くもと編集
マーケター兼編集者
NOC 当コンテンツの編集者。
宝飾業界と広告会社を経て2008年 NOC入社。営業や制作ディレクターを経験し、現在はWebマーケティング担当兼当コンテンツの編集を担当。
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キャッシュフロー計算書とは、財務諸表の1つで「貸借対照表」「損益計算書」と並ぶ代表的な決算書です。このキャッシュフロー計算書を読むことでお金の流れを把握することができます。
今回はそのキャッシュフロー計算書の役割と必要性を具体的に見ていきます。
なお、財務諸表そのものと、貸借対照表と損益計算書については以下の記事で解説しています。
「財務諸表の種類と役割。BS, PL, CFを把握する」
「貸借対照表の見方と代表的な指標を解説」
「損益計算書の見方と代表的な指標を解説」
キャッシュフロー計算書が必要な理由は以下の例を考えるとわかりやすいでしょう。
「当期利益は1億円ありますが、手持ちの資金は8000万円です」
この場合、2000万円はどこにいってしまったのでしょう?このような損益計算と現金などの収支を補正するのがキャッシュフロー計算書の役割です。
たとえばその会社のキャッシュフロー計算書を読むことで以下のことがわかったとします。
損益計算書上の当期利益 1億円(以下の処理以外は補正済みとする)
・当期3000万円の固定資産を購入した
・固定資産の減価償却費と引当金繰入額の合計は1000万円である
この場合のキャッシュフロー額は
1億円-3000万円+1000万円=8000万円
よって、当期利益は1億円ありますが、手持ちの資金は8000万円となるわけです。このように、キャッシュフロー計算書は損益計算書だけではわからない「現金や現金等価物の増減と流れ」を把握する重要な書類です。
また、損益計算書の利益と資金残高が一致しない理由に「損益計算は発生主義で処理する」というルールがあります。
発生主義とは、「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない」(企業会計原則より)というものです。わかりやすくいえば、取引が発生したら仕訳をする必要があります。
売上の計上を例にとっていえば、納品・請求の時点で売上は計上されますが、入金時点では計上されません。
このとき、「納品・請求時点」と「入金時点」にタイムラグが発生します。つまり、売上が計上されたからといって同時に手元にお金(キャッシュ)が入るとは限りません。
(全ての取引が、商品と現金が同時に交換されれば、タイムラグが発生することはほぼないですが、実際は商品と現金は別々に動きますよね)
よってそれらを把握するために「損益計算書」のみならず「キャッシュフロー計算書」も読む必要があるのです。
株主や取引先などの利害関係者は、
1. 貸借対照表でその企業の資産と負債の状況を把握し、
2. 損益計算書でその企業の利益獲得プロセスとその獲得額を確認し、
3. キャッシュフロー計算書で資金の運用状況を確認する
という形で財務諸表を利用します。
キャッシュフローの把握が重要なのは、損益計算書上1億円の当期利益が計上されていても、その入金が1年以上先であったとすれば、その会社は資金繰り次第で倒産してしまう可能性があるからです。
キャッシュフロー計算書は企業のどのような活動によってキャッシュの増減がもたらされたかをあらわします。その活動は次の3つに区分されています。
1. 営業活動によるキャッシュフロー
営業損益に関する取引のキャッシュフローをあらわします。つまり、会社の事業として商品やサービスの販売をどのくらい行ったかというお金の流れをあらわします。
2. 投資活動によるキャッシュフロー
営業活動以外での資産に関するキャッシュフローをあらわします。つまり、会社の事業を維持するために土地や施設にどのくらい投資したかというお金の流れをあらわします。
3. 財務活動によるキャッシュフロー
営業活動以外での負債と純資産の部に関するキャッシュフローをあらわします。つまり、会社がどうやって資金調達し借金をどうやって返済したかというお金の流れをあらわします。
一般的には「本業で稼いだため営業キャッシュがプラス」「営業で稼いだキャッシュを投資するため投資キャッシュはマイナス」、「借入金などを返すため財務キャッシュはマイナス」が好ましいとされています。
店舗を増やす、工場を増設するなど投資を積極的に行い、その効果として業績も右肩上がり、銀行からの借金もきちんと返済しほぼ無借金経営のような会社、ということですね。
一方で、草創期のIT企業の多く(アマゾンなど)がそうであったように、多額の赤字を計上していても運転資金などを投資家や金融機関から調達することで損益計算上の危機を乗り切って大企業に成長する例もあります。そのため、キャッシュのプラスマイナスが好ましいかは、その企業のビジネスモデルなども含めて考えることが大事です。
以上のように、現実の収入や支出=収支(キャッシュフロー)と損益にはズレが生じます。つまり、損益計算書と貸借対照表だけではわからない”使えるお金=会社の体力”を把握するためにキャッシュフロー計算書が必要なのです。
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