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2020.07.03 掲載 2022.04.13 更新

策定後5年が経過!SDGsの現状とは

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス


SDGsが策定されて5年が経ちました。徐々に認知度は上がっているものの、SDGsは貧困や飢餓の解決、男女平等などの社会的な目標なこともあり、まだまだ中小企業には浸透していないのが現状といえます。そこで今回は、企業がSDGsに取り組むことのメリットやSDGsを導入するときの手順、導入の際のポイントなどをご紹介します。
 

そもそもSDGsとは何か

ここで改めてSDGsについておさらいしておきましょう。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された国際目標で、外務省の定義によれば「『誰一人取り残さない』持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標」のこととされています。
外務省「JAPAN SDGs Action Platform」
環境破壊や人権の侵害、戦争や貧困などのさまざまな社会問題について、一人ひとりが意識しながら問題の解決や発展に向けて進んでいこうというのがSDGsの狙いで、17の国際目標の下に169のターゲット、さらに232の指標が決められています。
また、日本では以下の3つを柱としてSDGsを促進していくとしています。

出典:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」

 

SDGsの背景にあるCSRとESG投資

◆SDGsと深く関連しているCSR
SDGsの背景として深く関わるのが「企業の社会的責任(CSR)」です。これは、「企業は、経済的な利益を追求するだけでなく、環境問題や人権問題、地域社会への貢献などにも配慮して社会的責任を意識して行動するべきである」という考え方を表します。
CSRが生まれた背景には、水俣病や四日市ぜんそくなどの四大公害病、利益だけを追求した結果、賞味期限が切れている食材や衛生管理が不十分な食材を提供するケース、食品に限らず安全基準を満たしていない商品の販売など、企業が経済的な利益だけを追求してきた結果として引き起こされた、さまざまな不祥事への批判があります。
労務に関していえば、従業員の過労死やパワハラなどもCSRに反しているといえるでしょう。こうした不祥事への批判と反省がCSRへとつながっています。
 
◆ESG投資もSDGsに関連している
SDGsはまた、ESG投資とも関連しているといわれています。
ESG投資について、経済産業省のページにはこのように記載されています。
ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。
引用:経済産業省「ESG投資」

投資家はさまざまな観点から投資先企業を分析して投資をするに値する企業かどうかを判断しますが、その判断基準には財務状況だけでなく、社会的・環境的な貢献がなされているかなどの観点も含まれるようになってきました。ESG投資市場は年々急激に拡大しており、日本の投資額も急激に上昇しています。
SDGsはこうした時流の変化とも深く関連しています。企業だけでなく自治体や学校などの公的機関でもSDGsへの取り組みが進んでおり、最近では電車の広告でもSDGsの文字を見かけるようになりました。雑誌で特集が組まれたり専門書籍なども刊行されるなど、SDGsは年々普及し、認知度が高まっています。
 

