出産時の休暇の実施
・介護休業、介護時短勤務

例として挙げた制度だけではなく、それぞれ出産・育児・介護に関わるものや在宅勤務の推進、多様な休暇制度など、取り組まれています。

 

■社内に定着させるためには

ワーク・ライフ・バランスを支援するための制度だけを用意しても、それだけで実現はできません。実際に、会社に制度だけはあってもほとんど利用されていないというケースもよく見受けられます。
社内に定着させるためには、働き方の改革、職場風土づくりといった日常的な取り組みを行うことが必要です。

 

■タイムマネジメントの大切さを考える

育児休暇や介護休暇などの制度を利用して従業員のワーク・ライフ・バランスを図ろうとしても、会社そのものが“長時間勤務を良し”とする風土であった場合、制度を利用できる社員とできない社員の間に大きな溝が生まれ、待遇やキャリアなどにも響いてしまう可能性があります。

このような問題を解決するためには、「時間は有限である」と考え、タイムマネジメントを実践して効率的に仕事に取り組む必要性があります。

 

■まずは経営者の意識改革、その次に管理職が理解・実践を

ワーク・ライフ・バランスの定着が上手くいくかどうかは、経営者自体が社員を「コスト」ではなく、「投資すべきもの」と考えを少しでも改めることが重要です。

“長時間勤務を良し”とする風潮は「人はコストなんだから、なるべく長く働かせろ」という考えが根っこにあります。本来であれば、「楽しく働いてもらい、能力を十分に発揮してもらおう」、そして「そうしたうえで一人ひとりの生産性を効率的に上げるためにはどうしたら良いのだろうか」と考えを持つべきなのです。
ワーク・ライフ・バランスの制度を作っても機能しないのは往々にして経営者が「人=コスト」という考えに毒されているからです。

この根っこにある意識を変えつつ管理職への教育が必要となります。

管理職の行動はとても重要で、効果に大きく影響します。管理職が理解を示し、職場でワーク・ライフ・バランスを容認する言動や行動をもって主体的に取り組むことが本当の制度の落し込みになります。

まずは、管理職に対して重点的に研修を実施するなどして重要性の理解を促進し、適切な業務管理や従業員の管理などを率先して実践してもらう必要があります。
自らも、不要な残業や休日出勤はしない、有給休暇などの取得を積極的に勧めるなど、管理職自らが動くことで、ワーク・ライフ・バランスの取り組みに対して抵抗感のない環境をつくることができます。

 

■行政による推進例

行政が行っているワーク・ライフ・バランス推進のための取り組みを紹介します。

行政では、ワーク・ライフ・バランスを推進する企業に対して助成金を給付したり、登録制度を設けて支援アドバイザーによる相談や助言を受けられる制度を行ったりしています。
また、研修会を開いてセミナーを開催して企業のレベルアップを図ったり、従業員向けの融資制度を用意したりもしています。

参考までに東京都の取組みは以下のWebページで確認できます。

(参考 東京都 ライフ・ワーク・バランスWebサイト 支援情報:http://www.tokyo-wlb.jp/shien/index.html※Webサイト名は表示どおりに記載しています

 

■まとめ

ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活の調和を実現させようという働きです。

高度経済成長が終わり、価値観の多様化に伴い、日本企業はワーク・ライフ・バランスの支援を意識するようになっていきました。

すでに意識している企業では、育児、介護休暇の整備や在宅勤務制度の立上げなど、家庭を顧みながら仕事を両立できるような取り組みを行っています。

ワーク・ライフ・バランスの定着を目的とした制度を自分の会社にも取り入れようとする場合、まずは企業の風土や考え方を変える必要があります。そのためには、経営者そして管理職が率先して理解を示し、“長時間労働を良し”とする考え方を変える必要があります。

最後に、他社事例を参考にすることは大切ですが、そのまま転用しても自社にマッチしないということもあります。そのためには社員にとってどんな制度があると良いのかヒアリングをきちんと行いましょう。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」