企業変革をするために一番必要なこととは?企業内のコミュニケーションの本質②

 

■生産性とは何か

終身雇用が形がい化し、人の多様性を理解することが重要視されている昨今、ひと昔まえのように人海戦術や気合い、従業員の応用力に任せて事業を成功させることが難しくなってきています。

その中で、すべての経営陣にとって、いかに生産性を高め、効率的に業績を上げていくことは常に念頭にあるテーマです。

では、生産性とは何か。一般にはインプットに比べ、アウトプットが多いほど、生産性が高いと言われています。コスト削減に多くの企業が躍起になっているのも、よくわかります。

しかし、この生産性という言葉、経営トップと現場の従業員では、まったく異なる意味を持っていることが多いです。誤解を恐れずに言うなら、利益追求と粛清。少々、表現は過激かもしれませんが、当たらずと言えども遠からずというところでしょう。

 

 

■絵に描いた餅でいいのか

 この生産性を追求するために、社内で改善活動を行うこともあります。また、コンサルティングファームやアウトソーシング企業とパートナーシップを組む企業もいます。外部の目が入ることで、客観的な評価がなされ、より効率的に生産性の向上がはかれると目論むからです。

社内で改善活動を行っても、現場を理解できていない社員が指揮をするとたちまち反発が起きるか、結局誰も実行しないものになってしまいます。

またコンサルティングファームやアウトソーシング企業も、培ってきたノウハウやスキル、方法論を駆使し、改革、改善に最善と思われるプランを提示します。しかし、実態を無視(あるいは軽視)してしまうと、結果、机上の空論になりがちです。

いずれにしても計画を立てる人、実施する人の間に壁がある限り、絵に描いた餅になってしまうことが少なくないのです。

 

 

■経験陣と現場の従業員の壁

 お互いに理解しあい、コミュニケーションをとり、ナレッジを共有することが重要なのは社員全員がわかっているはずです。

にもかかわらず上手くいかないのはなぜでしょうか?

それは会社という組織は、いくら経営層が「コミュニケーションを密に、相互理解を」、叫んでも、雇用・被雇用の絶対的な雇用関係がある限り、実現するのは難しいのです。雇用される側に相互理解を求めるのはある意味酷で、本来は経営層に近いポジションが理解するために「降りてくる」必要があるのです。

さらに経営層と従業員をつなぐ中間のマネジメント層がきちんと機能していることも重要なポイントです。

経営層はなんとか従業員にメッセージを送りたいが、中間層でつぶされる・・・なんてことは経験でないでしょうか。

結果、社長は現場をわかろうとしない、無理難題ばかり押し付けられる、現場に任せきりだ、という不満が従業員から噴出し、大量離職など最悪なケースになることもありえます。

経営層は、現場の従業員の壁が会社という仕組み上、必ずあることを理解しないといけません。

それを前提に生産性を上げるためにどうすべきか、というプランを立てるべきです。社内でプロジェクトを立ち上げ改善を行うにしろ、コンサルティングファームやアウトソーシング会社からの提案を受けるにしろ、その前提を理解しないまま進めてしまうと何かしらの障害が起きるのです。無理難題、許容できないことを丸投げされる立場の従業員にしてみれば、すんなり受け入れられるものではありません。そもそも、立場ごとに生産性のそのものの意味が異なるはずですから。

 

 

■雇用非雇用の関係を超えて

 企業が長年積み重ねてきた文化や風土を変える。最適と考え、実行してきた仕事の仕組みを変える。従業員の幸福のために実施してきた福利厚生の制度を変える。そこには、人間が確実にいるのです。『人間』が不在となっているプランは、仮に短期では成功しても中長期的には絶対に成功しません。

経営層と従業員。それも、結局、人間同士であることを忘れてはいけないのです。

人間は、方程式通りにはいきません。現代は、バブルの時代や、終身雇用が当然だった時代とは明らかに異なります。もはやそういう前提で会社を経営する必要があり、生産性を上げる施策を実行するためには『人間』という視点があるか否かが選択のポイントの一つと言えるのです。

 

ライタープロフィール

本山 シーエン

本山 シーエン

現場支援型コンサルタント

税理士事務所時代の経験をもとに、インターネット関連の会社で財務会計ソフトの開発と販売を通じて中小企業のバックオフィス業務をサポート。現在も「インターネット活用が中小企業の成功のカギ」を信念に現場支援型コンサルタントとして活動中。