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2020.09.16 掲載 2022.04.13 更新

地方がおかれているリモートワークの事情:関東圏(神奈川、埼玉、千葉)の企業

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス


リモートワークは、働き方改革や2020年の東京オリンピック時の交通混雑緩和などを目的に、数年前から導入が推奨されてきました。しかし、一部のIT企業や大企業などでは試験的な運用があったものの、中小企業ではあまり積極的な動きは見られませんでした。
流れが急速に変わったのは、やはり新型コロナウイルスの流行がきっかけでしょう。東京では、リモートワークを導入する企業が増え、主要ターミナル駅では通勤客の減少が報じられました。
ただ、話題に上がるのは東京の事例が多く、東京と隣接する神奈川、埼玉、千葉などの状況については、あまり報じられていません。この記事では、東京の周囲の県のリモートワーク事情についてご紹介します。
 

東京のリモートワーク実施率が高い理由

東京商工会議所の調査によれば、コロナ禍による緊急事態宣言でリモートワーク実施したと答えた企業は、2020年6月時点で67.3%です。リモートワークを積極的に活用している諸外国と比べるとまだ低い数字ではあるものの、国内としては最も高い数字です。
コロナ前はリモートワーク実施率が20%ほどだった東京がここまでリモートワークを実施できるようになったのには、どのような理由があるのでしょうか。
大企業が多い
東京のリモートワークの導入率は従業員300人以上の企業では実に90%を越えますが、従業員数が少なくなる毎にその割合も減り、従業員数30人以下の企業では45%(東京商工会議所調査値)まで下がります。
他の地域に比べ大企業の多い東京は、その分リモートワークを導入する企業も多い傾向にあると言えます。
ベンチャー企業も多い
東京商工リサーチが保有する「ベンチャー企業 DB」から、2,000 社を抽出した調査によると、ITサービスを提供するベンチャー企業の所在地の割合は首都圏が約半数を占めています。
ITサービスを提供するベンチャー企業は積極的にITサービスを活用してリモートワークを実施する企業が多いため、そういった企業が首都圏に多いこともリモートワーク実施率が高い理由であるといえます。
リモートワークに対応できる業種が多い
世の中には、リモートワークに対応できる業種と対応できない業種があります。
リモートワークの導入が多い業種としては、情報通信業、学術研究・専門・技術サービス業などが挙げられます。
一方で、医療・介護・福祉や運輸・郵便など、直接人と接したり、直接作業したりすることが必要な業種については、リモートワークの導入が難しいといえます。また、農林水産業・製造業の製造現場などにもリモートワークは向きません。
東京には情報通信業などの企業が多いため、ほかの地域に比べ導入を進めやすい傾向にあるのでしょう。
リモートワークに関する情報が潤沢
リモートワーク実施で誰に相談したかというアンケート調査(東京商工会議所調べ)では、「自分で調べた」が61%と最も多く、「取引先・同業者」が23%と続きます。
自分で調べてわからないところは、周囲に相談するというパターンが最も多いとすれば、周囲にすでにリモートワークを行っている取引先や同業者がいれば、リモートワーク導入への第一歩が踏み出しやすくなるというわけです。
 

神奈川・千葉・埼玉のリモートワーク事情

ここまで東京の例を見てきましたが、本題の東京周辺のリモートワーク事情へと話を移していきましょう。神奈川・千葉・埼玉には、東京の企業に勤めている人が多いため、自宅でのリモートワーク勤務となった人も多くいます。
ただ、それを除いても神奈川・千葉・埼玉は全国平均に比べて、リモートワークの実施が多い地域と言えるようです。
神奈川県のリモートワークの現状
神奈川県では平成28年ころから、リモートワークの普及に向けての啓蒙活動を県独自に行ってきました。中小企業向けにリモートワークのメリットの説明や導入事例、リモートワークのデモンストレーションなどをセミナー形式で実施、参加企業の中にはコロナ禍以前よりリモートワークの活用を始めていた企業もあります。
◆神奈川県の産業構造
神奈川県は川崎・横浜などの港湾部に大規模な工業地帯があり、重工場が盛んな地域ですが、近年は内陸部の工場跡地が大規模商業施設やオフィスに生まれ変わるなど産業構造の変化も見られます。
リモートワークに移行しやすい情報通信業の割合はここ10数年ほぼ横這いで、医療・福祉などの分野で就労人数の増加が見られます。
◆神奈川県のリモートワーク実施率
神奈川県のリモートワーク実施率は、東京に次ぐ全国第2位です。東京の実施率が49.1%だった4月時点で、42.7%と東京に迫る実施率(パーソル総合研究所調べ)でした。神奈川県には横浜市・川崎市・相模原市と政令指定都市が3つもあり、リモートワーク実施への条件が東京に似ているとも言えるでしょう。
 
千葉県のリモートワークの現状
千葉県では、リモートワーク導入への取組みとして、リモートワークをこれからはじめようという企業に専門家を派遣したり、必要な機器を貸し出したりする支援事業を行っています。また、働き方改革とあわせてリモートワークを推進するセミナーなども開催しています。
◆千葉県の産業構造
千葉県では農林水産業などの第一次産業と製造業などの第二次産業はゆるやかに減少する一方で、サービス業などの第三次産業が増加しています。
千葉県には、アジア有数のコンベンション施設や産学官連携の研究開発の拠点、先端技術産業分野の研究施設などがあり、それぞれ特色のある活動をしています。
◆千葉県のリモートワーク実施率
千葉県のリモートワーク実施率は全国第3位、2020年4月時点で38.0%(パーソル総合研究所調べ)です。3月から4月にかけてのリモートワーク実施率の伸びも、東京・神奈川に次いで第3位で、この時期にリモートワークを導入した企業が多いことがわかります。
 