中小企業がSDGsを取り入れると、どのような効果が見込めるのか

今のところ、SDGsを取り入れている企業としては大企業が多いイメージがあります。実際に東京産業労働局のデータによれば、従業員1,001人以上の企業では全体の78.3%が「SDGs について内容を把握しており、事業活動として取り組んでいる」と回答していますが、従業員100人未満の企業では10%を切っています。また、「SDGsについて何も知らない」と回答した企業の割合も約半数にのぼっていました。「言葉は知っているが内容までは知らない」という回答を含めると、約7割の企業が「SDGsについてほとんど知らない」状態となっています。
参考:東京都産業労働局「都内企業等におけるSDGsの認知度・実態等に関する調査報告書(令和2年3月)」
SDGsを導入したからといって短期的に直接売上を伸ばすような効果はあまり期待できないことから、中小企業としては導入を敬遠する向きもあるのではないでしょうか。
しかし、中小企業がSDGsを導入することには、実はさまざまなメリットが期待できます。
◆企業価値が向上する
SDGsに取り組んでいるというだけで「この企業は社会貢献や地域貢献にも取り組んでいる」という認知が広まり、ポジティブなイメージを持たれる可能性が高まります。また、SDGsは日本だけでなく世界全体の潮流となっているため、まだ導入企業が少ないうちに取り組みを始めることによって、他企業との差別化を図れるというメリットがあります。
◆大企業や他企業とのビジネスチャンスが生まれる可能性がある
例えば、自社で省エネを徹底している企業がエネルギーを無駄遣いしている企業を取引先に選べば、その取引先を選んだ企業のイメージが低下しかねません。さらに、後から述べますが、SDGsウィッシュにあたるのではと批判を受けるおそれすらあります。
SDGsに取り組むことにより、SDGsを共通言語として他企業に取引やアライアンスを提案することもできます。SDGsは大企業をはじめとした他企業とのビジネスチャンスを有無可能性があるのです。
◆自己分析の機会にできる
SDGsのどの国際目標に取り組むかを決めるためには、自社の強みや弱み、経営理念や価値観、方向性を自己分析し、どんなことなら実現できそうかを探し出す過程が必要です。こうした自己分析は、忙しければ忙しいほど、なかなか改まってする機会はありません。
自己分析の機会を得られるというのも、SDGsを導入することのメリットと言えるのではないでしょうか。
◆採用シーンで有利になる
さまざまな媒体がSDGs の認知度についてアンケートを行っていますが、SDGsの認知度は若い世代が最も高いというデータも出ています。10代、20代という若い世代はフットワークも軽く柔軟性も高いため、社会貢献や地域貢献、環境問題などの社会的な活動に従事しやすい立場にあるといえます。
こうした若年層の関心は就職や転職にも影響します。彼らが就職・転職するときに、SDGsに関心がなく、社会貢献や環境問題などに対する意識の低い企業はエントリー候補から外される可能性が高いのです。SDGsに取り組んでいることをアピールできれば、採用シーンにおいても他企業との差別化を図ることができます。
◆中小企業だから、あらゆる社員がSDGsに関われる
社員数が多い大企業などでSDGsを導入する際には、SDGs推進部などの新しい部署が作られることがありますが、中小企業ではなかなか難しいと思われます。しかしその反面、さまざまな社員がSDGsに関わることができるのは中小企業のメリットです。
例えば、環境に優しい商品を開発する場合は研究開発部が、女性の雇用を守るという目標については総務課、SDGsの認知を高めて同じ理念を持つ取引先を開発する場合は営業など、目標に応じてさまざまな部署がSDGsには関わることになります。
SDGsは抽象的かつ目標としては大きすぎるため、社員にとってはなかなか自分ごととして行動することが難しいのが現状ですが、自分が目標達成のためにできることがあるというのは、社員のやりがい向上にもつながると思われます。
 

SDGsを導入している企業の事例

SDGsへの取り組み方は事業によっても企業によってもさまざまです。どのような取り組みをするかによって企業としての個性を出すこともできます。他社の事例をSDGsを導入する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
 
◆ソーイング竹内
ソーイング竹内は兵庫県多可町に拠点を持ち、播州織などを主力商品とした縫製業を主な事業としています。廃棄される生地のリサイクルや地域環境を守るための活動、働きやすい職場環境づくりなど、SDGsへの取り組みは多岐にわたっています。また、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の際には、マスク製品としては国内初のエコテックスⓇスタンダード100認証を取得した布マスクを制作し、多可町などに寄贈しています。
https://www.sewing-takeuchi.co.jp/company/eco/
 
◆株式会社ナンゴー
京都府宇治市にある株式会社ナンゴーは、機械加工やプロトタイプの試作、研究支援などを行っている製造業の会社です。こちらもさまざまな国際目標に取り組んでいます。取り組みについて紹介しているホームページを見るとわかりますが、自社のサービスや強みを深く掘り下げた上でSDGsに取り組んでいることがよく分かります。
SDGsに取り組むことで自社の個性をアピールしている好例のひとつです。
https://www.nango-kyoto.co.jp/pdf/sdgs_nango.pdf
 
