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2017.07.20 掲載 2023.11.07 更新

「リスクマネジメントの疑問」シリーズ 第1回 リスクとはどのようなものか?

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

庶務業務サービス


リスクマネジメントのプロセスを紹介!損失を防ぐための考え方とは」の記事では、リスクマネジメントの全体像をご紹介しました。しかし、頭ではなんとなく理解できても、いざ現場で実行しようとすると様々な疑問にぶつかることもあるでしょう。
では一体、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」実行すればいいのでしょうか。
そこで、そうした現場の疑問をひとつずつ取り上げ、明日からリスクマネジメントに取り組む上で役立つヒントを考えてみたいと思います。
「リスクマネジメントの疑問」シリーズの第1回は「リスクとはどのようなものか?」を取り上げます。当たり前すぎて今更聞けない疑問ですが、実はこの原点を再確認することで、重大なリスクを見逃さないための実践的ポイントが見えてきます。
 

■企業を取り巻く多様なリスク

リスクマネジメントをスタートする企業において、考えてみると実は盲点になっていたという声があがるのが「リスクとはどのようなものか?」ということです。いくつかパッと思いつくリスクはあると思うのですが、網羅的に捉えようと思うとなかなか難しいものです。ですが、そうした疑問が生じるのも当然かもしれません。
リスクマネジメントにおけるリスクとは、企業の業績に影響を及ぼす不確実な事象すべてという非常に広い概念であるからです。
 
見えているリスク・見えていないリスク
では、企業の業績に影響を及ぼす不確実な事象と言えば、どのようなことが思い浮かぶでしょうか。
例えば、経営者は自分の経営判断が正しいかどうかが真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、財務の担当者であれば為替や金利の変動の方が気がかりでしょう。あるいは、営業の最前線にいれば今月の売掛金を回収できるかが一大事かもしれませんが、新規事業を考える経営企画部では10年後の地球温暖化こそ会社を左右すると考えているかもしれません。
このように、何が企業の業績に影響を及ぼすと考えるかは、その人から見えている視界によってこれほどまでに大きく変化します。リスクを考える際には一度、「自分には見えていないリスクがあるのではないか」という意識で見直すことが求められます。
 
リスクを漏らさず拾い上げるためのガイドライン
多様なリスクを捉えるには、代表的なリスクの種類を押さえておくと役に立ちます。こうした網羅的な例をガイドラインにして関係者から広く意見を集めると、様々な視点から見たリスクを漏らさず拾い上げることができます。
戦略リスク :マーケティング戦略、サプライチェーン戦略、投資戦略など
財務リスク :不良債権化、簿外債務の発覚、株価低下など
法務リスク :製造物責任訴訟、知財訴訟、環境汚染責任など
労務リスク :リストラ、労働争議、ハラスメント、役職員の不正など
事故・災害リスク :火災、爆発、洪水、地震、落雷、交通事故、労災など
経済リスク :金利変動、為替変動、税制改正、金融不安など
政治リスク :戦争、革命、制度改正、貿易制限、非関税障壁など
社会リスク :機密漏洩、産業スパイ、テロ、脅迫・誘拐など
 
 

■知らなかったでは済まない「まさか」のリスク

このようにリスクの視点を広げて考えると、「色々なリスクがあるのは分かったが、そんなにリスクばかりネガティブにリストアップしても仕方がないのではないか、大げさ過ぎないか」という指摘を頂くことがあります。
確かに、自社ではまず起きないだろうと思われているリスクや、あまりにスケールが大きくて自分には遠い話のように感じるリスクも含まれているかもしれません。しかし、それらは本当に他人事で済ませてよいリスクなのでしょうか。
象徴的な事例として、いざリスクが顕在化した時に致命的な損害につながりかねない情報漏洩のリスクと、一見直接的な関係が浅いようで実はどんな企業も無視できない地球温暖化のリスクを題材に考えてみたいと思います。
 
対策の有無が命運を大きく左右する情報漏洩
おそらく多くの企業にとって、「情報漏洩は万が一起きたら大変だが、自社ではそうそう起きるものではない」と考えられているリスクのひとつだと思います。
では、情報漏洩が起きる可能性というのはどれほど存在するのでしょうか。消費者庁が毎年発表している「事業者からの個人情報漏えい事案の状況」によると、2015年には年間292件の情報漏洩がありました。
この292件のうち約64%が情報漏洩の防止に特段の措置を講じていなかったことが分かっており、リスクに向き合っているかどうかで大きな差が生まれていることは明らかです。さらに、292件のうち約17%では委託先から情報漏洩が生じており、委託先を含めた入念なリスクマネジメントが求められていることが分かります。つまり、「うちは例外」は許されないのです。
出典:「平成27年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」(個人情報保護委員会 PDFデータ)
 
実はどんな企業も無視できない地球温暖化
地球温暖化のリスクは、頭ではなんとなく感じていても、あまりにもスケールが大きく自分には遠い話に聞こえてしまいがちです。
確かに、自動車業界のように地球温暖化が電気自動車へのシフトを加速させ、業界のあり方を根本から変えてしまうのなら、イメージしやすいかもしれません。では、その他の業界にとって本当に地球温暖化は他人事で済ませられるのでしょうか。
リスクの重要性を考えるために、地球温暖化がもたらすリスクをもう少し噛み砕いて考えてみましょう。
地球温暖化がもたらすリスクは大きく4つに分解されます。
規制リスク:温暖化対策のコストが増減するリスク(排出量規制、課税等)
自然リスク:温暖化がもたらす自然災害により資産が損害を受けるリスク
戦略リスク:温暖化に対する消費者の意識変化により事業に影響を及ぼすリスク
開示リスク:温暖化対策に関する情報公開が関係者からの評価に影響を及ぼすリスク
 
こうして見てみると、まず規制リスクや自然リスクについては、どんな業界も関係なく影響を受けることが分かります。また戦略リスクや開示リスクについては、自動車業界ほどクリティカルな影響ではないかもしれませんが、消費者のブランドロイヤリティを高められるかどうか、環境投資を行うファンドから支援を受けられるかどうかなどの面で差がつく可能性があります。
地球温暖化のように一見すると直接的な関係が浅そうなリスクも、実はどんな企業も無視できないリスクだったりするのです。
 

■まとめ

以上のように、「リスク」とひと口に言っても、そこには非常に多様なリスクが隠れています。
リスクを考える際には、ガイドラインもご参考頂きながら、これまで自分には見えていなかったリスクがあるかもしれないという意識で多角的にリスクを捉え直してみることが重要ではないでしょうか。
今回のテーマである「リスクとはどのようなものか?」という素朴な疑問は、リスクマネジメントを考える上で常に問い続ける必要があると考えます。
 

個人のスキルに影響されがちな庶務業務を平準化

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ライタープロフィール

吉江 宣慶

経営コンサルタント
外資系コンサルティングファームのプロジェクトマネージャーとして、大企業を中心としたビジネスモデルを変革する新規事業立ち上げのハンズオン支援、大企業×ベンチャーのコラボレーションを促進するM&A戦略の立案、デジタル業界などのニューエコノミーのビジネスデューディリジェンスを得意としている。

吉江 宣慶

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