創立費と開業費の違いとそれぞれの仕訳方法 | 経理を0から学ぶシリーズ 11

女性社長

日本政策金融公庫という金融機関があります。この金融機関は政府系金融機関のひとつであり、主に中小企業や農林水産業者への資金調達支援をすることで知られています。また、開業や起業の際のスタートアップ資金の貸付なども業務としています。その日本政策金融公庫が発表している資料に「新規開業実態調査」があります。

この資料では、新規開業した事業者の年齢層や最終学歴などの属性や、開業目的などを調査し統計として公開しています。2015年度版は下記のURLから見ることができます。

(参考:日本政策金融公庫Webサイト 【PDF】2015年度新規開業実態調査

資料を見てみると、若干ではありますが女性やシニアの起業が増えているといえそうです。そのほかの特徴としては、「勤務経験がある人」が99%、さらには起業した理由の8割以上を「収入を増やしたかった」が占めることがあげられます。

今回は、こういった起業や新規事業の開業時に関連する勘定科目である「創立費」、「開業費」を取り上げます。創立費も開業費もスタートアップ時の費用ということで混乱しやすい科目かもしれません。

ではそれぞれみていきましょう。

 

■創立費は開業までにかかった費用

「創立費」とは、起業にあたり会社を設立するまでにかかるさまざまな費用をあらわす勘定科目です。
会社の設立の流れは大まかには以下のステップを踏みます。

設立までの流れ

 

 

 

会社の設立時には資本金が必要となりますが、法律で定められていた最低資本金の金額が引き下げられたことによって会社設立のハードルが低くなり、会社設立がしやすくなりました。また、書店にも「自分でできる」とか「一人でできる」という謳い文句の会社設立手続きに関する書籍も多くあります。

とはいえ、会社設立をスムーズに進めるためには専門家の手を借りるケースが圧倒的に多いと思われます。この場合、司法書士や行政書士、あるいはワンストップサービスを提供している税理士の場合もあるでしょう。

そういった専門家に依頼する費用以外にも、定款の認証に必要な印紙税や登記の際に必要となる登録免許税など、会社の設立にはいろいろな費用が必要となります。

それらの会社設立するために支出した費用を処理する勘定科目が「創立費」という勘定科目です。具体的に創立費として処理される例を挙げてみましょう。

・定款作成費用
・定款認証手数料
・定款印紙税
・登録免許税
・行政書士等報酬
・会社印作成費用など

これら以外にも、株式募集のために広告費を支出したのであれば創立費として処理します。

「創立費」は支出時に営業外費用として処理することもできますが、繰延資産に計上することも可能です。繰延資産に計上した場合には、会社設立から5年以内に定額法により均等償却します。税法では任意償却が認められていますので初年度に全額償却してしまうことも可能です。その場合、「創立費償却」は営業外費用となります。

 

■開業費は営業開始までにかかった費用

「開業費」とは、会社設立後、営業を開始するまでにかかった諸費用を処理するための勘定科目です。

通常、会社を設立後すぐに営業開始ができるとは限りません。その間に支出した費用を「開業費」として処理します。ただし、開業までの準備期間に支出した費用であっても、事務所の家賃や従業員への給与など、その後経常的に支出することとなるような費用は対象とすることはできません。

たとえば、開業前に販売する商品のチラシを作成するなどの費用は“開業前”の広告宣伝費として「開業費」で処理されますし、事務所用の不動産物件を探すために支出した交通費は“開業前”の旅費交通費として「開業費」で処理することとなります。

なぜなら、開業後であれば上記の例は、販売費及び一般管理費の広告宣伝費や旅費交通費で処理されるからです。

「開業費」は支出時に販売費及び一般管理費または営業外費用として処理することもできますが、繰延資産に計上することも可能です。繰延資産に計上した場合には、「創立費」と同様に会社設立から5年以内に定額法により均等償却します。税法では任意償却が認められていますので初年度に全額償却してしまうことも可能です。その場合、「開業費償却」は営業外費用となります。

この記事を読んでいただいている皆さんの中にも、「将来は起業して自分の会社を作りたい」とか「今までの経験を活かして新しい分野に一人で挑戦したい」という想いがある方もいらっしゃることでしょう。起業の暁には、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

 

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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