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2016.07.25 掲載 2023.08.18 更新

研究開発費とソフトウェアの仕訳と勘定科目は?減価償却できる? 【シリーズ:経理のはなし25】

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FOC経理アウトソーシング

研究者
メーカーにとって重要な研究開発費について、東洋経済オンラインで興味深いデータが発表されました。
初公開!「研究開発費が大きい」トップ300社
このランキングではトヨタ、ホンダ、日産の自動車メーカーからソニー、パナソニンクと続き、武田薬品工業やアステラス製薬などの製薬メーカーが並んでいます。
次世代の自動車(電気自動車、自動運転など)や人工知能(AI)といったソフトウェアへの研究開発投資が自動車メーカーや電機関連企業には要求されていますし、製薬業界では新薬の開発競争などが背景にあるのでしょう。
同じ研究開発費の記事で、Appleの記事を紹介します。
アップルの研究開発費に見る事業転換、中国ビジネスの行方
この記事の中では「Appleは2016年にウェアラブル端末や電気自動車といった分野に100億ドル以上の研究開発費をつぎ込むだろう」という予測が紹介され、iPhoneやiPadにつぎ込んできた研究開発費とはケタ違いの“何か”の開発に注力しているという予測も紹介されています。
今回はこれらの「研究費」「開発費」とその研究や開発の成果物として作られる「ソフトウェア」という勘定科目に焦点を当ててその会計処理について考えていきましょう。
研究費および開発費については、平成10年3月に公表され、その後、平成20年12月に一部改正がされた「研究開発費等に係る会計基準」(以下「会計基準」)」という処理指針がありますのでそちらを参考にしながら解説していきます。
 

■開発・研究・ソフトウェアとは?

会計基準ではそれぞれ次のように定義されています。
 

・研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探求
・開発とは、新しい製品・サービス・生産方法についての計画もしくは設計または既存の製品等を著しく改良するための計画もしくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること
・ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム群のこと

 
ややわかりづらい説明ですが、「研究・開発の典型例」と「研究・開発には含まれない典型例」が日本公認会計士協会の「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」の中で紹介されていますので、いくつかピックアップしてみましょう。
<研究・開発の典型例>
1. 従来にはない製品、サービスに関する発想を導き出すための調査・探求
2. 従来の製品に比較して著しい違いを作り出す製造方法の具体化
3. 既存の製品、部品に係る従来と異なる使用方法の具体化
4. 所得した特許をもとにして販売可能な製品を製造するための技術的活動
<研究・開発に含まれない典型例>
1. 製品の品質改良、製造工程における改善活動
2. 客先の要望等による設計変更や仕様変更
3. 機械設備の移転や製造ラインの変更
4. 外国などからの技術導入により製品を製造することに関する活動
 

■研究費・開発費の会計処理

では実際に、会計処理の方法についてみていきます。研究・開発費は「会計基準」のなかで、会計処理についても以下のように触れられています。
「研究開発費は、すべて発生時に費用として処理しなければならない。」
そのため、研究費・開発費については、“原則として”発生時に費用処理することになります。したがって、勘定科目としては「研究費・開発費・試験研究費・研究開発費」などを利用し、販売費及び一般管理費または製造原価として会計処理することとなります。
また、研究費・開発費は、その研究開発に係る人件費、原材料費、固定資産の減価償却費その他関係する諸費用が構成要素になると考えられています。
ただし、開発費を繰延資産として処理する場合は例外です。会社法では「開発費」として繰延資産に計上することが求められていますが、「開発費」を繰延資産として計上した場合、支出から5年(=60ヵ月)以内の支出の効果が及ぶ期間に、“月割=1/60”で均等償却する必要があります。これは「開発費償却」という営業外費用項目として処理をします。
税法上は、「開発費」の償却については“任意償却”が認められていますので、支出した事業年度にすべてを償却することができます。また、「開発費」として支出した効果が認められなくなった場合には、その未償却残高を一時償却する必要があります。
 

■ソフトウェアに関する会計処理

ソフトウェアにはプログラム本体だけではなく、その仕様書やフローチャートなどの開発に関連して発生するドキュメント類の成果物も含まれます。なお、研究開発のプロセスにおいて開発したソフトウェアについては「研究開発費」として費用処理します。
研究開発費に該当しないソフトウェアについては「会計基準」に例示されていますので参照してみましょう。
・市場販売目的のソフトウェア
「市場販売目的ソフトウェアである製品マスターの制作費は、研究開発費に該当する部分を除き、資産として計上しなければならない。ただし、製品マスターの機能維持に要した費用は、資産として計上してはならない。」
ここでいう製品マスターとは、そのソフトウェアの原版=マスタープログラムを指します。
・自社利用のソフトウェア
「完成品を購入した場合のように、その利用により将来の利益獲得または費用削減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した費用を資産として計上しなければならない。」
「そのソフトウェアを用いて外部への業務処理などのサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計した上、そのソフトウェアの制作費を資産として計上しなければならない。」
つまり、ソフトウェアは研究開発費でなければ資産として計上します。その場合の区分は「無形固定資産」となり、費用処理については減価償却をすることとなります。
以上、「研究開発費等に係る会計基準」を中心に研究費・開発費・ソフトウェアについての会計処理をご紹介しました。あまり一般的ではない勘定科目かもしれませんが、経理の知識として理解しておきましょう。
 
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くもと編集

マーケター兼編集者
FOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 FOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「FOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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