決算書の作成方法。仕訳から決算書ができあがるまで | 経理を0から学ぶシリーズ 5

新人経理担当者

前回は「簿記の基本を学ぶ。複式簿記、仕訳、勘定科目をやさしく解説」として仕訳の作成までのプロセスをご説明しました。今回は、仕訳の集計から決算までをみていきましょう。

会社にとって決算はとても重要な業務であり期限も決まっているため、決算の時期になると経理担当者や経理部門はとても忙しくなります。

ここで、簿記一巡の手続きをもう一度確認しておきましょう。

1.会計上の取引を把握する
2.会計上の取引を仕訳帳に“仕訳”として記帳する
3.仕訳帳から勘定科目ごとに総勘定元帳に転記する
4.総勘定元帳の各勘定科目の残高を試算表という一覧表に転記する
5.決算処理を実施する
6.決算書を作成する

前回は1.と2.の前半部分(仕訳をする)を解説しました。本記事では、仕訳を作成し仕訳帳に記帳してからの流れをご説明します。

 

■帳簿の種類

経理部門で作成する帳簿にはさまざまなものがあります。その中でも大きく分けると「主要簿」と「補助簿」の2つがあります。順番に見ていきましょう。

・主要簿
簿記一巡の手続きの中にある「仕訳帳」と「総勘定元帳」が主要簿です。「仕訳帳」には、その会社のすべての取引をそれらの取引が発生した日付順に“仕訳”の形式で記録していきます。

「総勘定元帳」には、仕訳帳に記録されたすべての取引を勘定科目別にまとめます。
「仕訳帳」も「総勘定元帳」も、経理業務の最終目的の一つである決算書の作成に必要な会社の財産状態をあらわす「貸借対照表」と会社の業績・実績をあらわす「損益計算書」などを作成するために絶対に必要な帳簿です。

・補助簿
主要簿とは異なり、補助簿は会社の規模や業種によって必要性に応じて作成・利用することができます。

補助簿の役割は、仕訳帳や総勘定元帳を補うことです。したがって、利用するためには取引内容を個別的・具体的に記録する必要があります。また、仕訳帳からの転記ミスを防ぐために使用することもあります。

代表的な補助簿には、「現金出納帳」や「預金出納帳」が挙げられます。現金出納帳は現金の入出金だけを記録し、預金出納帳では預金の入出金だけを記録します。売掛金元帳も補助簿の一つですが、ここには特定の売上先(顧客)との取引内容が記載され、仕入先元帳(仕入帳・買掛帳)」では取引先のうち仕入先との取引内容が記載されます。

 

■仕訳帳と同じ役割をする「伝票」

経理業務では「伝票」が活躍します。一般に伝票というと、飲食店でテーブルに置かれる会計伝票や買い上げ伝票などをイメージしやすいと思いますが、経理業務で使用する「伝票」は次の3種類です。

1.入金伝票:現金が入金された時に使用(借方を現金で固定)
2.出金伝票:現金が出金された時に使用(貸方を現金で固定)
3.振替伝票:すべての取引で使用可能

伝票には仕訳帳と同じ役割があり、伝票を主とした経理・会計のことを「伝票会計」と呼びます。伝票会計の最大のメリットは複数名で仕訳帳を作成できることです。ある程度の規模の会社ではこの形式が利用されることが多いでしょう。実務上は取引が記録された伝票をもとに会計ソフトに入力し総勘定元帳を作成するという形で運用されています。

 

■集計作業では試算表を作成する

毎日の取引を仕訳として「仕訳帳に記入」から「総勘定元帳・補助元帳に転記」する作業がここまでの流れで終了しました。次は集計作業です。

集計作業では、勘定科目ごとにその期間の取引を集計して一覧できる形式で試算表を作成します。

 

■決算書を作成する

仕訳を集計したら、決算書の作成に業務がうつります。決算書をもとに法人税や消費税などの計算をして申告および納付をし、監査役などのチェックを経て株主総会に提出するため、重要な仕事です。

一般的に、法人税などの申告は決算日から2ヶ月以内、株主総会の開催は決算日から3ヶ月以内という期限が設定されていることや、決算業務では経理部門以外の部門との調整や資料依頼なども発生しますから、決算時期の経理部門の業務スケジュールはとてもタイトなものとなります。

 

■決算書作成までの流れ

決算業務は以下の流れで進められます。

1.決算残高の確定
2.税金等の計算
3.決算書の作成

順番に見ていきましょう。

1.決算残高の確定
決算残高の確定の業務とは、決算日現在の各勘定科目の残高が実際の残高と一致しているかを確認する作業となります。

これらの作業は、原則としてすべての勘定科目について実施します。現金や預金、売掛金や買掛金、借入金や固定資産などをそれぞれチェックしていきます。そのチェックにあたっては、それぞれの勘定科目の「実際の残高・在高」、「あるべき残高」と「合計残高試算表の科目残高」を照らしあわせて確認します。

進める中で発生する仕訳、たとえば減価償却費の計上や棚卸差額の計上などを「決算整理仕訳」と呼びます。これは、通常業務内の仕訳と決算時の仕訳を明確に区分しておくためです。

2.税金等の計算
決算残高の確認および確定ができたら次は税金の計算です。

まず、消費税を計算します。消費税は売上などによって預かった消費税(仮受消費税といいます)から仕入や経費の支払などで支払った消費税(仮払消費税といいます)を差し引いて計算します。
(過去の記事でも説明しています:「消費税の納税の流れ 仮受消費税・仮払消費税とは?」)

計算によって求めた仮受消費税や仮払消費税の金額と、帳簿上のそれぞれの消費税の残高には多少の差異が生じます。そういった差異を修正し、確定した消費税額を未払消費税額として決算書に計上します。

次に法人税などを計算します。ここで計算するおもな税金は、法人税・法人県民税・法人市民税・事業税などです。これらの税金の計算と申告書の作成については、専門性が高いことや法令改正等による影響が大きいことなどから、税理士などの外部の専門家に依頼するケースが多いと思われます。

このように計算された納付すべき税額を、決算整理仕訳の最後に計上します。

3.決算書の作成
最後にするのが、決算書の作成です。確定した残高から決算書(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書など)を法令に定められた書式にもとづいて作成されます。ここでは残高以外に会計処理方法を変更した場合など、その変更内容などを記載します(注記事項の作成など)。

作成された決算書は取締役会や監査役、あるいは会計監査をする会計事務所などの確認・チェック作業にまわされ、その後、株主総会で提出・報告します。

簿記の概要とその一巡の手続で作成される帳票などを中心にご説明してきました。経理の実務では、転記作業などは会計ソフトを利用するなどして効率化されていますが、今回説明した流れを覚えて損はないでしょう。財務諸表を作成するときはもちろん、見るときも流れをイメージする理解が深まります。

 

ライタープロフィール

くもと編集

くもと編集

マーケター兼編集者

NOC 当コンテンツの編集者。 宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。 「NOCのサービスに直接関係のない記事であっても、読んでくれた方の役に立つ情報をお伝えしていきます。」

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