損益計算書(PL)の見方と代表的な指標を解説| 経理を0から勉強するシリーズ 3

経理担当者

財務諸表の概要貸借対照表の見方を前回までお送りしてきましたが、今回は損益計算書の見方をご説明します。

貸借対照表が「ある時点の企業の財政状態」を表す財務諸表であるのに対して、損益計算書は「一定期間における企業の経営成績」を表す財務諸表です。企業は営業活動とそれに付随する活動によって利益を獲得しています。

売上からザックリ集計した費用を差し引いて「儲けはいくら」といったやり方を“ドンブリ勘定”といいますが、このやり方では利益を正しく測定することはできません。

経理部門では企業のすべての取引を複式簿記のルールにもとづいて、それらを売上に直接関係するものか、あるいは営業活動全般に関するものかなどを区分して、勘定科目という単位で集計し損益計算書を作成します。

では、損益計算書で計算される「利益」をみてみます。

利益の計算では獲得した収益からそのために支出した費用(コスト)を差し引いて計算していきます。売上高から純利益を計算するまでの流れをみていきましょう。

 

■営業損益計算までの手順

1. 売上総利益の計算

 売上総利益=売上高-売上原価

売上高とは、会社の事業目的に沿った営業活動によって製品・商品・サービスなどを販売・提供することによって得られた収益の合計額です。

売上原価は、その販売商品を仕入れた原価(仕入原価)や製品を製造にかかった原材料費や外注費など(製造原価)の合計額です。

売上総利益は粗利(アラリと読みます)という言い方でも呼称されます。一般に、商社のように商品を仕入れて販売する企業の場合は売上総利益率が低く、メーカーのように製品を製造し販売する企業の場合には売上総利益率が高いといわれています。

※収益の認識基準について
通常、売上高などの収益は商品や製品の販売時点(納品時)に収益として認識します。ただし工事などの場合は、工事が完成した時点で収益を認識する基準(工事完成基準)や工事の進行に応じて収益を認識する基準(工事進行基準・出来高)などの例外があります。

2. 営業利益の計算

 営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費

いわゆる営業経費は、商品・製品の販売やサービス提供などの営業活動にかかったコストを指します。そこから、その営業にかかった費用である「販売費」とその管理にかかった費用である「一般管理費」とに分けられますが、損益計算書では「販売費及び一般管理費」として区分されます。

営業利益は、どれだけその会社が本業で稼ぐ力を示しているものだといえます。

 

■経常損益計算までの手順

3. 経常利益の計算

 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

経常利益は「ケイツネ」などと呼ばれることもあります。“営業外”とされる収益及び費用は、企業の事業目的に沿った主たる営業活動ではないものの、その取引が反復継続される取引が集計されるグループです。具体的には「受取利息・配当金」や「支払利息」などです。

ここで計算される経常利益は、本業だけではなく資産運用や財務状態といった企業の経常的な活動(突発的ではなく普段から行っているような活動)の成果を表すため、損益計算書上の中でも重要視される傾向があります。そのため、新聞などのニュースでも「○○自動車の経常利益が過去最高を記録」や「株式会社△△、為替の影響で経常損失に転落」などといった見出しになることがあります。

 

■利益確定までの手順

4. 税引前純利益の計算

 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

特別利益や特別損失はここまでの計算区分には含まれない、すなわち、主たる営業活動から生じたものではなく、かつ、継続的・経常的に発生するものではない、文字通り“特別”な取引が区分されます。

具体的には、建物や車両などを売却した場合の固定資産売却益(損)や長期保有を目的としていた有価証券の売却時に発生する投資有価証券売却益(損)、税務調査時に指摘を受けた項目を修正するための過年度損益修正益(損)などが挙げられます。

5. 純利益の計算

 当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税および事業税

最後に計算される利益が当期純利益です。企業は、その獲得した利益に応じて法人税などの税金を負担します。その税額計算のベースが税引前当期純利益で、計算された税額を差し引いて当期純利益が計算されます。この当期純利益は「分配可能利益」とも呼ばれ株主への配当などの原資となります。

 

■損益計算書で収益力がわかる

では、貸借対照表同様、損益計算書もポイントとなる指標をいくつか見ていきましょう。
損益計算書ではその企業の収益力をチェックすることができます。

・売上総利益率と売上高原価率

 売上総利益率 = 売上総利益/売上高 × 100
 売上高原価率 = 売上原価/売上高 × 100

売上総利益率は、販売した商品・製品・サービスから売上原価を引くとどれだけの儲けがあったのかを表す指標です。その反対に売上高原価率は、販売した商品はどれだけの売上原価がかかっていたのかを示す指標です。

したがって、売上総利益=売上高-売上原価ですから、売上総利益率が30%であれば売上高原価率は70%となります。

先述したとおり、損益計算書では売上総利益以外にも営業利益や経常利益が計算されます。売上高営業利益率や売上高経常利益率も重要な指標です。数式は次の通りです。

 売上高営業利益率 = 営業利益/売上高 × 100
 売上高経常利益率 = 経常利益/売上高 × 100

 

■ROAとROE

前回の記事でも書きましたが、企業は企業活動の資金を外部から調達しています。調達した資金が効率よく活用されているかどうかは、利害関係者、とりわけ株主などの資金提供者にとっては重要な指標になります。

・ROA・・・総資産利益率(Return On Asset)

 ROA = 当期純利益/総資産 × 100

総資産は外部から調達した資金と自己資本の合計で企業が調達した資金のすべてです。
ROAは利益を獲得するために企業の有する資産をどれだけ効率よく活用しているかを表す指標ですから数値が高ければ高いほど良いといえるでしょう。

・ROE・・・自己資本利益率(Return On Equity)

 ROE = 当期純利益/自己資本 × 100

自己資本は株主資本と言い換えることができます。
ROEは株主から調達した資本でどれだけの利益を獲得したかを示す指標となります。

ROEを高めるためには、分母である自己資本が同じであれば当期純利益を高める必要がありますし、逆に、分子である当期純利益が同じであれば自己資本を減らす必要があります。

自己資本が減るということは、企業の根幹となる資本への安全性に問題が生ずる可能性があります。したがって、この指標が上昇しているとしてもどのような理由で上昇しているかを見極める必要があります。

ここまであげた指標は利益の獲得という観点でしたが、“回転率”という指標も重要です。
多くの企業は、不要な在庫をできるだけ持ちたくないと考えさまざまな対策を講じています。そのような対策が功を奏しているかどうかを「棚卸資産回転率」という指標でチェックすることができます。

・棚卸資産回転率

 棚卸資産回転率 = 売上高/棚卸資産

この指標の単位は「回」です。
この数値が高いということは、棚卸資産が短期間に効率よく売上獲得につながっていると考えられ、在庫管理の有効性も裏付けられることとなります。「当社は在庫管理の効率改善を図っています」と主張する企業が、実際に在庫管理の業務改善が達成されているかどうかはこの指標を目安に確認することが可能です。

このように、損益計算書や貸借対照表からは企業のいろいろな“顔”や“体調”を推し量ることができます。ここまでご紹介した指標以外にもたくさんの指標があります。興味を持たれた方はぜひ書籍などで調べてみてください。

 

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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