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2017.02.07 掲載 2023.11.01 更新

「電子帳簿保存法」を解説。電子保存の対象と手続き方法

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請求書トータルソリューション


経理の人は知っておいたほうがいい電子帳簿保存法。何度か改正されているのをご存知ですか?現在の法律の内容や手続き方法を分かりやすく紹介します。
 

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、1998年に制定された法律で、国税関係帳簿書類の全部又は一部を、電子データで保存することを認めた法律です。
2005年に改正され、紙媒体の書類をスキャナーで電子化して保存することが認められるようになりました。
この法律によって、従来は紙媒体で保存することが義務付けられていた決算書などの書類は電子データを原本として保存することができるようになりました。
 

現在の法律の内容

電子帳簿保存法では、大きく次のことを定めています。
1.国税関係帳簿書類の電子データによる保存
2.国税関係帳簿書類のマイクロフィルムによる保存
3.国税関係帳簿書類のスキャナーによる保存
1と2は、国税関係帳簿書類を一からPCで一貫して作成し、データで管理している場合の保存方法です。
3は、既に紙媒体で存在している書類をスキャナーで読み取り、データ化して保存する方法となります。
 

これまでとの変更点

電子帳簿保存法は何度か改正されています。
2015年以前は、電子データで保存できる領収書等の証憑の金額は3万円未満までと定められていましたが、改正後は金額の基準は撤廃されました。
また、電子帳簿を保存する際、電子署名とタイムスタンプを併用することが必要でしたが、改正後はタイムスタンプのみでの保存が認められるようになりました。
さらに、保存する形式にも指定があり、元の書類の大きさやカラー情報を保持した状態での保存が必要とされていましたが、改正後は撤廃されました。
※タイムスタンプの説明は、セイコーソリューションズ様が分かりやすく説明しています。
参考:セイコーソリューションズ株式会社Webサイト タイムスタンプ入門
 
2016年の改正では、主にスキャナー保存においての要件が緩和されました。
具体的には、「スキャンを行う機材は原稿台と一体型に限る」という要件が廃止され、デジタルカメラやスマートフォンのカメラ等での撮影が認められるようになりました。
ただしその際の要件として、スマートフォンで撮影する際には、領収書などの証憑に受領者本人の自署が必要であること、受領後3日以内にタイムスタンプを付与することなどの制約が加えられました。
さらに2019年にも改定がなされ、大きく2点変更がありました。一つは、過去の重要書類のスキャナー保存が可能になったことです。これまで、承認申請以前の書類は電子化が認められていませんでした。もう一つは新たに事業を開始した個人事業主についてです。これまで事業開始の3ヵ月前までに申請しないと適用されなかったのですが、改正により事業開始の2日前までに申請すれば、事業開始と同時に電子化が認められました。
 

申請件数の推移


2014年までは税務署へのスキャナー保存の申請件数は年間20件程度でしたが、2015年には300件超、さらに2016年には1,000件超の申請が行われました。承認数も申請件数に比例するように増加しており、2018年には累計承認数が20万件を突破しました。
申請件数の急増の要因としては、改正によるスキャナー保存に関する要件緩和、特に領収書等の電子化について、スキャナーだけでなくスマートフォン等の撮影データも認められることになったのが大きいと考えられています。また、働き方改革が推進され、紙の多い経理部門の業務プロセスの見直しや、スピーディーな税務調査対応を目指す企業が増えていると考えられます。
 

注意するポイント

2005年の改正から紙媒体の書類をスキャナーで保存することが認められましたが、全ての書類が対象というわけではありません。
総勘定元帳、仕訳帳、出納帳などの帳簿や、貸借対照表、損益計算書などの決算書類などはスキャナーでの保存が認められていません。
スキャナーでの保存が認められているのは領収書、契約書、見積書、注文書、納品書、預り書、請求書、預金通帳、小切手、約束手形などの証憑書類となります。
決算書類や帳簿などは最初からデータで保存しておくか、マイクロフィルムでの保存のみ認められていますので混同しないようご注意ください。
また、改正により電子帳簿を保存する際に電子署名は不要となりましたが、タイムスタンプは従来通り必要です。
さらに、スマートフォン等での領収書などの証憑の保存が可能となりましたが、先述のとおり様々な制約がありますので、スマートフォン等を使って撮影する際には忘れないようにしましょう。
 

申請方法は?要件や期限など具体的に解説

申請期限はいつまでに?
電子保存を適用する場合には、電子保存を始める日の3ヵ月前の日までに、所轄税務署長等に対して以下の書類を提出する必要があります。
つまり、1月1日に電子保存を始めたい場合は、前年の9月30日が提出期限となります。
・承認申請方法
国税関係書類の電磁的記録等による保存の承認申請書に記入し、所轄の税務署に提出してください。
その際、添付書類として以下が必要です。
1.電子帳簿保存で使用するシステムの概要を記載した書類
2.システム処理の事務手続きなどを記載した書類(手続きを外部の業者などに委託している場合は、その委託契約書の写し)
3.その他、補完や参考となる書類
・取りやめの申請方法
電子帳簿保存の適用を取りやめる時は、「国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の取りやめの届出書」を提出する必要があります。
電子帳簿保存等をやめる場合に、あらかじめ提出してください。
添付書類等は特に必要ありません。
・保存などの変更の申請方法
申請内容の変更をする場合には、「国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の変更の届出書」を提出する必要があります。
電子帳簿保存等を変更する場合に、あらかじめ提出してください。
 

電子帳簿保存法のQ&A


ここからは、経理の方が悩みそうなことをQ&A形式で紹介します。
Q : 電子帳簿にするメリットは?
A : 電子帳簿を導入することで、以下のようなメリットを受けることができます。
1.従来の紙文書を保存するためのスペースや、管理にかかっていた事務の負担を軽減できることで、コストの削減が見込める
2.情報の検索性が向上することにより、業務の効率化を得られ、ネットワーク上での書類のやり取りも可能となり、顧客満足度の向上に繋がる業務のスピードアップが実現できる
3.内部統制が強化され、昨今叫ばれているコンプライアンスの強化が期待できる
Q : 電子帳簿にするデメリットは?
A : 電子帳簿のデメリットとしては、導入コストがかかってしまうことや操作、視認性に慣れが必要なこと等が挙げられます。
実際に電子帳簿を使っている企業から、「タブレット端末で電子帳簿を付けているが、タブレット単体では印刷や保存ができないため、パソコンに繋げてデータのやり取りをしなければならない。万が一タブレットが故障した際にデータが消失してしまう可能性がある」という声がありました。
タブレット端末やスマートフォンで書類を保存する際にはリアルタイムでのバックアップ体制を構築しておきましょう。
Q : 電子帳簿保存の申請を税務署に出す場合、対象の証憑の保存を全て電子にする必要がある?
A : 例えば証憑を対象として申請した場合、領収書は全て電子保存し、請求書は紙での保存とする、というように分けることは法律上問題ありません。
 

まとめ

電子帳簿保存法は、決算書類などを電子データ化して保存することを認める法律です。
改正が重ねられ、現在は領収書などの証憑をスマートフォン等で保存することも可能になっています。
紙媒体で保管していた帳簿類を電子データ化することでコストの削減や業務効率化といったメリットを受けることができます。
ただし、電子帳簿保存法の適用を受けるためには税務署への申請が必要ですので、ご注意ください。
電子帳簿保存では、書面が原則である書類を電子データで保存することも認める、というつくりになっているからです。
 
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ライタープロフィール

くもと編集

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