【2020年7月版】企業のリモートワーク導入には何が必要?リモートワークを始めるために

これまでリモートワーク(テレワーク)導入を検討したことのなかった企業でも、今回のコロナ禍でテレワーク導入を検討した企業は多いのではないでしょうか。
ただ、いざ始めようと思っても、今の業務内容が果たしてテレワークで対応できるのか、何をどう準備すればテレワークが始められるのか疑問が噴出し、結局導入を見送ったという中小企業も多いかもしれません。
とはいえ、いつまで続くかわからないコロナ禍への対応や、少子高齢化で迎える労働人口減少社会でも人材を確保するためにも、今、テレワーク体制の整備が求められています。

 

テレワークを阻む問題点を洗い出す

テレワークに先進的な企業の中には、大規模な事業所を持たず、社員がそれぞれテレワークを基本として業務を行なっているところがあります。
一方で、テレワークの導入を望んではいるものの、環境が整わず全社員が出社勤務となっている企業もあります。この差はどこから生まれるものなのでしょうか。
それを知るためには、まずテレワークを阻む問題点を洗い出す必要があります。

業務関連の問題

テレワークを阻む最大の問題は、テレワークでは業務に対応できないということです。その原因を大まかに分類すると

1.介護職や製造業など現場にいかなくては仕事ができない
2.取引先がテレワーク対応をしていないため、営業活動ができない
3.書類決裁などの業務がテレワークでは対応できない

という3つのパターンになるでしょう。

設備関連の問題

テレワークをするためには、社内と社員それぞれのネットワーク環境の整備が必要です。
これまでも、社内ネットワーク環境を活用して業務を行っていた場合は、既存のシステムを利用できますから、それほど難しいことはないかもしれません。
一方、これまで全ての業務を紙ベースで行っていた場合は、社内ネットワークの構築から始める必要があります。
また、社員それぞれのネットワーク環境の確認も必須です。セキュリティを考えれば、業務専用の機材や通信機器を貸与することが望ましいでしょう。

資金の問題

中小企業にとっては、テレワーク導入にかかる設備投資に大きな負担感があり、それがテレワーク導入の足枷になっている場合も少なくありません。たしかに全面的にテレワークを導入しようとすると、ある程度まとまった資金が必要になります。
ただ、だからといって、旧態依然とした仕事のやり方のみを続けることは得策ではありません。
いつ収まるかわからない新型コロナウイルスの感染が更に広がった場合、少しでも出勤を減らすことが社員と会社のリスク軽減につながるからです。

 

テレワークへの障壁の突破法を模索する

テレワークを阻んでいる問題点がわかったら、今度はその障壁を突破するための方法を考えます。
そうはいっても、ICTの活用法に関する知識がなければ難しいこともまた事実です。自力でのテレワーク導入が難しい時には、次のような方法があります。

1.テレワーク導入済みの同業者や取引先等から情報を得る
2.一部の自治体が実施している専門家への相談窓口を利用する
3.テレワーク導入サービスの会社に依頼する

基礎知識があれば1や2のようにアドバイスを受けるだけでもテレワークを実現できるかもしれませんが、ICTに関する基礎知識がない場合は3を選び、サービスを提供している会社さんに話を聞くことが効果的でしょう。

 

テレワーク導入にむけて考えるべきこと

テレワーク導入に必要なものを考えた時、パソコンや通信機器などがすぐに思い浮かびます。けれど、必要なのはハードだけではありません。
テレワークでは、これまでと同じ仕事をしていても社員の労働環境が大きく変わります。この部分をあやふやにしたままテレワークを導入すると、後々トラブルに発展することがあります。

テレワークの場所

テレワークの定義は「情報通信技術(ICT)を利用して行う事業場外勤務」の総称で、次のような3つのパターンに分けられます。

・在宅勤務:社員が自宅を拠点として業務を行なう勤務形式
・モバイルワーク:自宅に限らず、オフィス以外の場所で業務を行なう勤務形式で、自宅以外の拠点として、レンタルオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースなどの利用も多い。
・サテライトオフィス:会社の本拠地とは別の場所に作ったオフィス。社員の通勤時間の短縮や営業拠点などの目的で作られたところが多い。

どの形式でのテレワークを導入するかは企業によってもちろん違いますが、どの方法でも通信費をはじめとするさまざまな経費が発生します。
特に在宅勤務の場合は、通信環境整備にかかる費用をプライベートと業務で分けるのが困難なケースがあります。会社の負担割合をあらかじめ決めておくと、社員も会社もお互い安心して業務を行えるでしょう。

