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2017.08.01 掲載 2023.11.08 更新

「リスクマネジメントの疑問」シリーズ 第2回 リスクを考え出すとキリがない?

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス

 

前回記事「リスクマネジメントの疑問 第1回 リスクとはどのようなものか?」では、リスクマネジメントが対象とするリスクの幅広さを改めて再確認しました。しかし、リスクを広くとらえればとらえるほど、今度は際限なくリスクばかり想像されてキリがなくなってきます。
そこで今回は「リスクを考え出すとキリがない?」と題して、一体どこまでを本質的なリスクとしてとらえればいいのかの指針となる3つの視点をご紹介します。
 

■リスクを考えすぎることの弊害

リスクを真剣に洗い出していくと、あれもこれも、もしかしてそれも・・・と疑心暗鬼になり、さまざまなリスクが際限なく出てきてしまう経験はないでしょうか。
もちろん、リスクを網羅的に洗い出すという意味では良いことなのですが、考えすぎがかえって弊害を招く可能性には注意しなければなりません。
具体的にどのような弊害を招く可能性があるのか見てみましょう。
 
手続きばかりが煩雑化する
何でもリスク、リスクと考えすぎると、広範囲のリスクを管理するために社内の手続きが煩雑になりがちです。
典型例として、膨大な資料への記入を求められたり、関係者に何度も説明をしないと物事が進まなくなるということがあります。こうした手続きが現場の負担となって業務スピードやモチベーションを低下させたり、リスクを防止する効果以上に管理コスト(人件費やシステム投資等)を発生させてしまうのであれば大きな問題です。なぜ続けているのか分からない資料や会議が思い当たる場合は、危険信号と言えるでしょう。
 
リスクを見て見ぬ振りをする
こうした手続きの煩雑化はさらに深刻な問題につながる可能性があります。
筆者が関わったあるメーカーでは、現場が手続きを「こなす」ようになり、手続きが形骸化していきました。具体的には、リスクマネジメント関連の資料を効率よく記入する暗黙のコツが共有され、重大なリスクがあっても会議で大ごとにならないよう控えめに報告されるようになっていったのです。
その結果、現場では誰もが十分にリスクを認識していたにも関わらず、数億円の損失につながる商品回収が発生してしまいました。
 
チャレンジが敬遠される
こういう失敗が重なるとさらに手続きが強化され、リスクに対して過剰に反応する悪循環に陥りやすくなります。
投資に失敗したあるメディア系企業では、新規事業の立ち上げが急務だと言いながら、実際には既存事業に比べてリスクの高い社内起業やベンチャー投資が承認されないことが繰り返されるようになりました。そうするうちに、現場ではリスクのあるチャレンジは敬遠されるようになっていきました。
このように、最後にはリスクのあることは何もできなくなってしまう場合すらあるのです。
 

■リスクを適切にとらえるための指針

では、リスクについて必要以上に考えすぎないためにはどうすればいいのでしょうか。
また、考えないと見過ごしてしまい、考えすぎると何もできなくなってしまうという難しいバランスの中で、どこまでを本質的なリスクとして捉えるのが「ちょうどいい」のでしょうか。
考えすぎる弊害を防ぎ、本質的なリスクを見極めるためには、何を本質的なリスクととらえるかについての全社的な指針を共通言語化することが重要になります。
それでは、この指針を決めるうえで参考になる3つの視点をご紹介したいと思います。
 
1.リスクマネジメントの目的を指針にする
リスクマネジメントと一口に言っても、実は目的は1つではありません。
「企業価値を高めるため」「企業資産を保全するため」あるいは「事業を継続するため」などがあります。
1つだけに絞るのは現実的ではありませんが、自社の経営課題に合わせて今はどの目的を重視するのかを明確にすることで、優先的に考えるべきリスクが何かを現場に発信することにつながります。
例えば、企業価値を高めるためにはファイナンスのリスク(資本構成、運転資金等)を優先的に対応すべきですが、事業を継続するためには自然災害のリスク(BCP等)に優先的に対応すべきかもしれません
 
2.リスクの影響度を指針にする
その上で、対象となるリスクの重要性を比較するための指針がリスクの影響度(=大きさ×発生確率)です。
リスクの影響度(絶対額や利益に対する割合)が明確になると、そもそも考える対象とすべきか(小さいものは無視等)、どこまで管理すべきか(担当者の自己管理、会議体での承認等)をあらかじめ規定することができます。そうした共通認識があることで、各人が考えるべきリスクに集中することができるのです。
どんなに発生確率が高くても、企業に与える大きさが規定以下であれば無視すべきですし、一方で100年に1度の発生確率であっても、企業に与える大きさが著しい場合は「まさか起きないだろう」と放置することは許されません。
 
3.管理の脆弱性を指針にする
リスクの影響度が一定以上あると判断されたリスクについては、さらに管理の度合いからも検討することが重要です。
管理体制が脆弱なリスクに対しては、当然ながらリスクの影響度の高いものから優先して対策を行う必要があります。一方で、既に管理体制が整っているリスクのうち、リスクの影響度の高いものであれば引き続き厳格な管理を継続すべきですが、リスクの影響度の低いものに対して過剰な管理をしている可能性があるため対応が必要です。
このように、管理の脆弱性の視点を加えることで、さらに集中すべきリスクとそうでないリスクを明確化することができます。
 

■まとめ

このように、リスクは際限なく考えていくとさまざまな弊害が生じる可能性があります。以下のチェックリストに該当する企業は、こうした「考えすぎ」の罠にかかりやすい体質の可能性があるため注意が必要です。上記で紹介した3つの指針(リスクマネジメントの目的、リスクの影響度、管理の脆弱性)を参考にしながら、本質的にとらえるべきリスクは何かの共通認識をつくってみてはいかがでしょうか。
例えば以下のようなテーマでまずは話し合いを持つのはいかがでしょうか。
・リスクやリスクマネジメントという言葉が定義されていない
・企業や部門として最も優先度の高いトップ3のリスクをすぐに言えない
・リスクの資料や会議は多いが目的や意図が分からないと感じることがある
・リスクを見て見ぬふりをしたり、はじめから避ける風潮がある
・リスク検討の指針となる規定やマニュアルがない
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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ライタープロフィール

吉江 宣慶

経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。

吉江 宣慶

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