事例の裏話から【取材ご協力会社 プルデンシャル生命保険様】常駐型アウトソーシング
常駐型の業務支援サービスをご利用いただいているプルデンシャル生命保険様に取材訪問してきました。
プルデンシャル生命保険様の視点は「導入事例」でご紹介しています。
詳しくは「導入事例 プルデンシャル生命保険株式会社様」を読んでいただき、本稿ではNOC側の視点で取材内容をお伝えします。
■プルデンシャル生命保険株式会社様について
プルデンシャル生命保険株式会社様(以下、プルデンシャル様)は、“生命保険大国”といわれる日本市場において、「ライフプランナーによるコンサルティングセールス」というビジネスモデルで、お客さまの人生設計に合わせたオーダーメイドの生命保険をお届けされている会社です。
NOCとのお付合いは2006年からで、備品の発送管理からスタートしました。現在では営業社員人事に関する業務、研修や資格試験管理、議事録作成、担当者の変更手続きなど、複数の部署からさまざまな業務をご依頼いただいています。
今回は人事に関する業務の責任者の方に事例にご出演いただきました。
■NOCが一番聞きたかったこと
一番聞きたかったこと。それはプルデンシャル様社内での執務、つまり「常駐型」についてです。
常駐型は、自分たちのインフラをそのまま活用するためセキュリティや処理スピードなどにメリットがあるものの、“オフィス内に外部企業が入ってくる”ため、受入れ体制の整備や社員の意識改革など、導入難度が高いうえに短期的な効果(例えばコスト削減)の評価をしにくい、というデメリットもあります。
(また、金融関連の企業は他業種に比べセキュリティ要件が厳しく、アウトソーシングを活用するにしても基本的に常駐型を選択することが多い傾向があります)
このような傾向があるなかで、常駐型選択の背景や効果をどう実感されているか、お伺いできればと思っていました。
■セキュリティだけではない目的
アウトソーシングを選択した理由を伺いますと、「直接採用する手間や軌道に乗るまでの猶予、派遣社員利用での交代ごとの教育の手間など、「時間」「品質」「コスト」を総合的に判断して」とのお答えでした。
当時、人事業務を担当する複数の正社員の退職が重なり、限られた社員で部内の業務をどうやって滞りなく行うかが喫緊の課題だったそうです。
アウトソーシング導入のなかでも常駐型を選択したのは、セキュリティは当然のこと、“見える範囲で業務を行ってもらえる安心感”、“突発的な事象が発生した際、素早く対処するためのコミュニケーション”を重視したからです。
また、インタビューには記載していませんが、リスクヘッジ、つまりなんらかの理由でNOCが撤退した場合を想定し、最低限のノウハウを社内においておきたいという考えもあり、常駐型を選択したとのことでした。
個人的には「セキュリティ第一で、どんな業務も社内で行うルールです」という回答がまずは出てくるかなと予測したのですが回答は違っていました。
セキュリティルールを遵守するのは前提としても、「毎日の業務をどうスムーズに行うか。長い目で見て一番メリットがある方法は何なのか」、喫緊の課題であっても冷静に考えアウトソーシングを導入されたことがわかります。
(導入時にアウトソーシング提供会社の撤退リスクを考えて検討することはそれほど多いケースではないので、さすが外資系企業と驚きました)
ちなみに法定調書の作成など、スポットで必ずしも社内で行う必要がない業務はNOCのオフィスでお請けしています。業務の特性を考えつつ、コストを抑える手段も選択されています。(当然NOCのセキュリティを評価されてのことだと思います)
■常駐型のリスク
ここで気になったのが常駐型の宿命である偽装請負化のリスクです。
当然のことですが実務を行うNOCスタッフに依頼主(今回でいえばプルデンシャル様)が直接指示することはできません。しかし、社内に常駐していれば、つい社員と同じ感覚で契約範囲外の依頼してしまう可能性もあります。それが習慣化されNOCスタッフがやってしまう、というような事態が“偽装請負化”です。
偽装請負が起きる要因としては、
・依頼主がアウトソーシングの仕組みや契約内容をしっかりと理解していない
・馴れ合いの関係になっている
・依頼主>依頼請先という力関係から依頼請先が拒否できない
などがあります。
これらを防ぐためにもプルデンシャル様、NOCどちらもまず徹底しているのが、お互いに依頼・相談窓口担当を設置し、情報の流れを一元化しています。
これによりアウトソーシングの仕組みや契約内容を具体的に知らない人がいても、窓口担当を案内すれば解決します。また、実務を行うNOCスタッフに仕事をパスする機会も極力少なくなるため“馴れ合い”にもなりにくくなりますし、力関係で拒否できない環境になってしまうことも避けられます。
つまり、プルデンシャル様の窓口担当者とNOCの窓口担当者が契約内容の変更や実行の可否などを交渉することになるため、実務スタッフにお互いの窓口担当を超えて、別の社員が指示してしまうことはほぼなくなるのです。
※ただし100%回避できるわけではありません。プルデンシャル様の事例だけではなく、例えば、新しく入社された社員でルールを知らずに仕事をNOCスタッフに直接依頼してしまう場合があります。その場合、窓口担当を案内し依頼された仕事をしてしまわないようにします。
また、NOCの執務エリアに窓口担当者(スーパーバイザー:運用管理者)も常駐しているので、何かあればすぐ気づくようにもしています。
さらに、月に1回スタッフとのミーティングでトラブルなどの報告が挙がれば、プルデンシャル様と協議し改善に努めています。
■常駐型の“隠れたメリット”
偽装請負化というリスクとは逆に常駐型はあまり“挙げられない”メリットがあります。
常駐型のメリットは、「処理時間のタイムラグがないこと」「機密情報の持ち出しがないこと」などが挙げられますが、「アウトソーサーが一連の業務内容を把握できること」もメリットとして挙げられます。
どういうことかというと、一般的な社外へ業務を切出すような場合、その業務範囲内だけの改善・効果に限定されてしまいますが、常駐型の場合は請け負っている業務の前後の工程をアウトソーサーが必然的に知ることができるので、請け負っている業務も含めボトルネックになっている箇所の発見・改善への提案をすることができます。
プルデンシャル様も最初はスモールスタートでしたが、関連する前工程、後工程の業務改善提案をし続けた結果、色々なご依頼をいただけるようになっています。また、プルデンシャル様にとっても、アウトソーシングの有用性を実感いただくことができるため、改善手段のひとつとして考えることができます。実際に効率化、コスト削減にもつながっており、常駐型ならではの相乗効果が出ているといえます。
アウトソーサーの「我田引水」ぽい話にはなってしまいますが、導入当時に想定していた以上の業務改善やコスト削減ができることは常駐型のメリットになります。
■まとめ
プルデンシャル様とは、依頼主とアウトソーサーという関係ではあるものの、一緒に考え実行している結果、業務改善やコスト削減につながっているという相乗効果がうまく出ているようです。
当然、NOC側がどんなに提案してもプルデンシャル様が聞き入れる姿勢がないと相乗効果は生まれません。
インタビューの最後に「NOCへの不満点や希望することはないですか?」という質問をしてみました。
「特に不満はなく感謝しかないんだよなぁ」と言いつつ、一生懸命NOCのダメなところを探してくださった姿に、お互い相乗効果を生む“下地”があることがよくわかりました。
参考:プルデンシャル生命保険株式会社 Webサイト