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2017.09.19 掲載 2023.11.21 更新

「シーン別リスクマネジメントの方法」シリーズ1回 “想定外”の環境変化に対応するには?

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス


海外進出先での突然の政変、急激な円高・円安などの為替変動、資源の枯渇による調達難・・・。このような政治・経済・社会の変化は時として経営のリスクとなり、致命的な影響をもたらすこともあります。しかし、困ったことに外部環境は、自社の思い通りにはなりません。リスクマネジメントの現場では、こうした外部環境の変化によるリスクにどのように向き合えばよいのでしょうか。
政治・経済・社会の変化は、自社の力ではどうしようもない“想定外”のこととしてとらえがちです。しかし、こうしたリスク“想定内”とし、管理できるかを考えることこそが、リスクマネジメントの要諦なのです。
そこで今回は、外部環境の変化によるリスクを管理するための実践的なテクニックをご紹介します。
 

■“想定外”の外部環境の変化とはどのようなものか

はじめに、外部環境の変化によるリスクとは具体的にどのようなものを指すのかを確認します。「「リスクマネジメントの疑問」シリーズ 第1回 リスクとはどのようなものか?」でもご紹介しましたが、外部環境の変化によるリスクには次のようなものがあります。
政治リスク :戦争、革命、制度改正、貿易制限、非関税障壁など
経済リスク :金利変動、為替変動、税制改正、金融不安など
社会リスク :産業スパイ、テロ、感染病、自然災害など
リーマンショックに象徴されるように、政治・経済・社会がグローバルに一体化する中で、海外で起きた事象が日本にも連鎖する傾向は強まりつつあります。また、テロや自然災害などの突発的な事象は、発生確率は低いものの、万が一発生した場合に甚大な損失を被る様子は、ニュース等でご覧になられているかと思います。
このように、現代においては、外部環境の変化によるリスクは決して他人ごとでは済まされない重要なリスクとして、とらえるべきなのです。
 

■“想定外”の外部環境の変化を管理するための3つのテクニック


では、このような外部環境の変化によるリスクを“想定内”のものとして管理するにはどうすればいいのでしょうか。もちろん、リスクそのものをなくしたり、発生したリスクの影響から完全に身を守ったりすることは難しいでしょう。しかし、それらを少しでも「低減」や「移転」できないかを考えることは可能です。これがリスクマネジメントです。その手法として、3つのテクニックをご紹介します。
①リスクを管理可能な単位まで分解する
経営環境を一変させるような外部環境の変化を、丸ごと管理しようとしても、どうすればいいのか途方に暮れてしまいます。こういう時は、外部環境の変化が自社の業績にもたらす影響をできるだけ具体的に想像し、管理できると思える単位までリスクを分解していくのがコツです。
例えば、世界的に環境保護に関する規制が急激に強化されるリスクを考えてみましょう。どのような具体的リスクが想起されるでしょうか。ここでは、事業に関連する様々なステークホルダーの視点にまで、想像の幅を広げて考えてみます。
消費者の視点:例)エコフレンドリー商品の需要拡大(売上の拡大・減少)
取引先の視点:例)環境規制に照らし合わせた取引先の見直し(調達コスト上昇)
投資家の視点:例)CSR投資の浸透による資金調達への影響(金利コストの上昇)
自社内の視点:例)環境規制に対応する設備投資の必要性(投資の発生)
公共性の視点:例)環境汚染に関する訴訟の可能性(特別損失の発生)
このように自社の業績にどのような影響を与えるかを実感できる単位に分解することで、自社には手に余ると思えたリスクに対峙し、管理できる可能性が見えてきます。
 
②計測できないリスクを計測できるリスクに転換する
次に、①で分解した各リスクがどの程度の大きさの影響をもたらす可能性があるかを検討します。その結果、リスクの大きさが計測できる場合は、リターン(結果)の大きさと比較して「許容」あるいは合理的な水準まで「低減」する方向で考えることができます。しかし、外部環境の変化はリスクの大きさを計測できない場合も多く、その場合はリスクを外部に「移転」できないかを考えてみると、突破口が見えてきます。
前記の環境規制の例で、リスクの大きさを計測してみましょう。例えば、エコフレンドリー商品の需要拡大が売上にどう影響するかであれば、消費者ニーズの分析を行うなどにより、定量的なシナリオを描くことができます。また、調達・金利コストの上昇や必要となる設備投資についても、先行事例を参照するなどにより、計測する手がかりを掴める可能性があります。
一方で、仮に訴訟が起きた場合に、その影響がどの程度の規模で収まるかについては一概に想定することは困難です。賠償額は事例によってかなり幅がありますし、仮に事業が一時的に停止したり、消費者の不買にまで発展すれば事業の継続そのものが困難になる規模の損失をも覚悟しなければなりません。こうした場合は、環境汚染賠償責任保険や土壌汚染浄化費用保険などによって、影響を計測できるものに転換することが可能です。
 
③リスク管理の脆弱なものから取り掛かる
最後に、②で計測したリスクに対する対応策を検討します。この時、特に注意すべきポイントは、「発生確率に過度にとらわれない」ことです。外部環境の変化によるリスクの多くは、今すぐに発生する性質のものではなく、長期的あるいは突発的に発生するものです。したがって、発生確率のみで優先順位をつけてしまうと、本来注力すべきリスクに手が回らない可能性があるのです。
そこで、対応策を検討する際のポイントは、「リスク管理の脆弱性」を踏まえて優先順位づけを行うことです。リスク管理の脆弱性とは、リスクに対してどの程度の備えを行っているかを示す指標です。つまり、事業の継続性を左右する重大な外部環境の変化に対しては、発生確率の高低に関わらず、堅牢なリスク管理を行うことが経営を守る備えとして重要なのです。
反対に、発生確率が高くても既にリスク管理の対応がとられているリスクについては、過度に心配する必要はありません。外部環境の変化によるリスクは多岐にわたるため、このようにメリハリをつけた対応が求められるのです。

 

■まとめ

以上のように、自社の思い通りにならない外部環境の変化によるリスクも、管理可能な単位に分解することで“想定内”の範囲でコントロールすることが可能です。こうしたリスクの発生は、ずいぶん先の話のように感じられ、しかも万が一の影響が大きすぎるため、敢えて考えることを避けるという風潮も見られます。
しかし、「見ないふり」をしても現実のリスクからは逃れることは出来ません。今回ご紹介した3つのテクニックをご参考いただきながら、改めて自分ごととしてとらえなおしてみることが必要です。
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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ライタープロフィール

吉江 宣慶

経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。

吉江 宣慶

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