埼玉県のリモートワークの現状
埼玉県では、リモートワークの導入の検討から助成金の案内、実際の運用についての疑問点を解決する「埼玉県テレワークポータルサイト」を作成し、企業のリモートワークの導入を支援しています。
リモートワーク導入希望企業に中小企業診断士や社会保険労務士などの専門家を派遣する事業も行っていて、リモートワークを使った実務から労務まで幅広く相談できる機会を作るなどの取組みしています。
◆埼玉県の産業構造
埼玉県で最も盛んな産業は製造業です。ただ、製造業とはいっても京浜工業地帯・京葉工業地帯をもつ神奈川県・千葉県とは異なり、地域に根ざした特産品や伝統工芸品などを製造する地場産業が多い状況です。各産業の構成比が国の平均的な構成比とほぼ同じで、サービス業は2割強と首都圏の中では低めです。
◆埼玉県のリモートワーク実施率
埼玉県のリモートワーク実施率は、2020年4月時点で34.2%(パーソル総合研究所調べ)と一都三県の中では最も低いですが、それでも全国では第4位です。さいたま市などの都市部ではリモートワークが活用されていますが、小規模製造業などリモートワークが適さない産業もあり、首都圏では数値が低くなっていると推察されます。
 

神奈川・千葉・埼玉におけるリモートワークの課題

導入され始めたばかりのリモートワークには、いくつもの課題があります。例えば、社会人としてスタートしたばかりの新卒者の教育や、自宅で過ごしながらプライベートと業務を区別する勤怠管理などはこれからの課題です。
加えて、神奈川・千葉・埼玉には東京とは別のクリアしなければばらない問題があります。
最大の課題は人材確保
今回のコロナ禍で、東京から郊外へ拠点を移す企業が出ています。リモートワークで業務が行なえるなら、家賃の高い都心に拠点をもつ必要がないというのが最大の理由のようですが、その場合の最大の課題は人材確保と言えるでしょう。
これまで、自分の力を試したいと思う若者は東京を目指す傾向がありました。恐らく、コロナ禍でもこの考え方が完全に変わることはないでしょう。
実力や将来性のある人たちに、いかに郊外を拠点とする企業に目を向けてもらうか、そしてどのように人材を確保するかが最大の課題となります。
コロナ禍で変化を迫られる仕事のあり方
リモートワークはこれまでになかった世界を私たちに見せてくれました。例えば、大阪にいる人と打ち合わせをした5分後に、札幌の人と商談をするなど、まるで「どこでもドア」を使うように。
リモートワークの世界では物理的距離は関係ありません。それは、東京一極集中から、郊外でも地方でも同じチャンスが与えられる瞬間でもあります。これまでの「常識」を一つ一つ検証しながら仕事のやり方を柔軟に変化させていくことが、リモートワークをうまく使い使いこなすための鍵となるでしょう。
◆コロナ禍で感じられた変化
コロナ禍以前、リモートワークは育児や介護をしながらでも働けるすばらしい働き方のように言われてきました。ただ実際、多くの人がリモートワークをしながら、育児や介護をする環境になり、思うように仕事が進まないイライラがつのったことでしょう。
リモートワークはどこでも仕事ができますが、テレ先の環境整備も大切だという認識が多く広がったのは、以前からリモートワークに近い形態で仕事をしてきた筆者にとってもとてもありがたい風潮です。
◆ウィズコロナ時代に企業はどうあるべきか
緊急事態宣言が解除された後、テレワークから通常業務に戻す企業が続出しました。それまでのテレワークの全てを通常業務に戻さなければならないとしたら、そのテレワークのやり方は残念ながら失敗だったということです。
いつまでコロナ禍が続くかわからない現在、働き方にはテレワークをはじめ、さまざまな選択肢を持たせておく必要があります。
 

まとめ

神奈川県・千葉県・埼玉県は良くも悪くも東京に追随する傾向が強い場所です。それが、テレワークの普及率の高さにも、コロナの感染者数の多さにも出ているのでしょう。
地域によって、また業種によっては必ずしもテレワークが必要とは限りませんから、テレワークの実施率で全てを測ることはもちろんできません。
ただ、テレワークに適合する分野に限定するならば、私たちは、このコロナ禍を乗り切るためにも、乗り切ったあとに広がる未来のためにも、新しい働き方であるテレワークをさらに恒久的なものにしていく必要がありそうです。
 
参照:
テレワーク実施実態調査:https://s.netsecurity.ne.jp/article/2020/05/01/44058.html
クラウドサービスの導入率:https://www.canon-esys.co.jp/dayone/resource/900/
IT企業が多い都道府県:https://pecopla.net/web-column/telework
東京商工会議所「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」:
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1022367
平成29年度 テレワーク導入促進事業:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/23455/h29_chirashi.pdf
 
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。

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