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2015.06.15 掲載 2022.06.21 更新

セクショナリズム・縦割り組織の弊害と原因|企業が抱える構造的な経営課題 1

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SCM(サプライチェーンマネジメント)構築を中心に第一線でご活躍されている経営コンサルタント 石川 和幸様より、依頼内容を完遂するために会社や経営者に切り込んでいくコンサルタントという立場ならではの視点でご寄稿いただいています。今回はセクショナリズムについての弊害と原因について、第一弾です。

「うちは特殊だから」という言葉

私は企業内部に入り込んで業務改革を行って20年以上になります。中小・ベンチャーから大企業まで多くのクライアントから聞く共通の言葉は、「うちは特殊だから」というものがあります。

確かに、生産する材や生産方式など独特のものがある場合があります。業界によっても独特の慣習があります。一つの会社・業界にしかいない人たちにとっては、自分たちは特殊だと思いたくなるようなこともあるでしょう。

「うちは特殊だから」というのは、第一に、外部の人間へのけん制です。外から来た経営コンサルタントに、長年内部で解決できなかったことは難しいですよ、と言いたいのです。プライドもあるでしょう。

第二に、自分たちの怠惰さへの言い訳もあります。いままで問題を放置していたのは、我々が悪いのではなく、特殊事情にもとづく状況が悪いのだ、というわけです。こうして、問題解決に対し、怠惰な姿勢をごまかすのです。

しかし、多くの企業・業界を見る経験をしていくと、実は問題状況や、その問題を引き起こす原因はさほど大きな違いがないと思えてきます。問題を生みだすのは、特殊な状況ではなく、単に仕事のやり方だったり、組織の配置だったり、事業部門間の縄張り争い・社内政治だったり、です。問題は、ある種、共通しているのです。

今回は、共通の問題の一つである「セクショナリズム・縦割り組織の弊害と原因」について述べたいと思います。

よく聞くセクショナリズム・縦割り組織とはどういうことか

私が手掛ける多くの企業の改革は、組織横断型です。今、多くの企業が、組織間の仕事の連携不全が、問題を引き起こし、組織横断型の問題解決を欲しているのです。いわゆる「セクショナリズム・官僚的な縦割り組織」の問題です。

セクショナリズムや縦割り組織とは、「営業」や「生産」、「購買」といった組織の個別独立性が強く、お互いの組織間で協力体制が希薄な状態を言います。

たとえば、各組織でこういう言葉がでる場合、「縦割り組織」の「症状」ということができます。工場などの生産側組織いわく「営業は信用できない、いい加減だ」。販売部など営業側組織いわく「生産は信用できない。納期を守らない」、などなど。このように、本来協力すべき組織が、相手を非難し続ける言葉を発する状況が「縦割り組織」の特徴です。

具体的な事例をあげましょう。私がかつて支援した製造業です。営業は、お客様に言われて、どんどん生産指示を変えます。そのたびに生産計画が混乱し、納期が守れなくなりました。営業は「工場(生産)は納期も守らずなにをやっているんだ」と非難します。

しかし、生産するにも、部品を揃えたり、人を揃えたり準備が必要です。その準備時間を無視して、いますぐあれを作れ、これを作れと言われても作れるものではありません。

生産を行うには、ある一定期間の納期が必要です。そこで生産が営業に「お客様にきちんと納期を守った注文をいただけないか?納期割れした注文は受けられない。」と言って欲しいと伝えます。しかし、営業は「そんなことは言えない、生産で何とかしろ」となり、こうした言い争いが続いているのです。

結果的に、社内は非効率に陥って利益が出ず、お客様に迷惑をかけて売上が落ち、会社に打撃を与えることになるのです。会社の中は殺伐とし、収益があがらない会社、衰退していく会社になるわけです。

セクショナリズム・縦割り組織を放置するマネジメント

organization同じ会社にいながら、組織が違えば外国のようにお互いを知らないという状況が起きています。

先の事例では、生産には生産の事情があり、すぐに生産ができるわけではありません。一方、営業には営業の事情があり、生産が言うようにお客にこちらの言い分ばかりを押し付けられない状況があるわけです。

組織には役割があり、与えられた仕事をこなすことが至上命題です。ここで言いがちなのは、「お互いのことを理解して仕事をしろ」という精神論です。残念ながら、これでは「縦割り組織」の問題は解決しません。問題に直面する利害対立者同士では問題が解決できないのです。

組織を俯瞰して横断的に解決すべきはマネジメントの役割で、とくに業務に関しては業務プロセスの問題として、「人」の問題ではなく、「仕組」として解決すべきなのです。

しかし、こうした役割をマネジメントの多くは放棄しています。自ら解決に動かず、「どうなっているんだ、なんとかしろ」しか言わない、あるいは言えないマネジメントが多いのです。

「縦割り組織」の問題は、原因を特定し、業務プロセスを直すことで解決するのです。個別組織である一部門の改善ではなく、組織をまたいで改革するのはマネジメントの役割です。

次回は、なぜマネジメントは「セクショナリズム・縦割り組織」の問題が解決できないのか、また、具体的にどう解決し、その結果どのような効果がもたらされるのかを説明しましょう。

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ライタープロフィール

石川 和幸

経営コンサルタント
早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。能率協会コンサルティング、アンダーセン・コンサルティング(現、アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築・導入、ERP構築・導入、アウトソーシング導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。 著書に『図解 SCMのすべてがわかる本』『図解 生産管理のすべてがわかる本』『在庫マネジメントの基本』(以上、日本実業出版社)、『思考のボトルネックを解除しよう!』、『見える化仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『なぜ日本の製造業はもうからないのか』(東洋経済新報社)、『図解 よくわかるこれからのSCM』(同文舘出版)、『アウトソーシングの正しい導入マニュアル』『図解 工場のしくみが面白いほどわかる本』(中経出版)など多数。

石川 和幸

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