【2020年のDC法改正】企業が知っておくべきこと①

2020年に確定拠出年金制度の見直しが行われました。

これまでも何度か法改正を経て企業型DCやiDeCoはより利用しやすくなってきましたが、2020年の法改正ではさらに使い勝手がよくなり、対象者も広がるようです。

今回の改正も受給する側にとってはメリットが大きい法改正となりますが、DCを導入している企業はどのような対策が必要なのでしょうか。

 

企業型DCに関連した主な改正点

・65歳未満から最大70歳未満に加入可能年齢が拡大(2022年5月1日施行)

現在、企業型DCは65歳未満の方のみが加入できますが、2022年5月以降は70歳未満の方が加入できるよう、加入可能年齢が拡大します。また、iDeCoも従来の60歳未満から65歳未満に拡大することが決まっています。
ただ、企業型DCにの加入可能年齢をどのように設定するかは企業によって異なるところです。

・会社の規約変更を行わなくても従業員がiDeCoに加入できるようになる(2022年10月1日施行)

現状では、企業型DCの加入者がiDeCoに加入できることを規約で定める必要があり、労使の合意が必要です。またその際には、企業型DCの掛金額上限を5.5万円から3.5万円(DBなどを併用している場合は2.75万円から1.55万円)に減額する必要があります。
ところが改正後は規約の定めが不要となるため、原則として希望者はiDeCoに加入できるようになります。同時に企業型DCの掛金額上限の引き下げも不要となりますが、企業型DCとiDeCoの掛金の合計額は次の表のとおりになることが必要です。

出典:厚生労働省HP

 

・受給開始時期の上限が75歳に延長(2022年4月1日施行)

現状では、企業型DCとiDeCoの受給開始時期は60歳〜70歳となっています。しかし改正後は、受給開始時期が60歳〜75歳に拡大されます。

・加入者の退職等に伴う企業型DCから通算企業年金への年金資産の移換が可能に

年金資産の移換(ポータビリティ)のメリットは、資産に課税されずに転職先の企業に移換できることです。
改正後はポータビリティの範囲が拡大し、転職先企業に企業型DCがない場合に、企業型DCから通算企業年金への移換が可能になります。

また、制度が終了した確定給付企業年金(DB)からiDeCoへの移換も可能となります。

 

改正にあたって企業が準備することや課題

このように、従業員にとってはメリットが大きい今回の法改正ですが、企業側は、法改正に向けてどのような準備が必要なのでしょうか。

・給与制度や退職金制度の見直し

企業型DCに加入できる年齢が70歳未満までに拡大します。それにともない、企業としても加入者の範囲を拡大するのか、それとも現行のままで行くのか見直しを検討する必要が出てきます。
加入者可能年齢を拡大する場合には、給与制度や退職制度の見直しも同時に必要となるでしょう。また、現行のままで行く場合は、従業員から説明を求められる可能性もあります。

・従業員の資産形成を支援する体制が必要

企業型DCやiDeCoなどの私的年金は老後資産を形成する手段としての制度であり、預金等で安定運用する場合も投資信託で積極運用する場合も、長期的に運用することで得られる利益を増やせる可能性があります。
今回の法改正によって加入可能年齢と受給開始時期がともに拡大することで、従業員としてもこれまでの資産形成プランを見直す必要性が出てきます。
長期的視点で資産形成を考える従業員に対し、企業としては投資教育のさらなる充実など、資産形成を支援する体制が求められます。

・改正内容の説明や従業員からの相談が増える可能性も

今回の法改正により、これまでiDeCoに加入できなかった従業員もiDeCoに加入できるようになります。ただ、マッチング拠出とiDeCoの併用はできないなど、細かいルールもあるため、例えば「iDeCoとマッチング拠出、どちらの方を選ぶべきか?」などの個別の相談が従業員から寄せられる可能性が高まります。
また、iDeCoの加入方法や年末調整の進め方など、事務手続についても問い合わせが増えることが予想されますので、管理部門は多様な問い合わせや相談に対応できるよう、法改正の内容について理解を深めておく必要があります。

 

まとめ

今回の法改正は、全ての企業に関わるものとなっているため、給与制度や退職金制度などの見直しをはじめ、さまざまな影響が出るものと考えられます。

2022年の施行に向けて、企業はどのような準備を進めて行けばよいのでしょうか?

法改正によって自社制度にどのような影響があるか、給与制度や退職金制度はどのように見直せばよいのか。iDeCoと企業型DCを併用することで、企業にどのようなデメリットが生じるのかなど、法改正に関連して企業が知っておかなければならないこと、準備を進めるべきことを今のうちに整理して早めの準備を始めましょう。

 

 

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ライタープロフィール

ななこ

ななこ

DC運用・ブログ担当

NOCのDC担当者。金融機関での経験を活かし、2018年にNOCのDC部門に立上げメンバーとして入社。現在は、DCの制度設計・保全運用・企業問い合わせ窓口を担当するとともに、ブログ記事の執筆にも取り組む。「NOCでは少し異色なサービスですが、DC制度についてわかりやすくお伝えします!」

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