労働時間の管理方法

テレワークによる勤務も出社の勤務と同様、労基法の適用範囲です。つまり基準となる労働時間等は出勤時と変わりません。
コロナ禍のテレワークではサボりが懸念されていたものの、逆に働きすぎが問題として取り上げられました。
テレワークは勤務時間においても、プライベートと業務の境界線があいまいになりがちですし、勤務中に私用で中抜けする割合も増えると言われています。
中抜けが発生した場合、中抜けした時間をどう扱うのかも問題です。もし、中抜けした分、勤務時間の繰り下げを行うのであればその旨を就業規則に明記しておく必要があります。

セキュリティ

テレワークにおけるセキュリティとは、コンピュータウィルスに限ったものではありません。セキュリティ対策は次の4つの分野に対して行う必要があります。

・コンピュータウィルスやワーム等の侵入
・PC本体やデータ等の紛失・盗難
・重要情報の漏洩
・不正侵入・のっとり

PC内のことならばウィルス対策ソフト等で防止できるものもありますが、PCの置忘れやプリントアウトした書類の取り扱い等になど気を抜いてはいけません。
また、Free Wi-Fiは非常に便利ですが、中には情報の抜き取りなどを目的としたものもあります。Free Wi-Fiに接続する時は暗号化されているものだけを使い、自動接続設定にはしないようにするなど、用心も必要です。

 

テレワーク導入に最低限必要なもの

最後にテレワークの導入に最低限必要なものについてまとめましょう。
さらに、詳しい内容やガイドラインについては、テレワークを推奨する総務省のホームページで紹介されています。また、相談窓口も紹介されていますので、わからないことがあれば相談してみるのもいいかもしれません。

データ環境

テレワークでは、手元のPCからデータが集約されているポイントにアクセスすることで業務を行います。そのためデータ環境が必要です。データ環境整備には次のような方式があります。

・リモートデスクトップ方式:手元の端末からオフィスに置かれたPCを遠隔操作する方式。比較的低コストで導入可能。
・仮想デスクトップ方式:社内に置かれたサーバーにアクセスする方式。社内サーバーを新設する必要がある。
・クラウド型アプリ方式:クラウド上のサーバーにアクセスする方式。場所、端末を選ばすアクセスできる。使用期間や使用量に応じてクラウド使用料が発生する。
・PC持ち帰り方式:会社のPC端末を持ち帰り、VPN経由でアクセスする方式。使い慣れている端末で業務ができるが、PC紛失などによる情報漏洩の危険性がある。

電話環境

テレワーク中は割り切って連絡はメール対応のみとしている企業もありますが、多くの企業にとって電話は重要なアイテムです。
リモートワーク中は電話転送サービスやアプリを使い電話環境を整えましょう。

社内外とのコミュニケーションツール

コミュニケーションツールには、チャットやテレビ会議などさまざまな方式があります。通常時はチャット、重要案件はビデオ会議などうまく使い分けることが業務をスムーズ進めるポイントです。

勤怠管理システム

テレワーク中はお互いの姿が見えないため、しっかりとした勤怠管理を行う必要があります。タスク管理やワークフロー機能などをもつなど多機能な勤怠管理システムもありますから、それぞれの企業にあったものを選ぶといいでしょう。

システムを整備するための資金

テレワークを導入したいけど、資金が…というときには、テレワーク導入に関する助成金制度を活用しましょう。主なものをご紹介します。

◆働き方改革推進支援助成金

厚生労働省の助成金制度で、通常の「テレワークコース」と期間限定の「新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース」があります。テレワーク導入にかかった費用の一部を業種や会社規模に応じて助成する制度です。

◆IT導入補助金

経済産業省所管の団体が運営する助成金制度です。中小企業や小規模事業者を対象に、テレワークを含むITツール導入費用の一部を助成してくれます。

◆自治体の助成金がある場合も

都道府県や市区町村によっては、独自のテレワーク助成制度を行っているところがあるので、事業所のある自治体の情報を調べてみましょう。

 

まとめ

テレワーク導入にはそれなりの準備が必要です。最初は思わぬトラブルに悪戦苦闘することもあるでしょう。
それでも、世の中にこのままテレワークが定着すれば、より多くの人が自分にあった働き方を選択できるようになります。

これを機にテレワーク導入について、今一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

参照:
テレワークができない理由
https://www.bcnretail.com/market/detail/20200529_175551.html

テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

テレワークに関する助成、補助
https://japan-telework.or.jp/tw_about-2/subsidy/

情報システム担当者のための テレワーク導入手順書(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000668432.pdf

一般社団法人日本テレワーク協会
https://www.japan-telework.or.jp/intro/point.html

テレワークセキュリティガイドライン
https://www.soumu.go.jp/main_content/000215331.pdf

 

 

ライタープロフィール

パプリカ

パプリカ

外資系総合商社と総合マーケティング支援会社にて法人向け営業職を経験。 世の中にあふれる情報をかんたんにわかりやすく、一人ひとりに合ったかたちで伝えることをミッションに活動中。