実はとても強力なツール チェックシート
作成するのが手軽なわりに強力に業務をサポートしてくれるツールにチェックシートがあります。
「いまさらチェックシート?」と思われた方がいるかと思います。
たしかに常に同じ仕事をしていれば必要のないものかもしれませんが、ミスが許されない業務やたまに発生する業務ではとても強力なツールになります。
(常に同じ仕事をしているがゆえに慣れからヒヤリハットを誘発することもあるので、そんな場合でもチェックシートは有効です)
■チェックシートとは
チェックシートというと、品質管理を保持向上するためのツール「QC7つ道具」を思い出す人もいると思います。まさにその中のツールのひとつで、業務品質を担保するため(仕事の抜け漏れがないようにするため)のものがチェックシートです。
QC7つ道具でのチェックシートには記録用と点検用があります。
記録用は該当する仕事を何回行ったかを知るために使います。
例えば、一日に売上処理を何回したか、具体的にどんな作業をしたか、なんてことを記録します。あとからそのチェックシートを見ることで、処理の傾向や無駄などを発見することができます。
点検用はまさにすぐにでも活用できるツールです。
単純にYes か Noのようにやったかやらなかったかを確認するシートです。シンプルですが、作業の抜け漏れを防ぐこともできますし、いつ、だれが行ったか、ダブルチェックはあったのかなども記録でき、とても便利です。
業務改善を見越したチェックの場合は記録用チェックシートを活用し、ミスの発生を未然に防ぎたい場合は点検用、と目的に合わせて活用しましょう。
■活用方法
※今回は点検用チェックシートについて説明します。以下チェックシートというのは点検用を示します。
チェックシートは具体的にどんなシーンで活用できるでしょうか?
例えば・・・
給与計算処理のチェックシート、請求書処理のチェックシート・・・などです。
基本的に毎日ではなく定期的に発生し、ミスが許されない業務で特に効果を発揮します。
実際には業務マニュアルがないとわからない場合がありますが、少なくともチェックするポイントがわかれば、最低限の手順はわかるので完全なブラックボックス化、属人化は防ぐことができます。
チェックシートの確認・記入の手間が増えることで、面倒になるうえに全体の処理時間も多少遅くなりますが、慣れからくるミスや手戻りの低減、業務の標準化、属人化の防止をすることができます。
■簡単に作成できる
本来チェックシートまで業務を落し込むためには、業務の棚卸をし、マニュアルを作成する必要があります。
時間がない、頓挫してしまう、面倒だという声が聞こえてきそうですが、実務担当者であればわりと簡単に作成することができます。
(実際、自分なりのチェックシートを作成して仕事をしている人はいるのではないでしょうか)
作り方にルールはありません。サンプルのように項目とチェック欄だけでもOKです。チェック欄の横に注意点や各ステップでダブルチェックを入れられるようにちょっと作り込むのもよいでしょう。
また、チェックシートを作成する過程で、作業手順を改めて見直すことでき、プチ業務改善もすることができます。
■慣れると形骸化
チェックシートも慣れてくると形骸化し、適当にチェックを入れたり、記入自体をしなくなってきます。
ヒヤリハットをご存じでしょうか。
1件の重大な事故の裏には29件の軽微な事故があり、29件の軽微な事故の裏には300件のヒヤリハットがあると言われています。つまり、理論上300件のヒヤリハットを低減できれば、1件の重大な事故の発生率も下がるのです。チェックシートはこのヒヤリハットを低減するために簡単に活用できるツールなのです。
とはいえ、形骸化しないようになにかしらの対策は必要です。
かなりアナログですが・・・
・チェックをする人とそれを確認・承認する人を別にする
・紙もしくはパソコンディプレイ上で視界に入るところに置いて作業をする
・関連するすべての作業をリスト化しようと思わず、ミスしてはいけない作業に留めておく
・チェックシートを使用する目的、ミスをした場合のリスクの洗い出しをすること。そして常にチェックすることが重要であることをこころがける
そのほかにもシステムを活用する方法もありますが、お金や時間をかけずに行える対策は以上の4つが主なものになります。
また、ToDoリストやタスクリストとして別に管理している方もいるでしょう。グループウエアやクラウドのプロジェクト管理などと二重管理になるから使わなくなる恐れもありますが、使い方を変えれば“共存”は十分に可能です。
タスクリスト(ToDo)はやるべき大きな括りの業務群、チェックシートはそのタスクリストを完了するためのより詳細な業務リストと考えればよいのです。
つまり・・・
タスク ⇒ 契約書の提出
チェックシート ⇒ 契約書データをプリントアウト、ホチキス留め、製本テープにて製本化、押印部に付箋、押印申請、押印後、押印部確認、契約書をお客様に提出
以上のようなイメージです。
■まとめ
「チェックシートなんてなくても、仕事は滞りなく処理できているからOK」
たしかにそれも一理あります。毎度毎度チェックしていたら進むものも進まない、というのも事実です。ですが、ミスや事故が発生した場合のリスクと比較して、その答えを出す、というプロセスを踏むことが大前提になります。
例えば、見込み顧客1,000社にセミナー開催の告知をしようとして、間違って宛先に1,000名分を記してしまったらどうでしょう?
重大な個人情報漏えいです。配信前にチェックシートに則って作業をしていれば起こらなかった事故です。
ちなみに、われわれアウトソーサーもチェックシートを活用します。どんなに業務に習熟しているとしても品質低下や納品遅れ・漏れを防止するために必ずリストにチェックを入れながら作業を進めます。アウトソーサーは業務を完璧に行い納品することで、その対価をいただきます。そのため絶対に適当なことはできないからです。
チェックシートは昔からあり、最先端のものではありません。どうしても最新の改善ツールや管理ツールに目が行きがちですが、使い古されていても十分に機能するツールのひとつであることは間違いありません。是非、身近な業務から活用してみてください。