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2016.08.02 掲載 2023.08.24 更新

会社の生産性を上げるには。作業を標準化・アウトソーシングして社員の付加価値を上げる | 日本の生産性はなぜ低いのか 6

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス

仕事が追いつかない女性

■多くの人は仕事の「作業」と「考えること」を混同している

日本の製造業は世界的に見ても非常に高い生産性を誇っています。これだけ円高が進んだにも関わらず日本に製造拠点が残っているのは、生産性の高さによってコスト上の不利を補っているからです。
しかし、製造業の生産性が優れているのは、製造現場であって、残念ながら現場以外の仕事はいまだ生産性向上の途上といった状態です。ERPシステム(※)の登場によって、事務処理業務が標準化の対象になりましたが、いまだに非効率が残ったままです。
※ERPシステム:Enterprise Resource Planningの略で、企業の経営資源(生産、販売、人材、会計、ロジスティクスなど)を統合し管理するシステムのこと。たとえば、ある商品が販売されたら、リアルタイムで会計などに反映される。
製造現場の生産性が高い理由は、作業改善の考え方が伝統的に存在しているからです。その結果、作業を標準化し、業務ルールを決め、誰がやっても一定の品質で仕事が仕上がるように教育・統制されています。製造現場では、勝手な仕事の仕方は許されません。ルールに従った作業が義務付けられています。この過程でムダがそぎ落とされ、生産性が向上してきたのです。
一方、営業や受注・出荷、企画や経理、総務といった業務はどうでしょう。経理を除き、一応のルールはあるものの、各人の判断に任されていることも多く、個人の裁量が比較的広く残されています。
しかし、裁量が残されているといえば聞こえはいいのですが、実態は仕事としてきちんと定義されておらず、人による作業品質のばらつきがそのまま放置されている状況が一般的です。工場以外の仕事は、「手順に沿って行う作業」と「裁量に任せるべき仕事」を明確に分けておらず、仕事が混然一体となって行われているのです。
※仕事が定義されていないことについては「仕事がうまくいかない理由。それは仕事と成果の定義がされていないから」を参照ください。
 

■営業の仕事も標準化できる

たとえば、営業の仕事は担当者によってスタイルが異なり、とらえどころがないように見えます。しかし、しっかりと要素に分解すれば標準化することができるのです。
私が勤めていた外資系のコンサルティング会社は、営業の仕事をプロセスとしてとらえ、各プロセスで何をすべきか、どのようなアウトプットを作ってマネジメントに報告すべきかなどがすべて定義されていました。
私たちが使用していたシステムでは、商談が始まると「引き合い」のステータスをシステム上に登録することができます。この段階で、顧客の情報、案件の売上規模と利益想定、競合の有無、獲得可能性を記入します。
「引き合い」ステータスの段階で、あまりに相手の利益が少なかったり、リスクが高いと上長が判断すると、商談のストップがかかります。このように、商談の絞り込みをすることで、重要な商談に貴重な時間を集中させることができるのです。
商談プロセスの各ステップでの仕事のルールやフォーマットも標準化されていました。見積もりの作り方、計上すべき原価の項目、標準の単価、保持すべき利益率が定義されており、いちいち調べたり、特殊な計算をしたりしなくていいようになっています。
日本ではあたかもエキスパートの仕事のように思われている見積もり作業も、かなりの部分が標準化されていたのです。よって、見積もりと原価の集計・計算は「作業」として誰でも出来るようになっており、アシスタントにやってもらうことも可能でした。このようにすることでプロジェクトの計画立案やチーム形成にリソースを割けるようになっています。
一方、作業計画やチーム形成は「考えなければならない仕事」なので、マネージャーや付加価値の高い人が担います。私の場合は、作業を洗い出し、スケジュールを計画し、原価項目を洗い出すことに集中し、見積もりの基礎計算はアシスタントに任せていました。計算結果は修正とチェックを行い、スケジュールや体制図と合わせて見積もりをセットで提案していました。
設計などの高度な要素がある場合は別ですが、コンサルティングの商談プロセスでさえ、標準化できて「作業」と「考えること」が分離できるのです。知的生産の業務で大事なことは、単価の高い人は付加価値の高い「考えること」に集中できるような仕組みをつくることです。
 

■「作業」をアウトソーシングすることで会社全体の生産性を上げる

既述の通り、経理や総務はもちろん、営業マンごとでバラバラだった仕事のかなりの部分は標準化できます。
たとえば、経理業務は記帳、証票記録、仕訳、財務諸表作成、決算書作成といった仕事すべてが標準化できます。もちろん、経理作業の専門性はありますが、業務自体は一般に定義されているルールがあります。請求書や入金情報、在庫の受け払い情報、固定資産の資産管理方法などを標準化する手間はあるものの、一度仕組みを作ってしまえば、だれでも処理ができるようになるのです。
私は製造業のコンサルタントになる前は数年間会計事務所に勤めていました。会計事務所では、クライアントの経理業務を標準化し、さらにその仕事をアウトソーサーとして請け負っていました。その経験からいえば、高度な決算・財務的な判断と資金繰り、税務判断を除いて業務はほぼ標準化できるのです。
仕事をきちんと標準化せず属人化してしまうと、担当者によって品質にばらつきのある高コストの仕事になってしまいますが、「作業」が標準化できればミスも減り大量に処理ができるようになります。また、専門的な知識がない人でも担当できます。
そこから標準化された業務をアウトソーシングできれば、さらに効率化が進み、社員は付加価値の高い「考える」仕事に集中できて生産性の向上に貢献できます。
 

■最小のインプットで最大のアウトプットを生むことを意識する

どの仕事でも意識しなければいけないのが、最小のインプット(コスト)で最大のアウトプット(売上)を生むことです。最小のインプットをするためには業務の標準化が必要になります。一方、最大のアウトプットを達成する仕事は多くの場合「考えること」から生まれます。つまり、企業が生き残るための差別化は、「業務を効率化しどれだけ考えることに集中させることができるか」に依存するのです。
このバランスが崩れると、多くの日本企業のように「高コストな体質」になってしまいます。ぜひ、自社の仕事の「作業」と「考えること」を識別し、仕事を組み立てなおして最小のインプットで最大のアウトプットを生むことを命題にしてください。それが自社のみならず、自身のスキル向上やキャリアステップにも必ずつながるはずです。
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務は、オフィスにおけるあらゆる業務が該当し、備品の管理、郵送物の受け取り、受付対応など、その仕事内容は多岐にわたっています。それゆえに属人的になりやすく効率化する事が難しい業務とも言えます。FOCがそういった煩雑な業務を整理し、一括でサービスをご提供します。

サービスの特徴

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FOCは、30年/1,000社以上のノウハウを活かし、御社のコア業務の生産性向上、バックオフィス部門のコスト削減に貢献します。

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ライタープロフィール

石川 和幸

経営コンサルタント
早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。能率協会コンサルティング、アンダーセン・コンサルティング(現、アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築・導入、ERP構築・導入、アウトソーシング導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。 著書に『図解 SCMのすべてがわかる本』『図解 生産管理のすべてがわかる本』『在庫マネジメントの基本』(以上、日本実業出版社)、『思考のボトルネックを解除しよう!』、『見える化仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『なぜ日本の製造業はもうからないのか』(東洋経済新報社)、『図解 よくわかるこれからのSCM』(同文舘出版)、『アウトソーシングの正しい導入マニュアル』『図解 工場のしくみが面白いほどわかる本』(中経出版)など多数。

石川 和幸

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