福利厚生の種類はどんなものがある?

現在、さまざまな福利厚生制度が設けられていますが、法定福利、法定外福利の2つに大別できます。

法定福利は、国民、特に労働者とその家族の生活の安定を目的とする社会保障制度に関わるもので、法律上、事業者負担が義務付けられているものです。具体的には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険など各種社会保険料の事業主負担を指します。

法定外福利は、会社が人材の確保やその維持あるいは勤労意欲の鼓舞を目的として、任意に実施しているものです。その内容も多岐にわたり、会社から社員に対し一律に給付するタイプのもの以外に、社員がその内容を選択できる「カフェテリアプラン」もあります。

 

■法定外福利を中心とした福利厚生制度の概要

法定外福利厚生について、今回は社員の視線で主要なものについて解説します。

通勤費
自宅から会社までの交通費を指し、一定限度までは会社の福利厚生費と認定されます。社員へ支給される際は非課税です。
日々の勤務で発生する費用であり、社員にとってはとてもうれしい制度のひとつです。
(通勤費は電車やバス通勤では支給されることが多いですが、車通勤や自転車通勤の場合は支給されない場合があります)

住宅、社宅などの給与住宅、持ち家援助
住宅手当、家賃補助、社宅、独身寮、持家援助などを指し、会社から住宅手当等の補助が福利厚生として給付されます。支給される際は給与と見なされ、課税対象となります。

銀行からローンし持ち家を購入するか、アパート等を賃貸するか、いずれの場合にも、住居費に関わる負担は長年に渡ります。

社宅を利用できる場合、賃貸料を会社と社員の双方で負担しているわけで、社員にとっては、通常の賃貸料以下で住居を賃貸できるというメリットがあります。社員が賃貸料の50%以上を負担した場合、会社負担分は福利厚生費となります。他方、50%以下であれば、会社負担分は社員への給与と見なされます。

なお、社宅として認められる条件は次の通りとなります。

・ 社宅家賃規定を作成すること
・ 賃貸借契約書を保存すること
・ 会社が住宅の契約をすること
・ 家賃の個人負担分は給与から天引きすること

医療・保健
健康診断(がん検診等法定への上積み)、メンタルヘルスケア、 診療所などの医療施設、健康診断などを指します。
健康診断費用が次の要件を満たす場合、会社の福利厚生費と認定されます。社員は、実費程度の費用で健康診断を受けることができます。

・ 全役員・従業員を健康診断の対象者とすること
・ 健康診断を受けた全員分の費用を会社が負担すること
・ 健康管理上必要とされる程度の常識の範囲内の費用であること

育児・介護支援関連
育児休業(法定への上積み)、育児施設育児補助(ベービーシッター補助含む)、介護休業・介護休暇(法定への上積み)などを指します。全社員が利用できる場合、会社の福利厚生費と認定されます。

幼児あるいは看護を必要とする家族を抱えた社員にとって、こうした福利支援の有無、特に、会社内あるいは連接した場所に保育所等があるかないかは、「働きやすさ」に大きく影響するところで、会社側もこの利点を認識し始め、一部の企業ではその充実を図りつつあります。

慶弔見舞金
結婚祝、出産祝、見舞金、香典などの慶弔金、お祝いの品、花輪の費用などを指します。
社会通念上、妥当と認められるものであれば、 会社の福利厚生費と認定されます。社員にとって、こうした慶弔の機会に会社から配慮を受けることは、ありがたく感じることが多く、会社への帰属感が高まります。

文化・体育・レクリエーション
余暇施設(運動施設、保養所)、文化・体育・レクリエーション活動支援などを指します。
全社員が対象で、会社の負担が常識の範囲で高額でない場合、 会社の福利厚生費と認定されます。 ただし、社員全員を対象とすると言っても、利用する社員は限定される傾向があり、是非が分かれるもののひとつです。

自己啓発・能力開発
公的資格取得・自己啓発(通信教育等)支援などを指します。
社員に対するトレーニングとして認定されない限り、給与と見なされることがほとんどです。会社がサービスを提供する教育機関等と団体契約を結ぶことにより、社員は団体割引の費用でサービスを受けられることができます。

財産形成関連
財形貯蓄制度、社内預金、持株会、個人年金など(従業員拠出)への補助を指します。
会社から社員への補助は給与と見なされます。給与から自動的に天引きされるもので、定年後を見据えた資産形成が可能になります。

カフェテリアプラン
外部のサービスをベースに、社員がその内容を選べるプランを指します。
基本、課税対象となる場合が多いものですが、一方的で画一的な給付の場合よりも、社員としてメリットが多いものです。会社にとっても、コスト減になる可能性があります。

ここ10年で浸透し始めている福利厚生で、これらをアウトソーシングとして提供している企業もあります。

 

■新しい「福利厚生」

価値観は社員によって異なります。
これまでの福利厚生は、どちらかというと、上からの慈恵的・温情的な性格や色彩が強く、さらに一方的で画一的に給付されるものがほとんどでした。最近では、社員の価値観の相違を尊重し、社員がその内容を選択できるカフェテリアプランも導入されています。

また、福利厚生、特に法定外福利厚生の場合、社員数が多い大企業ほど、規模の利益を受け、多様化できますが、中小企業の場合、社員数からみて、大企業の制度と比較し見劣りする傾向があります。

現在、人材不足に悩むことの多い中小企業に対し、児童を抱える社員の雇用を助成する目的で『事業所内保育施設設置・運営等支援助成金』が導入されています。この公的助成金は、複数の企業が共同で設置・運営する「共同事業主型」の保育施設も対象としています。また、「子育て期短時間勤務支援助成金」も導入されています。
こうした公的な助成金を活用し、中小企業向けの福利厚生制度の提案がさまざまな形で行われています。

参考 厚生労働省Web 「サイト事業主の方への給付金のご案内

 

■まとめ

現在、さまざまな福利厚生制度が導入されています。そして、法定福利の分野では、国がその充実を図っています。

他方、法定外福利の分野では、大企業を中心に多岐多様なものが導入されています。また、一方的かつ画一的な給付から、社員がその内容を選択できるカフェテリアプランも導入されています。

さらに、人材確保に悩むことの多い中小企業を対象とする公的な助成金制度も導入され、新しい形の福利厚生制度が生まれつつあります。福利厚生制度のこうした傾向は今後も続くものと予想されます。福利厚生とは、会社と社員双方の「働き方」への意識の変化を反映する制度ともいえますね。

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」