◆有限会社タケイ電器
中津川市にある有限会社タケイ電器では、地方創生や男女ともにやりがいのある職場環境づくりなどを目標に掲げています。また、他社とのパートナーシップを強めることでSDGsの目標達成に向けて目指しています。こうしたパートナーシップや他企業との連携を目標におくことで、新たなビジネスチャンスにつながる効果も期待できそうです。
https://takeidenki.co.jp/sdgs/
 
 

SDGsを導入するときのポイント

◆導入手順
SDGsを導入するときには、以下の手順に沿って進めていくことになります。
1 まずSDGsについて情報を共有し、社内全体の理解を深める
2 社内の課題を洗い出し、SDGsの目標を設定
3 SDGsの取り組みを開始・広報を行う
4 SDGsの実践~報告、改善等
このうち重要なのが、SDGsの基本的な理解、自社に導入することのメリットや具体的な行動目標を社内で共有することです。SDGsは上手く使うことで社員の意識の向上にもつなげることができるものですから、まずは経営社側がSDGsを打ち出すことのメリットを理解し、社員たちに理解を促せることが重要です。
◆経営者が留意しておきたいこと
さらに経営者が留意しておきたいこととしては、以下の3点があります。
①アイデアコンテストなど、社員が積極的にSDGsに関心を持ち、自分ごととして考えるきっかけになる体制をつくる
②SDGsは先進的であり、直接業務に関連するというよりは長期的な目標なため、導入作業を社員に丸投げするのではなく、経営者側が率先して関わることも大切
③専門担当はこれまでの業務とSDGsの導入作業を兼任することになるため、オーバーワークにならないようにケアが求められる
◆無理をせず長期的視点で取り組む
SDGsは2030年までの国際目標です。また、一時的に大きく成果をだせばよいというものではなく、継続して取り組み続けることが求められています。
SDGsを導入して行動計画を立てていくときには、一時的に負荷をかけて目標達成のために集中するような行動計画を立てるのではなく、無理のない持続可能な範囲で行動計画を立てることが大切です。
◆SDGsウォッシュにならないように注意する
SDGsに取り組んでいないのにロゴだけ掲載している、ホームページに記載されている内容が過度に誇張されている、事実とは異なることが書かれているなど、SDGsに取り組んでいるように見せながら実際には行動がともなっていない状態のことを「SDGsウォッシュ」といいます。
SDGsウォッシュは批判を浴びるだけでなく、企業の信頼失墜にもつながりかねません。SDGsウォッシュにならないためにも、自社の活動とかけ離れたSDGsの目標を設定しない、手を広げすぎず最初は1つの目標から始めるなどの注意が必要です。
◆ロゴを利用するときにはガイドラインの確認を
SDGsの取り組みを始めたら、名刺やホームページなどにSDGsのロゴやアイコンを掲載しましょう。そうすることで「この会社はSDGsに取り組んでいる」ということが一目でわかるようになります。
ただ、SDGsのロゴやアイコン、ポスターなどを使用するときには、国連が定めたガイドラインに従わなければなりません。
例えば、会社のロゴとSDGsのロゴを組み合わせるときには「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」という文言を添えなければなりません。また、ロゴはトリミングや陰付けなどが禁止されています。
こうしたガイドラインが細かく定められていますので、ロゴなどを使用する前に必ず確認しておきましょう。
参考:国連グローバル・コミュニケーション局「持続可能な開発目標」(SDGs)
 

まとめ

今回は、企業がSDGsに取り組むことのメリットや導入時の注意点などをご紹介しました。SDGsに取り組むことは、企業にとっても大きなメリットが見込めます。17の国際目標全てに取り組む必要はなく、自身の活動に深く関わるものにフォーカスして取り組めばいいSDGs。まずは無理のない範囲から取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
 
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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ライタープロフィール

金子 千鶴代

ステラワークス代表・ライター。 商業施設や飲食業界などで10年近く経理・総務に従事し、2016年からライターとして独立。 「難しいことをわかりやすく伝える」をモットーに、これまで法制度や行政、住宅や公的保険などのコンテンツを数多く執筆。

金子 千鶴代

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